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訓練という名の実戦へ

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「あー、オホン。これより貴君らの指揮を取るマリア・ドゥクスだ。生徒会員という立場だがこれはいわゆる隊長というやつになるわけだ。これからよろしく頼む。それでこっちが」

我が隊の隊長である巨乳天才女騎士マリア・ドゥクス16歳の有難いお言葉を聞いて俺も自己紹介といこう。

「はい! マリア隊長から副隊長を任されたロリエルです。9歳、得意な事は人型ロボットの操縦です!」

キャピッ。

『良い声かけだな。英雄よ』

俺の近くでこれまた超巨乳女騎士で俺以外には見えない女神が俺の近くでそうつぶやく。

はぁーどうしてこうなったんだかなと強く強く思う俺だった。

はい。どうも、つるぺた9歳女児に転生したロリエルです。
末期戦人型ロボット物恋愛学園ゲーム『女神の花園』の世界にぶち込まれた俺はこの世界の女神という背後霊と共にこの楽しい楽しい世界を生き残る事になったのだ。

そして今は心配だった学園の試験を余裕でパスし(受けてない気がするが)、気づけば新部隊の副隊長になっている。

は?

と言わざるおえない。
いきなり副隊長とは……しかもこんな奴らのである。
今目の前には100人の女子供婆がいる。
列なんてろくに作らず、バラバラでろくに話を聞いていないし、ひどいやつは眠ってたり話も聞かずに持ち込んだ剣を研いでる奴もいる。デカくもなく小さくもなく体型は普通、いや身長はかなりあるか、ヤンキー女と呼ぼう。
ここは中世風ファンタジー世界、義務教育、なにそれ美味しいの? である。
というか剣は没収しろよっ!あの門番何やってんだよ。

ちなみに副隊長になったのは試験を終えてマリアに呼び出されて今後のことを話したらそうなった。
ロボットで遊ぶために色々やることがあるのでそのことを話したらそうなったのだ。

『英雄は自然と人を惹きつけると言うことだ』

またこの女神はよくわからんことを言う。

てなわけでぶちかまそう。

「犯罪者も訳ありも食い扶持減らしの肉盾の皆さんも合格おめでとうございます」

キャピキャピッ。
何も知らない風の子供として俺はそう言った。

何故かみんな悲壮な顔をした。
俺の大好きなマリアでさえも悲壮な顔をした。

「ガキがなんか言ってるが隊長、マリアって言ったかなんか言わなくていいのかよ。俺達が肉盾だってのは百も承知さ」

話も聞かず刃を研いでいたヤンキー女がたまらず俺のマリアにそう言う。

『いつからマリアは英雄の物になったのだ』

初めからじゃい。

『ふぅん……』

ニヤリと笑うんじゃないよ、それでこそ英雄だとか思ってそうだなこの女神。

ツッコミのいないボケをかましてそのまま受け入れられるのは心に効く。

「ロリエル、やめないか。彼らは現状残念ながら肉盾にもならんよ、時間稼ぎも出来なさそうだ」

「そうですね。マリア様」

「何だと!」

剣を持ったヤンキー女はプライドを貶されたのか激昂した。

「おっと、お姉さんは戦えるんですか?」

キャピキャピキャピ。

「もちろんだ!! 何のためにここに来たと思ってやがる!」

「じゃあ、戦いましょう」

「ああ、そうだな」

マリアが戸惑っている、いや緊張してるのかな。

「傾注!!!!」

魔法も使って大声で私は叫ぶ。
その声に寝てるやつも目を覚ましたし、マリアも覚悟が決まったようだ。

「ロリエル、ありがとう。これより我が部隊は前線後方への撤退作業支援作戦を行う。諸君にはいきなりの実戦になると思うが指示にさえ従ってもらえれば死ぬことはない。約束しよう」

「は? は?」

ヤンキー女が目を点にしていたのだった。
他の人は泣いてたり呆然としていたり悲壮な雰囲気だ。

「現状ロボットに乗れるのはロリエルと私だけだ。私は諸君の指揮がある。故に彼女には副隊長となってもらった。ロボット操縦を行う者にはそれ相応の階級がなければ円滑に動くことは叶わない為だ」

淡々とマリアは説明を続けるけど、この人たちにはその説明じゃわからないだろうね。

「では早速転送陣へと向かうぞ。着いてこい。学校の授業は帰ってくるまでお預けだ」

『着いてきてください! 従わなかったり脱走を企てたら命の補償はできませんよ。指示に従っている限り、必ず私があなたたちを守ります!』

キャピキャピ。
従いやすくなる魔法を込めてそう全体に叫んだ。

暗示系の魔法は違法スレスレではあるが違法ではないのだ。
ゲームではそれによって愛憎ドロドロのバッドエンドもあったけれどそう言うところ、恋愛ゲームなのが悪いよ。

「けっ!言われなくてもやってやら!」

ヤンキー女がそう言って着いてきて、他の人もゾロゾロと着いてきた。

マリアは転送陣と言ったが、戦闘地域まではテレポートを行って向かうことになる。学園には転送陣があり、各地の戦場にもあってそれらから戦力や物資を送っている。
校庭のグラウンドほどの広さの魔法陣がありその上に乗る事で指定された他の転送陣へと移動することができる。
人が忙しなく動いている。
ゲームでは整備のおっさんとかと仲良くなる場所だったが、ここにいる人と話す暇は残念ながら今はないな。

空路もあるにはあるのだが魔物に撃ち落とされる。奴らは空を飛べなくても光線を空に放って撃ち落とすぐらいはしてくるのだ。
亀型の魔物の背中、塔のような場所にゴブリンとかワーウルフだとかスライムとかとにかく魔法の使える魔物が集ってそこから光線を放つのだ。奴らがいる戦場で空を飛んだらまぁ即死だ。ロボット次第ではなんとでもなるがプレア程度の機体ではかなり苦しいものだな。

『それでも英雄ならなんとでもするのだろう?』

なんとでもなるはずさ!
という実践前の強がりは置いといて、

「マリア隊長! こちらロリエル副隊長、プレアに搭乗完了しました!」

「了解、こちら隊員の転送陣への収容完了、あと30秒で転送される。備えろ」

我が隊員たちはとある前線の街への転送陣へ転送される。
そこで行われている撤退作業が遅れているのだ。
家具の運搬やら住民の移動やらに人手が足りないらしい。
そこでマリアは実践を知るいい機会だと支援に向かうことにしたわけだ。
ろくに訓練してなくても荷物運びぐらいはしてもらわなくてはと言うことだな。
ロリエルである俺の任務は撤退作業の支援である。
人型ロボットは人の手では運べない物の運搬にも使うことができるからな。

マリアに頼んで一応の武装も持ってきた。小型のマシンガンと予備のピストルだ。できればアサルトライフルとかロケットランチャーが欲しかったがそんなものは出来立ての部隊に用意できる物ではなかった。

「転移完了!早く転送陣から出ろ!」

転移先の転送陣は街を一望できる丘の上にあった。
すぐさまプレアの機体から周囲を見る。

城壁は破壊され、建物も一部倒壊している街が広がっていた。ボロボロの服を纏ったやつれた表情の人々や荷物などを乗せた馬車が俺たちが出た転送陣に乗り込んでいく。

「これは急がないとただの荷物運びでは終わらなそうだな」

俺はそう呟くのだった
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