神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

転生 始まりの街

朝

目を覚まして、慣れない天井をボーとする頭で見つめる。
「あ、街に来て宿に泊まったんだ……」

お腹が空腹を訴えてくる。起きて夕食でもと思い体が起こすとあたりが白い光が差し込んでいることがわかった。

「え？朝っ？」

パッと窓を見ると太陽の光が朝日特有の澄んだ光を放っていた。

「あー…こればっかりはしょうがないかー」

慣れない場所に再び体が疲れたのだろう。一ヶ月誰とも接していなかった上に大勢に囲まれ、問題が起きたりもしてかなり疲れたのだろう。

「今が次の日だと願うよー」

まずはお風呂と思い、下に降りていく。

受付のカウンターのところには昨日の女性とモーガンがいた。

「よっ！おはよう」

「昨日は夕飯時にも姿を見れず心配しましたがゆっくり寝れたようでよかったです」

「あ、おはようございますー。モーガンさん…えっとー」

あらっと少し恥ずかしそうに驚いた女性はにこやかに笑った。

「そういえばまだ名前を言ってなかったですね。隣の愚弟の姉のイリスです。月下の宿の店主をしています」

「マリです。お世話になりますー」

モーガンを突きながら自己紹介してくれたイクスと名乗った女性はどうやらモーガンの姉でこの宿の従業員ではなく店主だった。

ちらっとモーガンを見ると騎士団の青い制服を着ていたので今日も出勤なのだろう。
マリはあまり親しくないのでよくわからないがもしかしたらこの宿が実家なのかもしれない。

「まっ俺は今は姉さんが店主だけど元々はここの息子だからな、隣が自宅だから朝食や夕食は顔を合わせるだろうしよろしくな」

それだけいうと手を上げ宿を出て行った。

「あの子あなたが心配だったらしいですよ？何かありましたか？」

「……森の中で暮らしていたのでそこを心配したのかもしれないですー」

門で不審者と間違えられてモーガンを騎士団長の命令とはいえ使いパシリにしたという事もあり方面をずらした。
後から本人から聞くかもしれないがそれはもうその時で身を任せる。

…というより面倒臭い

「フクロウさんは先にいて降りてきまして、生肉の切れ端で申し訳ないけれど提供させてもらいました。今後はどうしましょう？」

「そうですねー。ネェージュ自身で調達したり、切れ端を上げたりとさまざまです。彼女が欲しがればお願いします」

バサバサと音が羽の羽ばたく音とチリンと音を立てマリの方に止まった。

ネェージュは従魔として狩られてしまうことがないように足に従魔の証をつけている。
首輪など羽根につけるものもあったが彼女が選んだのは脚につける特殊な石で作られた青紫色の筒を脚につけている。
その石は加工すると鈴の音のような音色を主人の近くで着地すると音を立てるそうだ。
原理は聞くなと言われたがマリ自身もネェージュに教わったがどう説明していいかわからなかった。

「わかりました。こちらとしても提供できない部位とかあるので預かりますので、お題は結構ですよ。マリさんは食事どうしますか？」

「いただきます。でも先にお風呂に行ってきます」

「では用意しておきますね。タオルなどご自由にお使いくださいね」

それだけ伝えてイクスはカウンターの奥へ姿を消し。マリは紙に書いてあった場所へと足を向けた。

宿内の案内の用紙によれば食事をする場所とは真反対に位置する。
棚に置いてあるタオルや石鹸は自由に使っていい。
そして何より嬉しいのが洗濯もしてもらえる。

四角い樽の中に脱いだ服を入れ、洗濯用の洗剤を入れ蓋を閉めて水の魔法石と風の魔法石に魔力を流すと自動で洗濯と乾燥がお風呂に入っている間に終わるというもので、異世界版の洗濯機だ

森の中で一人で暮らしていた時は、水の魔法で水流を作りワインなどが入っているような樽に水流を作り洗っていた。そこまでは変わらないが、乾燥機能はないので部屋着代わりにしていた予備の服を着て
木にひっかけ干していた。

服の調達も必要だが、お金の工面ができるまではなんとかなるだろう。

女神のお金はあるとはいえ、あの場でお金を見せてしまったのが痛手だった。
安易に使えなくなり自分で工面するしか無くなった。使っても問題ないだろうが何かあった時に面倒だ。いざのいう時の秘密の資産にしとこうと決めた。

タオルを体に巻きお風呂へ向かいのルンルンと入浴というひと時を楽しむ。
石鹸もいい香りで、女性客を中心としている為か何種類の石鹸が置かれていた。
日用品はある程度安価で買えるというのもありがたい。

これらは一人目の転生者が革命を起こした結果らしい。そのおかげでマリは困る事なく生活ができる。
生活の神と食の神と呼ばれている転生者。

私はゆったりと知名度なんて上げずに暮らしていきたいひっそりと……

本人はそう思っているが周りはその能力に目をつけ始めている。国も領主もギルドマスターさえも。
ただ、本人次第ではあるが街に来たことにより気ままな生活が少し形態を生えようときている。