22 / 37
第三章
超古代文明
しおりを挟む
1時間ほどが経過したあたりで、ゆっくりと目を開けた誠志郎は、ビフォアプラネットと地球に関する歴史について、いつもどおりの丁寧な口調で話してくれた。
「我々の住む銀河系に太陽が誕生してから数億年後、太陽系第二惑星としてビフォアプラネットが誕生しました。空は地球と同じような青色で、海もあります。やがて生命が誕生し、長い時間をかけてゆっくりと進化していきました。そしてその中から、高度な知能を有する生命体が誕生し、この星に高度な文明を築き上げたようです。彼らの見た目は地球人と似ていますが、みんな緑色の目をしています。彼らだけではなく、他の動物たちも同じように緑色の目をしていました。もしかしたらこの星の生物は、光合成のようなかたちでエネルギーを得て暮らしていたのかもしれません。しかし、植物は存在しないようでした。その後、その星の人々は何かを巡って激しく対立します。その対立が原因なのか、その後ビフォアプラネットは粉々に砕け散ってしまいました。そしてその砕け散ったビフォアプラネットの欠片が、金星、そして地球へと姿を変えていったようです」
「誕生当初はマグマに覆われていた地球ですが、やがて海が創られ、そこに生命が誕生し、長い長い時間を経て、まずは植物や昆虫たちが陸上に栄えてゆきました。そこからしばらくして、動物たちも陸上へと進出してゆき、陸上では様々な生き物が暮らすようになりました。しかしその一方で、生物の大量絶滅が発生してしまうことも何度かありました。氷河期の到来、大規模な火山の噴火、巨大な隕石の衝突などがその原因で、恐竜たちも隕石の衝突を機にどんどん数を減らしていきました。しかしそれらとはまた別の原因によって動物たちが大量に死滅してしまうこともあったようです。それにはある花が関係しています。その花の周りにいる動物たちが、どんどん死んでいくのです。植物や昆虫たちはびくともしないのですが、やがてその花の周囲は、動物の遺体でいっぱいになってしまいます。花から数百メートル、数キロメートル離れたあたりにまでその死の力は及んでいました。しかし、その後の長い歴史の中で、その花は徐々に数を減らしていき、いつしか地上から姿を消したようです。激変する地球の環境に耐えられなかったのかもしれません。そして運良く絶滅を免れた動物たちがそれぞれに進化を遂げ、現代へと繋がっていきます。大雑把ですが、これがビフォアプラネットと、地球誕生から現代までの歴史です」
「なるほど……。この世界には、そんな過去があったのか……。その動物の大量死の原因となった花のことなんだけど、その花はもう地球上には存在していないのかな?」優莉が不安そうな表情で尋ねた。
「この花が動物の大量死の原因であるとして、かつ現在地球上のいたる所にあらゆる動物が生存していることを考えれば、その花はすでに絶滅した。と考えたいところですが、あまり人間が立ち入らないような場所などに、他の木や草の陰に隠れてひっそりと咲いている可能性も否定できません。ちなみにこの花は”存在しないこと”で有名な花です。もし誰かがこの花を発見すれば、世界中の人々を驚かせる大ニュースになるはずです」
「存在しない花……、もしかして、青い薔薇?」ミューが尋ねた。
「はい。まさにそのとおり、青い薔薇です」
「我々の住む銀河系に太陽が誕生してから数億年後、太陽系第二惑星としてビフォアプラネットが誕生しました。空は地球と同じような青色で、海もあります。やがて生命が誕生し、長い時間をかけてゆっくりと進化していきました。そしてその中から、高度な知能を有する生命体が誕生し、この星に高度な文明を築き上げたようです。彼らの見た目は地球人と似ていますが、みんな緑色の目をしています。彼らだけではなく、他の動物たちも同じように緑色の目をしていました。もしかしたらこの星の生物は、光合成のようなかたちでエネルギーを得て暮らしていたのかもしれません。しかし、植物は存在しないようでした。その後、その星の人々は何かを巡って激しく対立します。その対立が原因なのか、その後ビフォアプラネットは粉々に砕け散ってしまいました。そしてその砕け散ったビフォアプラネットの欠片が、金星、そして地球へと姿を変えていったようです」
「誕生当初はマグマに覆われていた地球ですが、やがて海が創られ、そこに生命が誕生し、長い長い時間を経て、まずは植物や昆虫たちが陸上に栄えてゆきました。そこからしばらくして、動物たちも陸上へと進出してゆき、陸上では様々な生き物が暮らすようになりました。しかしその一方で、生物の大量絶滅が発生してしまうことも何度かありました。氷河期の到来、大規模な火山の噴火、巨大な隕石の衝突などがその原因で、恐竜たちも隕石の衝突を機にどんどん数を減らしていきました。しかしそれらとはまた別の原因によって動物たちが大量に死滅してしまうこともあったようです。それにはある花が関係しています。その花の周りにいる動物たちが、どんどん死んでいくのです。植物や昆虫たちはびくともしないのですが、やがてその花の周囲は、動物の遺体でいっぱいになってしまいます。花から数百メートル、数キロメートル離れたあたりにまでその死の力は及んでいました。しかし、その後の長い歴史の中で、その花は徐々に数を減らしていき、いつしか地上から姿を消したようです。激変する地球の環境に耐えられなかったのかもしれません。そして運良く絶滅を免れた動物たちがそれぞれに進化を遂げ、現代へと繋がっていきます。大雑把ですが、これがビフォアプラネットと、地球誕生から現代までの歴史です」
「なるほど……。この世界には、そんな過去があったのか……。その動物の大量死の原因となった花のことなんだけど、その花はもう地球上には存在していないのかな?」優莉が不安そうな表情で尋ねた。
「この花が動物の大量死の原因であるとして、かつ現在地球上のいたる所にあらゆる動物が生存していることを考えれば、その花はすでに絶滅した。と考えたいところですが、あまり人間が立ち入らないような場所などに、他の木や草の陰に隠れてひっそりと咲いている可能性も否定できません。ちなみにこの花は”存在しないこと”で有名な花です。もし誰かがこの花を発見すれば、世界中の人々を驚かせる大ニュースになるはずです」
「存在しない花……、もしかして、青い薔薇?」ミューが尋ねた。
「はい。まさにそのとおり、青い薔薇です」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
狭間の世界
aoo
SF
平凡な日々を送る主人公が「狭間の世界」の「鍵」を持つ救世主だと知る。
記憶をなくした主人公に迫り来る組織、、、
過去の彼を知る仲間たち、、、
そして謎の少女、、、
「狭間」を巡る戦いが始まる。
鉄錆の女王機兵
荻原数馬
SF
戦車と一体化した四肢無き女王と、荒野に生きる鉄騎士の物語。
荒廃した世界。
暴走したDNA、ミュータントの跳梁跋扈する荒野。
恐るべき異形の化け物の前に、命は無残に散る。
ミュータントに攫われた少女は
闇の中で、赤く光る無数の目に囲まれ
絶望の中で食われ死ぬ定めにあった。
奇跡か、あるいはさらなる絶望の罠か。
死に場所を求めた男によって助け出されたが
美しき四肢は無残に食いちぎられた後である。
慈悲無き世界で二人に迫る、甘美なる死の誘惑。
その先に求めた生、災厄の箱に残ったものは
戦車と一体化し、戦い続ける宿命。
愛だけが、か細い未来を照らし出す。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる