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4話目 ムーンダンジョンの確認
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(ああ、体が軽いや。僕は死んだんだろうか。あんな非日常は走馬灯か夢とかだったんだろうか。いやいや、死んでないな。確かにこれはいい安楽椅子だ。背もたれの角度に包み込まれるかのようなふかふか加減もいいな。このまま眠っていたい。おお、肘掛けもあるな……はぁ、そろそろ目を開けよう)
「おおぉ…びゅーてぃほー本当に来ちゃったんだな。異世界」
僕が目を開けると、視界いっぱいに星が広がった。
それにアースが輝いている。
「早速マーケットを開いて出品しないと」
僕の考えはこうだ。
優雅にここからの景色を見てもらう、そしてそれをこのダンジョンの主な収入の一つにする、だ。
100万DPした安楽椅子に座りながらマーケットにこの景色を出品する。
細かい設定入れて出品した。
このマーケットがあったから僕はダンジョンの立地をこのムーンにした。
極端な話だしすごい賭けだけど、この景色を見たらこの光景に大金を払える人がいない世界だったら僕は生きていけなくてもいいと少し開きなおれた。
もし売れなくても別の商品も考えてはいるけれどね.
そっちはただの延命手段でしかない。
立地をムーンのランダムにしなかった理由はムーンの裏側にするとアースが見えないところになるかも知れないからだ。
一億DPの誘惑に僕は打ち勝った。
商品コメントが荒れはじめたのを横目に僕は立ち上がり周囲を見渡す。
何もない。
いや月の中にポツンとさっきまで座っていた椅子の他には机と閉じたパラソルがあるだけ。
床はここの立地を選んでダンジョン構築を進めて手にはいった月の砂だ。
ダンジョンの建材として構築したからか砂が舞い散ることはない。
足は取られそうだけど。
イメージしたのはビーチだったからパラソル、日差しもきついしね。
「これが僕の作ったダンジョンか。ダンジョンには思えないや。天井ももう少し低くても良かったかな。100メートルってかなり高かったか」
そうこれが僕のダンジョンの地上部分、ダンジョンの鉄の壁には完全遮断維持、透明化、あとは空気と温度維持をかけている。
こういった環境整備をするだけで約500万DPが掛かった。
しかもこの環境を維持するのに更にDPが別途かかる。
温度を維持するのが思ったより安くて助かった。
もし今いる空間から空気がなくなれば僕のもっているDPは一瞬でなくなるだろう。
ダンジョンの攻略法は壁をひたすらけり続けることだと僕は思った。
透明化といっても僕のダンジョンなので僕には見ようと思えばその壁を見れる。
横1キロ縦1キロ高さ100メートルの範囲を覆う鉄の壁が。
このフロアは名付けて月見フロアと呼ぶか。
こちらの世界にも月見文化はあるのだろうか。
後々拡張もしたいけれどDPが足らずいまは広々と、こんなことになっている。
入口のエアロックを模したこれも透明のドアを二回潜り抜けて僕はダンジョンの外にでた。
「やっほーーーーーー! あれ、自分の声は少し変だけど聞こえるんだ。やっほーーーーーー生身で真空なうーーーー! 服も熱くなったりしないし、ああ、この景色もう死んでもいいかも。まぁ収入がなかったらもうすぐ死ぬんだけど」
DPが少しずつ消費されている旨の注意が視界に表示されつつも月の上という空間に僕は興奮していた。
マスターはDPと心臓がある限り不老であり排泄も必要ない。
来ているこの制服にもその保護が効く。
きっと着替えても効く。
次第に興奮が収まると自分の声や心臓の音以外の音が無いこと、それに呼吸音がないことに怖くなった僕はダンジョンに戻った。
DP500ぐらい消費した。
維持分も考えるとあと約2万しかない。
「ああー戻ってきたこの安心感、息ができるって素晴らしい。ダンジョンマスターは人外だね」
まだマーケットから購入通知はこない。
一人アースを見ながら考える。
(まぁそんなにすぐには購入しようとは思わないだろう、何せ高い買い物だからな)
自分を納得させつつ約一キロ先の地下の扉に向かおうとすると頭の中に声をかけられた。
『流石ボク様、この外に出ても平気なのですね。眷属でも外に出れる訳でございますが、このムーンの環境に私では耐えられないでしょうね』
「うわ! びっくりした。ええっと、君はセバス?」
「驚かせて申し訳ありません。執事たるもの黒子のようにいなければなりませんが流石に声をかけなければと。ずっと後ろにいたのですが気づいてもらえず。外に出て行かれた時は多少慌てましたが……お初にお目にかかります。ご存知でしょうがセバスと申します。執事型アダマンタイト人形スライムでございます」
いつのまにいたのだろうか、僕が200万DPも消費して生み出した執事型人形スライム「セバス」が立っていた。
彼の体はマーケットにあった高級なアダマンタイトとかいう重くて硬い金属と球形関節などの僕がもっている知識を使って作られた人形。
