7 / 7
忘年会の隅っこで 小話②
しおりを挟む
何で羽根君が気になったんだろう。
いつの間にか僕の家の食卓の輪の中にいて、父や母がテレビのスポーツ中継で二人で盛り上がっているときも、ついて行けない僕に気をつかってくれていた。
大学の研究室の仲間たちの忘年会に連れていかれた。毎年会っていて何となく顔を知ってるおじさんやお兄さんたちに囲まれてる。
子どもは僕一人。
皆、父や母の付属品の僕を子ども扱いしてまともに相手にしてくれない。
冷えたケータリングの蟹グラタンを取って会場の隅っこにいる羽根君を見つけて隣にに座る。
羽根君は「やぁ」と嬉しそうに声を掛けてくれた。
「和君、楽しんでる?」
僕は最大級のしかめっ面で答えた。
「全然、楽しくない。早く帰りたい」
それを聞いた羽根君はそっかーという返事をして笑っていた。
隅っこから見かける父や母はいろんな人と話をしていて楽しそうだ。
会場の隅で静かに一人座って飲んでいる羽根君が気になった。
「羽根君は楽しいの?」
「僕も和君と一緒で早く帰りたい。でもそれを言うとみんなに怒られちゃうから内緒だよ」
そう言って羽根君は少し笑った。
二人で周りのやり取りをただ眺めている。
羽根君としゃべらないでただ横にいるだけで何だか楽しかった。
静か過ぎる羽根君をよく見ると目は父の姿を追っていた。羽根君の関心が父に向いているのに気がついて僕は急に面白くなくなった。
無理矢理学校の面白い話を引っ張りだしてみた。羽根君は僕の話に耳を傾けてくれる。
羽根君の関心をもっと引きたくて父さんや母さんの変な暴露話をしていたら、いつの間にお開きになっていたのか母さんが傍に居て「余計な事を言うんじゃないの」と僕の頭を小突いてきた。
「ネグレクトで児童虐待じゃないか」
僕の抗議は羽根君にお礼を言う母さんに無視された。
「早く帰るわよ」と引っ張られ連れ去られる僕。
「またね、和君」と過激な二次会に拉致される予定をまだ知らない羽根君は、優しそうな笑顔で手を振っていた。
いつの間にか僕の家の食卓の輪の中にいて、父や母がテレビのスポーツ中継で二人で盛り上がっているときも、ついて行けない僕に気をつかってくれていた。
大学の研究室の仲間たちの忘年会に連れていかれた。毎年会っていて何となく顔を知ってるおじさんやお兄さんたちに囲まれてる。
子どもは僕一人。
皆、父や母の付属品の僕を子ども扱いしてまともに相手にしてくれない。
冷えたケータリングの蟹グラタンを取って会場の隅っこにいる羽根君を見つけて隣にに座る。
羽根君は「やぁ」と嬉しそうに声を掛けてくれた。
「和君、楽しんでる?」
僕は最大級のしかめっ面で答えた。
「全然、楽しくない。早く帰りたい」
それを聞いた羽根君はそっかーという返事をして笑っていた。
隅っこから見かける父や母はいろんな人と話をしていて楽しそうだ。
会場の隅で静かに一人座って飲んでいる羽根君が気になった。
「羽根君は楽しいの?」
「僕も和君と一緒で早く帰りたい。でもそれを言うとみんなに怒られちゃうから内緒だよ」
そう言って羽根君は少し笑った。
二人で周りのやり取りをただ眺めている。
羽根君としゃべらないでただ横にいるだけで何だか楽しかった。
静か過ぎる羽根君をよく見ると目は父の姿を追っていた。羽根君の関心が父に向いているのに気がついて僕は急に面白くなくなった。
無理矢理学校の面白い話を引っ張りだしてみた。羽根君は僕の話に耳を傾けてくれる。
羽根君の関心をもっと引きたくて父さんや母さんの変な暴露話をしていたら、いつの間にお開きになっていたのか母さんが傍に居て「余計な事を言うんじゃないの」と僕の頭を小突いてきた。
「ネグレクトで児童虐待じゃないか」
僕の抗議は羽根君にお礼を言う母さんに無視された。
「早く帰るわよ」と引っ張られ連れ去られる僕。
「またね、和君」と過激な二次会に拉致される予定をまだ知らない羽根君は、優しそうな笑顔で手を振っていた。
0
お気に入りに追加
12
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
肌が白くて女の子みたいに綺麗な先輩。本当におしっこするのか気になり過ぎて…?
