サモナーって不遇職らしいね

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光属性1の魔法習得と幼女

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街を一望出来る丘の上の公園、その芝生に寝転がりながら読書を続ける堕天使ネクアム……それは久方ぶりの安息ではあった。
力を失い、名前の通り無価値となってから得る安息に彼は何の皮肉だと笑う。
召喚について学び直した彼は光属性へのマナ属性変換を学び直す……失った力を取り戻し、天界へと再び戻るために、神に自分は無価値ではないと示すために。

てな感じにこのキャラの設定を深めつつ、読書を進めていく。

マナ属性変換とやらの力もネクアムは失っただけで、失ったことに気付かずに召喚から先に読んだのも仕方ないね。

「元天使だというのに光属性魔法の一つも使えなくなるとはな」

ため息と共に召喚の本を閉じて、今気づいたというようにロールプレイをする。

それを近くでピクニックしてる幼女とその母親からと思われるNPCに見られて少し恥ずかしさも感じるが……こういうのは楽しんだもん勝ちである。

ここは自由な世界なのだ。

俺は白い球体の女神様から言われたというのに、召喚より他属性が先だと言うことに気付かずに召喚から読んでしまったことを、ロールプレイ設定を深める方向で正当化した。

どの属性の本にもあると言う魔法に関する説明は本当にさっきと一緒だったので飛ばして光属性について読む。

『光とは救いである。この世界の創造者である女神様から我ら人類に与えられた救世の光である。女神様は……』

これあかんやつや。

長々と女神様を褒め称える文章が続くのでそこから要点だけを拾う事にした。

まとめると光属性とはバフや回復を主とした魔法らしい。
火水土風光闇雷氷……などなどの元素属性とも言われている属性はそれ一つで一応攻撃回復バフデバフなど一通りの事は出来るらしい。
その上で光属性の場合は他の属性よりバフと回復の部分で勝っているようだ。
反対属性である闇はデバフに特化してるようだと言う事も読み取る事が出来た。

『人々を弱体化、或いは狂気に陥らせる闇を封印し、人類を救った偉大なる女神様のお力こそが光属性である』だそうだ。

召喚の真面目な文章と違ってこちらは女神様狂信者の書き殴りだったので本当かよと疑いも持つけども、多分そうなのだろう。

女神様が白い球体だったのも光属性を表していたのかもしれないな。
これからは声だけ女神様とでも言うべきかな。

しかしやはりそもそも封印されて、後々戦う事になるらしい闇とはなんなんだろうか……闇属性の本を読めば少しはわかるだろうか。

さて、光属性について詳しくなった後は魔法習得、ミニゲームのお時間である。
てっきりミニゲームは固有の何かかと思っていたけれど習得も発動も複数のミニゲームから好きな物を使って良いらしい。
この辺もMMO故に向き不向きが問われにくいフェアなものになっているようだ。
雰囲気無視のものから雰囲気重視のものまで色々あるな。
なぞなぞや知識問題を答えるクイズゲームからダンスゲームや指示通りに指を鳴らしたり口笛を吹いたりする音ゲーなんてものもあれば、詠唱や早口言葉、さらには魔力とやらが視覚化されてそれらを念じて動かし、魔力の使い方を学ぶなどのものまで色々なミニゲームから選ぶ事が出来るようだ。

ここから得意な物を選んでね、ということだろう。

能力習得なのだし、俺は詠唱のミニゲームを選んだ。
まだ初歩の初歩ゆえに簡単な詠唱であった。

これは表示される文章を一字一句間違えずに読めれば成功するミニゲームだ。

「我らが救世たる光の力よ。我が魔力にその力を宿し、浮かび上がらせよ! 『ライトボール』」

ー光属性1の魔法『ライトボール』を習得しましたー

システムメッセージが流れる。

手の平から小さな光の玉が出てきて頭上をくるくると回っている。
この玉の大まかな出現位置や動き、大きさは事前に念じられるので頭の上をクルクルさせる事を念じておいたのだ。

灯りにも使えそうである。

これはマナの属性変換を用いた攻撃魔法『ライトボール』である。
ボール系と呼ばれる初歩魔法らしく元素属性で一番最初に覚える魔法のようだ。

まぁLv1で覚えられる魔法なんてこんなもんよ……召喚を覚えたらさっさと外に出てレベルを上げて属性値を上げたい。

でもレベルを上げなくても召喚は3まで本があるし、カッコいい魔法もあるかもしれないな。

じっくり読書か冒険か……このままだとRPGじゃなくてノベルゲームになってしまう。
魔法の指南の項目だけじゃなくてフレーバー的な魔法の設定まで読んでるからだけどこれが俺のゲームの楽しみ方なので別に良いだろう。

のんびり読書だ。

さてさて、闇と付与も気になるけれど、これで光の属性変換を習得できたので、本命の召喚習得に戻ろうか……何が呼び出せるのだろうか。

光属性1の本をインベントリに入れて、召喚属性1の本を取り出そうとして……

「わぁ! 頭のそれ綺麗だね、お兄さん!」

7歳ぐらいの幼女に俺は声をかけられたのだった。

「リアス、待ちなさい! あっ、ごめんなさい。うちの子は元気が良くて、ご迷惑でしたよね」

親がいなければ事案だった。
この二人は先程、溜息混じりの独り言のロールプレイを見られた親子だった。

「いや、迷惑ではない。それに自分の魔法を綺麗だと言われて喜ばない魔法使いもいない」

そう俺、いや堕天使ネクアムは緊張しながら返事をするのだった。
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