それに基本的な魔法を使えてこの世界の一般的なマナーを知り尽くしたスライムが入っている人形スライムだ。
人形には他にもガラスやらカツラ用の何かの毛やら使ったが、スライムを生み出す為に必要な材料は水だけだった。
本体はスライムでマナーの知識か魔法が使えるのが高かったのか、アダマンタイトを使わずにイメージしても100万だったからそう変わらないと思って倍払ってアダマンタイトの人形スライムとして生み出した。
100万のスライムと100万の人形である。
1000万DPも手に入ると思考がおかしくなる。
ちなみにもちろん見た目は初老の紳士である。
球形関節などの知識は郁夫から聞いていた。
(郁夫ならきっとメイド服姿の美少女人形でも作るのかな、いや郁夫は「せっかくの異世界なのになんで人形を愛でるんだよ」とか言うんだろうな)
「ああ、初めまして。ボクではなくムーンと読んでください。これから地下に行こうと思います。ついてきてくれますか」
(こういうのって反乱とかを気にしないといけないんだっけ)
眷属との接し方に戸惑いながらも会話する。
「わかりました、ムーン様。もちろんでございます。私はムーン様の眷属でこざいますからそのように尋ねられなくてもマスターの命令は絶対なのですよ」
魔法による念話でセバスの声を聞くことができる。
(ならもうちょっと砕けて接してもいいのかな)
「いくら眷属でも命令を何でもかんでも使うのはちょっと嫌なんですけど」
「ムーン様がお優しいマスターで何よりです。ただ眷属命令は絶対ということはお覚えください」
(ほうほう。なら怖がらなくていいかな)
「うーん、じゃあ念のために命令をしておこうかな。『このダンジョンの情報を僕の許可なしに漏らさないこと』『僕に僕の許可無しに危害を加えぬこと』『もし君が操られるなんてことになったら君自身その解決を目指すこと、もしくは自分の機動力をなくすこと。自害は最終手段にしてくれ』あとは『僕が操られている、又は僕に危険が迫ったと判断した場合は解決の為にあらゆる手段を許可する』うーんあやふやだし効果があるか微妙な命令になっちゃうけどこんな感じかな」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「うん、じゃあ行こっか」
僕に命令されたのが嬉しいかのようにセバスはそう言った。
そしてセバスと一緒に地下への扉へ向かう。
「一キロって思ったより遠いような」
ちなみにマスターは自分のダンジョン内なら好きなところに転移できる。
所持DPが100万以上あればの話だけれど。
「砂に足を取られますしこの景色が距離感をおかしくさせるのもあるんでしょう」
地下への扉への道をセバスと話しながら進んでいく。
「おおぉ…びゅーてぃほー本当に来ちゃったんだな。異世界」
僕が目を開けると、視界いっぱいに星が広がった。
それにアースが輝いている。
「早速マーケットを開いて出品しないと」
僕の考えはこうだ。
優雅にここからの景色を見てもらう、そしてそれをこのダンジョンの主な収入の一つにする、だ。
100万DPした安楽椅子に座りながらマーケットにこの景色を出品する。
細かい設定入れて出品した。
このマーケットがあったから僕はダンジョンの立地をこのムーンにした。
極端な話だしすごい賭けだけど、この景色を見たらこの光景に大金を払える人がいない世界だったら僕は生きていけなくてもいいと少し開きなおれた。
もし売れなくても別の商品も考えてはいるけれどね.
そっちはただの延命手段でしかない。
立地をムーンのランダムにしなかった理由はムーンの裏側にするとアースが見えないところになるかも知れないからだ。
一億DPの誘惑に僕は打ち勝った。
商品コメントが荒れはじめたのを横目に僕は立ち上がり周囲を見渡す。
何もない。
いや月の中にポツンとさっきまで座っていた椅子の他には机と閉じたパラソルがあるだけ。
床はここの立地を選んでダンジョン構築を進めて手にはいった月の砂だ。
ダンジョンの建材として構築したからか砂が舞い散ることはない。
足は取られそうだけど。
イメージしたのはビーチだったからパラソル、日差しもきついしね。
「これが僕の作ったダンジョンか。ダンジョンには思えないや。天井ももう少し低くても良かったかな。100メートルってかなり高かったか」
そうこれが僕のダンジョンの地上部分、ダンジョンの鉄の壁には完全遮断維持、透明化、あとは空気と温度維持をかけている。
こういった環境整備をするだけで約500万DPが掛かった。
しかもこの環境を維持するのに更にDPが別途かかる。
温度を維持するのが思ったより安くて助かった。
もし今いる空間から空気がなくなれば僕のもっているDPは一瞬でなくなるだろう。
ダンジョンの攻略法は壁をひたすらけり続けることだと僕は思った。
透明化といっても僕のダンジョンなので僕には見ようと思えばその壁を見れる。
横1キロ縦1キロ高さ100メートルの範囲を覆う鉄の壁が。
