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第三章
パワーストーン
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翌日の15時頃、誠志郎から連絡があった。
「たくさん睡眠を取ったのでもう大丈夫です。みんなでビフォアプラネットの謎を解き明かしましょう。明日、行きたい場所があるのですが、皆さんの予定はどうですか?」とのことだった。
ちょうどみんな予定が空いていたので、明日の13時、新宿駅に集合することとなった。
そういえば、最近ずっとみんなと過ごしていたから、1日中1人でいるのは久しぶりだ。今までずーっと1人で過ごしてきたはずなのに、たった数日みんなと過ごしただけで、なんだか1人でいることにとても違和感がある。そんなもんなのかな。
それにしても、大人になってからこんなに素敵な友達に出会えるとは思ってなかった。このままずっと1人で、ただ死んでいくだけだとばかり思っていた。
あとどのくらい、みんなと一緒に過ごせるだろう。あとどのくらい、みんなと笑い合えるだろう……。
あー、駄目だ。悪い方悪い方へ考えてしまう。
こんな風に考えちゃ駄目だ。もっと明るく、明るく過ごさなきゃ。今日はもう何もせず、早めに寝て明日に備えよう。
薬を飲み、しばらくして眠りについた。
そのまた翌日、俺たち5人は新宿駅に集合し、誠志郎に案内されてとある場所へと向かった。
「地球とビフォアプラネットの歴史を知るために何が必要であるかを考えてみたところ、まず最初に思い浮かんだのが”石”でした。地球は石でできているわけですから、石の過去をたどれば、地球とビフォアプラネットの歴史を読み取ることができるんじゃないかと考えたんです」
「ほお。なるほど」優莉がふむふむといった感じの表情で頷いている。
「そのための石が欲しくて、なので、ここに来たかったんです」
「ここは……、パワーストーン屋さん?」ミューがお店の看板を眺めながらそう尋ねた。
「そうです。道に落ちてる石ころよりも、パワーストーンの方がかっこいい気がして」
「おお、いいねえ! かっこよさ、大事だよね! 私もそう思うよ!」ノリノリの優莉であった。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧ください」お店に入ると、店員さんが温かく迎えてくれた。
店内には様々なパワーストーンが並べられている。どれも綺麗な石ばかりだ。この中から、この世界の歴史を読み取るのにふさわしい石を探すことになった。さて、どれがいいだろうか。
「この『アズロマラカイト』っていう石は、見た目が地球っぽいしぴったりかも!」
「わー! ほんとだ! ミューはセンスいいなあ。綺麗だねこれ。『アズライト』っていう青い石と、『マラカイト』っていう緑の石が混ざり合ってできてるのかあ。それぞれの石も綺麗だねえ」
「『水晶』なんてどうですかね? いかにも何かが見えそうな気がします」
「確かに『水晶』はぴったりだね。誠志郎と俺以外の誰かでも、過去や未来が見えそうだ。あ、『トパーズ』だ。これ、俺の誕生石なんだ。買おっかな?」
「誕生石といえば、私の場合は『ダイヤモンド』だったかなあ。4月生まれなので」
「へえ~! レーコさんの誕生石はダイヤなんだあ。なんかいいですねえ。私の誕生石は、たしか『ガーネット』っていう赤い石だったかな。あ、これだこれだ。結構綺麗だよね~」
思い思いに石を選んでみるが、なかなか決まらない。
「やっぱり、誠志郎がいいと思ったものが一番いいんじゃないかな! 誠志郎はどの石が一番気に入った?」
「そうですねえ、どれも素敵な石なので迷いますが……、やはり水晶ですかね!」
「お! じゃあ水晶にしようよ! みんなもいいかなあ?」
俺もミューも玲子さんも、異論はなかった。
かくして、地球とビフォアプラネットの歴史を知るための石は、水晶に決定した。
その後、新宿から一番近いということで、いつもの喫茶店ではなく、ミューの家に移動した。ミューは実家暮らしで、部屋は結構広い。
「けど、本当にこんな小さな石で、数十億年の記憶をさかのぼれるかなあ?」優莉が尋ねた。
「僕1人の力では無理でしょうね。せいぜいこの水晶に関する風景だけしか見えないと思います。しかし、皆さんの力をお借りすることで、きっと見えるはずです」
