赤い果実の滴り

balsamico

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愛撫 ※

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テオのごつごつした指は最小限にしか触れない。指先の硬化し割れた皮は肌に白い線を引き傷を作る、それを避けるためだ。


触れそうで触れない微妙な距離を保ち指先は背筋をなぞってゆく。
硬い指がかすかに触れると私の肌はぞくりと粟立ち、身は震えた。





テオの硬い指が好きだ。
それは彼の日々の鍛練の結果だから。手の皮の厚さや各箇所に残る古い傷痕、厚い筋肉が訓練の過酷さと彼の実直さを物語っている。


使用後の武具の手入れは人任せにせず自ら油を引く。時間があれば馬に刷毛を掛けにいく。幼い頃から薫陶を受けた剣術の師匠の教えらしい。
訓練所では偉ぶりもせず身分でわけ隔てをしないので訓練生たちに慕われている。
これは家令のリームに聞いた話。
リームは前の屋敷からこの家に仕え、幼き頃からのテオをよく知る人物だ。


リームもそうだが、この屋敷の人たちは皆嬉しそうにテオを語る。各人がおのおの違うテオの逸話を持つので私は隙をみつけてはその話をねだり、語るその人を見た。


話には語り手の人柄や人生観がにじみ出る。新しいテオや語り手のその人を知ることは私の楽しみの一つだった。





首筋を舌が這いそのまま背中や体表を濡らし私の熱を奪っていく。


ささやかなふくらみを濡れた舌が這い、先端部を口に含まれ引っ張られる。舌先でねぶられると、ただくすぐったかったそれはチリリとした微細な刺激にかわり身体の深部まで達して熱に変わる。

「テ、テオ…んっ」

持てあます熱に困惑する私はテオの名を呼ぶ。その声は厚めの唇でくちゅりと塞がれ摘み取られる。
身体のあちこちに舌を這わされ、自分のものとは思えない切なげな声をあげていた。


私の中には未熟で固いままのラナの実のような私がいた。身を丸め縮こまったままの私は、何回かのテオの愛撫で溶かされ、いつの間にか姿を見失っていた。





息を整えていると布ごしにぎゅうっと抱きしめられた。
耳元にかかるテオの熱い息。

「しばらく、このままでいさせて……」

テオの熱が私を覆う。
私の熱と重なり熱は逃げ場を失っている。
そのまま動かずにいると腰にあたるものの存在が気になりだした。


掛け布の下の私は裸体でテオは下穿きを纏っている。これまで何回かあった愛撫行為の後のテオは、私から離れると直ぐに別室に向かう。今までも察してはいたけれど見ない振りをしていた。


異母兄に触れられたときを思い出す。
兄は私にそれを触れさせたがった。
触られると気持ちがよいらしい。


鴇色のそれは触れていると大きく震え、どろりとした白い液体を吐き出した。指の間を伝うさらさらとした粘液は私に嫌悪をもたらした。


汗で湿るテオの腕をつかみ自分から唇を合わせた。テオも強く唇を吸い返してくる。部屋はしばらくくちゃくちゃした水音だけ響いていた。


その隙に私は手を下に伸ばし熱に触れた。びくりとして腰を引くテオ。私は更に手を進める。


布の越しに形をなぞり軸をつかんだ。
気持ち悪いとは思わなかった。不快さとは対極にあった。

「……してくれるの?」

驚くテオ。私は頷いて下穿きの中に手を差し入れた。熱くすべらかなものに触れる。先端はぬるつき布地は湿っていた。


テオの腰を浮かせて布地を引きさげる。
優しく肉をつかみ擦りだした。
ぬるんだ先端を指でなぞるとくちくちと音をたてる。

「ん、気持ちいい…」

くびれをたどると根が張ったような筋が浮き上がる。しばらく指で作った輪で軸やくびれを擦っていると軸の中心が膨れ上がった気がした。
 
「……っ」

テオは言葉にならない声があげ、ぶるりと全身を震わせる。
前後に揺れながら吐き出される白濁。手を濡らすそれは私に嫌悪をもたらさなかった。
少し上気をしたテオと目があった。口を吸われる。


テオには無理強いされないという信頼があった。怖くはないし、テオが気持ちをよさそうにしている姿を見ると嬉しくなる。私自身が彼を気持ちよくできたことを嬉しく思った。
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