このフロアは名付けて月見フロアと呼ぶか。
こちらの世界にも月見文化はあるのだろうか。
後々拡張もしたいけれどDPが足らずいまは広々と、こんなことになっている。
入口のエアロックを模したこれも透明のドアを二回潜り抜けて僕はダンジョンの外にでた。
「やっほーーーーーー! あれ、自分の声は少し変だけど聞こえるんだ。やっほーーーーーー生身で真空なうーーーー! 服も熱くなったりしないし、ああ、この景色もう死んでもいいかも。まぁ収入がなかったらもうすぐ死ぬんだけど」
DPが少しずつ消費されている旨の注意が視界に表示されつつも月の上という空間に僕は興奮していた。
マスターはDPと心臓がある限り不老であり排泄も必要ない。
来ているこの制服にもその保護が効く。
きっと着替えても効く。
次第に興奮が収まると自分の声や心臓の音以外の音が無いこと、それに呼吸音がないことに怖くなった僕はダンジョンに戻った。
DP500ぐらい消費した。
維持分も考えるとあと約2万しかない。
「ああー戻ってきたこの安心感、息ができるって素晴らしい。ダンジョンマスターは人外だね」
まだマーケットから購入通知はこない。
一人アースを見ながら考える。
(まぁそんなにすぐには購入しようとは思わないだろう、何せ高い買い物だからな)
自分を納得させつつ約一キロ先の地下の扉に向かおうとすると頭の中に声をかけられた。
『流石ボク様、この外に出ても平気なのですね。眷属でも外に出れる訳でございますが、このムーンの環境に私では耐えられないでしょうね』
「うわ! びっくりした。ええっと、君はセバス?」
「驚かせて申し訳ありません。執事たるもの黒子のようにいなければなりませんが流石に声をかけなければと。ずっと後ろにいたのですが気づいてもらえず。外に出て行かれた時は多少慌てましたが……お初にお目にかかります。ご存知でしょうがセバスと申します。執事型アダマンタイト人形スライムでございます」
いつのまにいたのだろうか、僕が200万DPも消費して生み出した執事型人形スライム「セバス」が立っていた。
彼の体はマーケットにあった高級なアダマンタイトとかいう重くて硬い金属と球形関節などの僕がもっている知識を使って作られた人形。
それに基本的な魔法を使えてこの世界の一般的なマナーを知り尽くしたスライムが入っている人形スライムだ。
人形には他にもガラスやらカツラ用の何かの毛やら使ったが、スライムを生み出す為に必要な材料は水だけだった。
本体はスライムでマナーの知識か魔法が使えるのが高かったのか、アダマンタイトを使わずにイメージしても100万だったからそう変わらないと思って倍払ってアダマンタイトの人形スライムとして生み出した。
100万のスライムと100万の人形である。
1000万DPも手に入ると思考がおかしくなる。
ちなみにもちろん見た目は初老の紳士である。
球形関節などの知識は郁夫から聞いていた。
(郁夫ならきっとメイド服姿の美少女人形でも作るのかな、いや郁夫は「せっかくの異世界なのになんで人形を愛でるんだよ」とか言うんだろうな)
「ああ、初めまして。ボクではなくムーンと読んでください。これから地下に行こうと思います。ついてきてくれますか」
(こういうのって反乱とかを気にしないといけないんだっけ)
眷属との接し方に戸惑いながらも会話する。
「わかりました、ムーン様。もちろんでございます。私はムーン様の眷属でこざいますからそのように尋ねられなくてもマスターの命令は絶対なのですよ」
魔法による念話でセバスの声を聞くことができる。
(ならもうちょっと砕けて接してもいいのかな)
「いくら眷属でも命令を何でもかんでも使うのはちょっと嫌なんですけど」
「ムーン様がお優しいマスターで何よりです。ただ眷属命令は絶対ということはお覚えください」
(ほうほう。なら怖がらなくていいかな)
「うーん、じゃあ念のために命令をしておこうかな。『このダンジョンの情報を僕の許可なしに漏らさないこと』『僕に僕の許可無しに危害を加えぬこと』『もし君が操られるなんてことになったら君自身その解決を目指すこと、もしくは自分の機動力をなくすこと。自害は最終手段にしてくれ』あとは『僕が操られている、又は僕に危険が迫ったと判断した場合は解決の為にあらゆる手段を許可する』うーんあやふやだし効果があるか微妙な命令になっちゃうけどこんな感じかな」
「かしこまりました。ありがとうございます」
「うん、じゃあ行こっか」
僕に命令されたのが嬉しいかのようにセバスはそう言った。
そしてセバスと一緒に地下への扉へ向かう。
「一キロって思ったより遠いような」
ちなみにマスターは自分のダンジョン内なら好きなところに転移できる。
所持DPが100万以上あればの話だけれど。
「砂に足を取られますしこの景色が距離感をおかしくさせるのもあるんでしょう」
地下への扉への道をセバスと話しながら進んでいく。
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