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16話目 はじめての支援は友人へ!

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「やはり来たか」

「ユウジ様、私達は一体どうなっちゃうんでしょうか」

ルピスが不安そうにそう言う。

今俺のダンジョンはココロとフォーリナの両軍勢に囲まれていた。
両軍勢が睨み合っている間に俺のダンジョンがあると言ったほうがいいか。

「主様、空からの偵察で軍勢の数がわかりました。確認できたのはココロと見られる軍勢200、フォーリナと見られる軍勢300です」

天使族の一人が俺にそう言う。

「そんなに!」

ルピスが青ざめる。

「銃や大砲は?」

「主様の言うようなものは確認できませんでした」

「それは良かった」  

この世界は前世に比べて遅れてる。
俺みたいなただの高校生だって戦えるはずさ。

自分を鼓舞する。

「何がいいんですか!もう私達はこのまま殺されてしまうのですよ! ここが兎族の終わりとなってしまうのですよ!」

当然ルピスは悲観にくれているが大丈夫だと言外に言ってやる。

「そうか。言った通りに準備は出来ているのか? 負けるつもりはないぞ」

「熱湯にその…汚物に竹槍に諸々、準備出来てますですよ! 村のみんなはやる気満々です。もうそれは怖いぐらいに! 終わりにひた走るように!」

「うん、それなら大丈夫だ」

「うう~~! 死ぬ覚悟なら出来てますけど~~!」

しばらくして両軍勢からの使者がダンジョンにやってきた。
てっきりいきなり襲ってくると思ったが使者を送ってくるとは。
話を聞くにココロ側の言い分は兎族の引き渡しのみ、ココロはこのダンジョンに手出しはしないそうだ。
フォーリナの言い分は兎族の引き渡しならびにこのダンジョンまでの領土と俺の命。
ただし兎族を渡せば俺の命は助けてくれるそうだ。
非常に嘘くさい。

この言い分が正しいならココロの味方をした方がいいのだろうが俺の考えは変わらなかった。
どっちも信じられないしな。

「兎族は我がダンジョンの大事な客人である。双方に渡すつもりはない。兎族の意志は固いぞ」

さっさと使者達は帰っていった。

「どうして兎族を助けに来てくれなかったんだ! ここのダンジョンマスターは助けてくれたぞ!」

「どうしてコロナス村に来る前にフォーリナを倒さなかった!」

「フォーリナのくそったれー! くるならかかってこい!」

難民達は使者に向かってそう言った。
いつ暴発するかヒヤヒヤした。

使者達が帰り、しばらくした後。
フォーリナの兵士が襲いかかってきた。

対処は単純だ。
天使族は空から状況を確認して魔法による通信で指示を伝達、あと負傷者の回復を任せた。
鎧武者達と兎族は迫り来る敵を用意した武器で殺し続ける。
これが作戦だ。
やられずに持久戦になればいい。
ダンジョンの力でこちらはずっと戦い続けられる。

「ココロはあそこで突っ立って何をしているんです!私達を助けてくれないのですか!」

ルピスがそう叫ぶ。

「まぁココロからしてみれば俺たちとフォーリナが争って疲弊してくれればいいんだろうね。兎族はココロの救いの手を断ったから死んでもいいとでも思っているさ」

俺は難民達の元に向かった。

「みんな、聞いてくれ! ココロは君たちを見捨てた! フォーリナは君たちを物として見てる! 俺は激しい怒りを感じる!  だからこれから君たちの村を破壊した奴らに君たちに勝つ必勝法を、力を授ける! 」

堂々と大声で俺は叫ぶ。
士気を高めないと俺まで死ぬ事になる。

「死ぬな!生きて嫌がらせをし続けろ! これで勝てる。俺を信じてくれ。君たちは物じゃないと奴らに見せつけてやれ!」

「「おおー!」

1日目の襲撃は単調な突撃だった。
熱湯や汚物をかけてやったら簡単に怯んでしばらくしたら攻めてこなくなった。
熱湯を自分にかけてしまい亡くなった子供が居た。

2日目の襲撃は魔術と思える火の玉やら石やらが飛んできてヒヤヒヤしたが無事に乗り越えることができた。
城壁に攻撃を続けているようだが、DPには余裕がある為問題にはならない。
だが難民達も疲弊していた。
こちらも既に20人は亡くなった。
戦いは予想以上に辛いものだった。
持久戦の考えは捨てた。
明日で決着をつける。

そして三日目、手の回らなくなりつつある状況で念の為にもダメ元でムーンに助けを求めるとすぐに一人送ってくれることになった。 
初めから助けを請うべきだっただろうか。

「貴方が私のマスター、ムーン様のご友人のユウジ・ショウトク様ですね。私の名前はセバスでございます」

「あ、あぁ。ようこそ。ユウジでいいよ。実に強そうだ」

俺の前に立っていたものは黒く、人に似た人形だった。
はっきり言って不気味だった。
あまり期待はしてなかったがムーンのやつは相変わらず良い意味で普通じゃないな。
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