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転生 始まりの街

高熱

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ここはアークセルシュ王国の森に囲まれたそこそこの大きさを誇り、王都に次ぐ多くの冒険者がいる街ソグム。

北の門から出れば中級から上級者向けの現地名「魔の森」と言われるそこそこ強めのモンスターが生息している森に今、一羽の白いフクロウに誘導され4人の騎士が見失わないように疾走し、森の中へと身を投じた。

白いフクロウは騎士団や冒険者が使う山道から外れ飛んでいく。

4人の騎士達はアイコンタクトを取り誘導通りに山道から外れる。

何か目的があるようにクネクネとあちこちを回るため、体力の自信のある騎士達も息が切れてきた。
白いフクロウの悪戯かと思った。

初め騎士団に白いフクロウが現れた時は騒然とした。ホワーフォオウルと呼ばれる滅多に姿をあわらさないレアな魔の鳥「森の賢者」と言われている。

悠然とホワーフォオウルは一人の騎士の前に捕まると裾を引っ張る悪戯かと思ったが引っ張るのをやめ、書物を開き文字をくちばしで差していく。
“きたのもりで しゅじんが ねつを出した ちりょうし こい”

裾を引っ張られた騎士は騎士団所属の騎士であり治療師だった。周りは騒めき北の森という場所には討伐隊が組まれ腕の立つものしか入ることがない。

ホワーフォオウルを連れている冒険者がいたならばすぐに噂が立つ。

「本当にそこに君の主人がいるのかい?」

「ホォー」

「マジかよ…アルヴィンは決定として」

肯定するように鳴いた。それはもう自信たっぷりと胸を張ったホワーフォオウルを見て団長が誰がいくか決めていく。

「……第一部隊の隊長、副隊長、それとモーガンお前らがいけ」

「はっ!」

そこからはドタバタと慌ただしく薬、夜営の準備、保存食などを詰め込みマントを羽織ると待ってましたとホワーフォオウルが飛んでいく。

「急げ!置いてかれるぞ!」

団長の張った声に反応するように走り出す騎士達に街の人はなんだなんだと口を開くが構っていられない。兎に角見失わないように走ることに集中します。



「おいっ!どうなってんだよっ!さっきからクネクネと!」

「このさきは何もなかったはずですが」

「意図的にこのルートを走っているような気もします」

「一直線の方がはやいだろ!?」

隊長やモーガンが不満を漏らした時何かを潜ったように肌を掠めた。

「な、なんだ?」

「この感じはどうやら結界内に入ったようです」

「さっきの感じ気色が悪いぞ」

結界をくぐってからはクネクネと回らずに一直線に飛んでいくホワーフォオウルの先に家が見えてきた。

「おい、こんなところに家なんてあったか?」

「なかったはずですが…」

「多分ですが結界内に入る順序だと思います」

「それって、結界が張った本人が設定するやつか」

やがて、家の前にたどり着いた。街にあるような赤茶の三角屋根に煙突と白い壁に壁を支えるように白壁に埋め込まれたYの字と二階と一階の境目にある茶色い木の普通の家。

開け放たれていた窓からスゥーと入っていくと中から玄関ドアが空きホワーフォオウルがいた。

「失礼致します。アークセルシュ騎士団ソグム支部の騎士団のものです」

隊長と呼ばれた男が声を上げ声をかけたが一向に返事がない。どうしたものかとホワーフォオウルに目を向けるとバサリと飛び、廊下奥にある階段へ向かっていく。玄関から入ってすぐのところに。手洗い場があり、そこにお風呂があることに驚いた。

すぐの斜め向かいにはキッチンとテーブルがありその上には木のみと水差しに入ったレーモの入りの水と木のコップ。椅子二脚。背もたれには、前は短く背の部分の丈は違いローブがかけられていた。

「魔法使いが住んでいるのか?」

「そのようですね」

「うっ!」

隊長と副隊長がコソコソ話していると治療師の騎士がうめき声を上げた。ふらふらとその場に倒れそうになるのをモーガンがささえた。

「おいおい、大丈夫か‥‥?」

「この魔力……魔力漏れが原因で高熱を出しているかもしれません……」

治療師の話を聞き、頷いた団長は階段の上を見上げるとホワーフォオウルが登り切った先で待っていた。

「ホォーホォー」

急かすよう鳴いたホワーフォオウルは一番奥の部屋に消えていった。

2階の部屋は扉がついており、中は確認できなかったが、半開きの奥の扉から、治療師以外の3人でも魔力が流れていくのを感じた。

「結構魔力強い感じですね……」

「魔力を吸収すること吸石持ってこればよかったな」

「後でホワーフォオウルを連れて一旦戻って取りに戻らんとだな」

「あと、女騎士がうちにはいないの辛いですね」

「ですね…もっと女性騎士が増えればいいんですけど、なかなかいませんからね」

家主である急患のいる部屋まで来るとそっと扉を開ける副隊長。

「あ?女騎士?なんでだ」

「つかなんで会ってないのにわかるんだ」

隊長とモーガンの言葉にため息をつく副隊長と治療師。

「一階にあったローブは女性ものですよ」

「わかったら二人はここで待機しててください」

顔のイカツイ隊長とモーガンは女性と気が付かなかったため、部屋に入らせずに二人だけ中に入る。

「すみません、失礼しますね……」

カーテンの閉まった薄暗い部屋で荒い息を白女の子のがいた。

布団の膨らみからして小柄でみたところ12、3ぐらいの長い茶色の髪を三つ編みにしていた。

治療師は近くに置いてあった丸テーブルに鞄を置き、女の子の額に手を立てた。

「かなり熱が高い。状態鑑定」

状態
・高熱 ・栄養不足 ・魔力酔い・疲労

と表示させた。

状態鑑定は対象の身体の状況を見ることができる。
治療師ならほとんどの人が持っているスキルで上位スキルには鑑定スキルがある。

治療師は振り向くとカバンを開けて待っていた副団長へ声をかけた。

「副隊長すみませんが、氷水と解熱剤と栄養剤をお願いできますか?」

「了解したよ。それと、さっき言ってたやつですね」

頷いた治療師は女の子に向き直ると目を瞑り掌に魔力を集中させた。

淡い光が手のひらから漏れ出すとゆっくり疲労と体力を回復させていく。

すっと手が伸びてきて先程頼んだものが渡された。
口移しでの増すわけもいかず体力の回復を待って起きてくれるのを待つしかない。それに魔力をどうにかしないと完全な回復とはいかないだろう。
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