4人の手を、誠志郎の左手に重ねた。そっと両手で水晶を握り込んだ誠志郎は、たった1人、悠久の歴史をさかのぼる旅に出た。
「たくさん睡眠を取ったのでもう大丈夫です。みんなでビフォアプラネットの謎を解き明かしましょう。明日、行きたい場所があるのですが、皆さんの予定はどうですか?」とのことだった。
ちょうどみんな予定が空いていたので、明日の13時、新宿駅に集合することとなった。
そういえば、最近ずっとみんなと過ごしていたから、1日中1人でいるのは久しぶりだ。今までずーっと1人で過ごしてきたはずなのに、たった数日みんなと過ごしただけで、なんだか1人でいることにとても違和感がある。そんなもんなのかな。
それにしても、大人になってからこんなに素敵な友達に出会えるとは思ってなかった。このままずっと1人で、ただ死んでいくだけだとばかり思っていた。
あとどのくらい、みんなと一緒に過ごせるだろう。あとどのくらい、みんなと笑い合えるだろう……。
あー、駄目だ。悪い方悪い方へ考えてしまう。
こんな風に考えちゃ駄目だ。もっと明るく、明るく過ごさなきゃ。今日はもう何もせず、早めに寝て明日に備えよう。
薬を飲み、しばらくして眠りについた。
そのまた翌日、俺たち5人は新宿駅に集合し、誠志郎に案内されてとある場所へと向かった。
「地球とビフォアプラネットの歴史を知るために何が必要であるかを考えてみたところ、まず最初に思い浮かんだのが”石”でした。地球は石でできているわけですから、石の過去をたどれば、地球とビフォアプラネットの歴史を読み取ることができるんじゃないかと考えたんです」
「ほお。なるほど」優莉がふむふむといった感じの表情で頷いている。
「そのための石が欲しくて、なので、ここに来たかったんです」
「ここは……、パワーストーン屋さん?」ミューがお店の看板を眺めながらそう尋ねた。
「そうです。道に落ちてる石ころよりも、パワーストーンの方がかっこいい気がして」
「おお、いいねえ! かっこよさ、大事だよね! 私もそう思うよ!」ノリノリの優莉であった。
「いらっしゃいませ。ごゆっくりご覧ください」お店に入ると、店員さんが温かく迎えてくれた。
店内には様々なパワーストーンが並べられている。どれも綺麗な石ばかりだ。この中から、この世界の歴史を読み取るのにふさわしい石を探すことになった。さて、どれがいいだろうか。
「この『アズロマラカイト』っていう石は、見た目が地球っぽいしぴったりかも!」
「わー! ほんとだ! ミューはセンスいいなあ。綺麗だねこれ。『アズライト』っていう青い石と、『マラカイト』っていう緑の石が混ざり合ってできてるのかあ。それぞれの石も綺麗だねえ」
「『水晶』なんてどうですかね? いかにも何かが見えそうな気がします」
「確かに『水晶』はぴったりだね。誠志郎と俺以外の誰かでも、過去や未来が見えそうだ。あ、『トパーズ』だ。これ、俺の誕生石なんだ。買おっかな?」
「誕生石といえば、私の場合は『ダイヤモンド』だったかなあ。4月生まれなので」
「へえ~! レーコさんの誕生石はダイヤなんだあ。なんかいいですねえ。私の誕生石は、たしか『ガーネット』っていう赤い石だったかな。あ、これだこれだ。結構綺麗だよね~」
思い思いに石を選んでみるが、なかなか決まらない。
「やっぱり、誠志郎がいいと思ったものが一番いいんじゃないかな! 誠志郎はどの石が一番気に入った?」
「そうですねえ、どれも素敵な石なので迷いますが……、やはり水晶ですかね!」
「お! じゃあ水晶にしようよ! みんなもいいかなあ?」
俺もミューも玲子さんも、異論はなかった。
かくして、地球とビフォアプラネットの歴史を知るための石は、水晶に決定した。
その後、新宿から一番近いということで、いつもの喫茶店ではなく、ミューの家に移動した。ミューは実家暮らしで、部屋は結構広い。
「けど、本当にこんな小さな石で、数十億年の記憶をさかのぼれるかなあ?」優莉が尋ねた。
「僕1人の力では無理でしょうね。せいぜいこの水晶に関する風景だけしか見えないと思います。しかし、皆さんの力をお借りすることで、きっと見えるはずです」
4人の手を、誠志郎の左手に重ねた。そっと両手で水晶を握り込んだ誠志郎は、たった1人、悠久の歴史をさかのぼる旅に出た。
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