こじらせた処女
BL
槍本シュン(やりもとしゅん)の所属している部活、機器操作部は2つ上の先輩、白井瑞稀(しらいみずき)しか居ない。
自分より身長の高い大男のはずなのに、足の先まで綺麗な先輩。彼が近くに来ると、何故か落ち着かない槍本は、これが何なのか分からないでいた。
ある日の冬、大雪で帰れなくなった槍本は、一人暮らしをしている白井の家に泊まることになる。帰り道、おしっこしたいと呟く白井に、本当にトイレするのかと何故か疑問に思ってしまい…?
年上が敷かれるタイプの短編集
あかさたな!
BL
年下が責める系のお話が多めです。
予告なくr18な内容に入ってしまうので、取扱注意です!
全話独立したお話です!
【開放的なところでされるがままな先輩】【弟の寝込みを襲うが返り討ちにあう兄】【浮気を疑われ恋人にタジタジにされる先輩】【幼い主人に狩られるピュアな執事】【サービスが良すぎるエステティシャン】【部室で思い出づくり】【No.1の女王様を屈服させる】【吸血鬼を拾ったら】【人間とヴァンパイアの逆転主従関係】【幼馴染の力関係って決まっている】【拗ねている弟を甘やかす兄】【ドSな執着系執事】【やはり天才には勝てない秀才】
------------------
新しい短編集を出しました。
詳しくはプロフィールをご覧いただけると幸いです。
学校の脇の図書館
理科準備室
BL
図書係で本の好きな男の子の「ぼく」が授業中、学級文庫の本を貸し出している最中にうんこがしたくなります。でも学校でうんこするとからかわれるのが怖くて必死に我慢します。それで何とか終わりの会までは我慢できましたが、もう家までは我慢できそうもありません。そこで思いついたのは学校脇にある市立図書館でうんこすることでした。でも、学校と違って市立図書館には中高生のおにいさん・おねえさんやおじいさんなどいろいろな人が・・・・。「けしごむ」さんからいただいたイラスト入り。
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
君が好き過ぎてレイプした
眠りん
BL
ぼくは大柄で力は強いけれど、かなりの小心者です。好きな人に告白なんて絶対出来ません。
放課後の教室で……ぼくの好きな湊也君が一人、席に座って眠っていました。
これはチャンスです。
目隠しをして、体を押え付ければ小柄な湊也君は抵抗出来ません。
どうせ恋人同士になんてなれません。
この先の長い人生、君の隣にいられないのなら、たった一度少しの時間でいい。君とセックスがしたいのです。
それで君への恋心は忘れます。
でも、翌日湊也君がぼくを呼び出しました。犯人がぼくだとバレてしまったのでしょうか?
不安に思いましたが、そんな事はありませんでした。
「犯人が誰か分からないんだ。ねぇ、柚月。しばらく俺と一緒にいて。俺の事守ってよ」
ぼくはガタイが良いだけで弱い人間です。小心者だし、人を守るなんて出来ません。
その時、湊也君が衝撃発言をしました。
「柚月の事……本当はずっと好きだったから」
なんと告白されたのです。
ぼくと湊也君は両思いだったのです。
このままレイプ事件の事はなかった事にしたいと思います。
※誤字脱字があったらすみません
【完結】小さな光 リヒト 〜不幸な奴隷少年と領主が幸せになる話〜
ハリネズミ
BL
両親の死後、ひとりぼっちになった少年は親戚によって両親が残してくれた僅かばかりの財産も奪われ、自身は奴隷商へと売られてしまう。少年の持つ美貌からただの『奴隷』ではなく『愛玩奴隷』として教育を受けることになるが──。
奴隷として生きる少年はひどい暴力と、劣悪な環境の中でも必死に生きていた。そんな少年が怪我をした意識のない青年を拾う。少年は自身もギリギリな中、看病を懸命におこなうが、青年は姿を消してしまう。
まったく違う世界に生きるふたりが出会い、別れた。ふたりの運命はそのまま交わることはないのか、それとも──。
騙されて奴隷落ちした少年と家族を殺され、若くして領主になった青年との恋のお話。
※ムナクソ、人死に、暴力などの表現が結構あります。苦手な方はご自衛ください。
※設定についてもふんわりなので、優しい目で見ていただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる