9 / 15
愛撫 ※
しおりを挟むテオのごつごつした指は最小限にしか触れない。指先の硬化し割れた皮は肌に白い線を引き傷を作る、それを避けるためだ。
触れそうで触れない微妙な距離を保ち指先は背筋をなぞってゆく。
硬い指がかすかに触れると私の肌はぞくりと粟立ち、身は震えた。
*
テオの硬い指が好きだ。
それは彼の日々の鍛練の結果だから。手の皮の厚さや各箇所に残る古い傷痕、厚い筋肉が訓練の過酷さと彼の実直さを物語っている。
使用後の武具の手入れは人任せにせず自ら油を引く。時間があれば馬に刷毛を掛けにいく。幼い頃から薫陶を受けた剣術の師匠の教えらしい。
訓練所では偉ぶりもせず身分でわけ隔てをしないので訓練生たちに慕われている。
これは家令のリームに聞いた話。
リームは前の屋敷からこの家に仕え、幼き頃からのテオをよく知る人物だ。
リームもそうだが、この屋敷の人たちは皆嬉しそうにテオを語る。各人がおのおの違うテオの逸話を持つので私は隙をみつけてはその話をねだり、語るその人を見た。
話には語り手の人柄や人生観がにじみ出る。新しいテオや語り手のその人を知ることは私の楽しみの一つだった。
*
首筋を舌が這いそのまま背中や体表を濡らし私の熱を奪っていく。
ささやかなふくらみを濡れた舌が這い、先端部を口に含まれ引っ張られる。舌先でねぶられると、ただくすぐったかったそれはチリリとした微細な刺激にかわり身体の深部まで達して熱に変わる。
「テ、テオ…んっ」
持てあます熱に困惑する私はテオの名を呼ぶ。その声は厚めの唇でくちゅりと塞がれ摘み取られる。
身体のあちこちに舌を這わされ、自分のものとは思えない切なげな声をあげていた。
私の中には未熟で固いままのラナの実のような私がいた。身を丸め縮こまったままの私は、何回かのテオの愛撫で溶かされ、いつの間にか姿を見失っていた。
*
息を整えていると布ごしにぎゅうっと抱きしめられた。
耳元にかかるテオの熱い息。
「しばらく、このままでいさせて……」
テオの熱が私を覆う。
私の熱と重なり熱は逃げ場を失っている。
そのまま動かずにいると腰にあたるものの存在が気になりだした。
掛け布の下の私は裸体でテオは下穿きを纏っている。これまで何回かあった愛撫行為の後のテオは、私から離れると直ぐに別室に向かう。今までも察してはいたけれど見ない振りをしていた。
異母兄に触れられたときを思い出す。
兄は私にそれを触れさせたがった。
触られると気持ちがよいらしい。
鴇色のそれは触れていると大きく震え、どろりとした白い液体を吐き出した。指の間を伝うさらさらとした粘液は私に嫌悪をもたらした。
汗で湿るテオの腕をつかみ自分から唇を合わせた。テオも強く唇を吸い返してくる。部屋はしばらくくちゃくちゃした水音だけ響いていた。
その隙に私は手を下に伸ばし熱に触れた。びくりとして腰を引くテオ。私は更に手を進める。
布の越しに形をなぞり軸をつかんだ。
気持ち悪いとは思わなかった。不快さとは対極にあった。
「……してくれるの?」
驚くテオ。私は頷いて下穿きの中に手を差し入れた。熱くすべらかなものに触れる。先端はぬるつき布地は湿っていた。
テオの腰を浮かせて布地を引きさげる。
優しく肉をつかみ擦りだした。
ぬるんだ先端を指でなぞるとくちくちと音をたてる。
「ん、気持ちいい…」
くびれをたどると根が張ったような筋が浮き上がる。しばらく指で作った輪で軸やくびれを擦っていると軸の中心が膨れ上がった気がした。
「……っ」
テオは言葉にならない声があげ、ぶるりと全身を震わせる。
前後に揺れながら吐き出される白濁。手を濡らすそれは私に嫌悪をもたらさなかった。
少し上気をしたテオと目があった。口を吸われる。
テオには無理強いされないという信頼があった。怖くはないし、テオが気持ちをよさそうにしている姿を見ると嬉しくなる。私自身が彼を気持ちよくできたことを嬉しく思った。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生
花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。
女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感!
イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
真珠の涙は艶麗に煌めく
枳 雨那
恋愛
《R18作品のため、18歳未満の方の閲覧はご遠慮ください。》
宝生真珠(ほうしょう まみ)は、実家の宝石店で働く26歳。地味な自分に自信がなく、人生における目標も特にない。男性との交際経験はあるが、未だに処女であることが悩み。
淡々と日々を過ごしていたある日、母親が大切にしている宝石箱を、うっかり壊してしまう。それをきっかけにして、真珠は知らない世界へと飛ばされる。彼女を保護してくれたのは、真珠のよく知る宝石の名前を冠した人々。
寡黙で一匹狼の銀(しろがね)、穏やかな策士の玻璃(はり)、人懐っこく努力家の瑠璃(るり)、そして頼れるリーダーの瑪瑙(めのう)。いつしか彼らに求婚され、真珠は戸惑う。
ここは輝石(きせき)の国。日本の古き良き時代を彷彿とさせる、和を基調とした異世界。真珠の役目は、『救済の巫女』としてこの国を救うことだった。
*表紙イラストはまっする(仮)様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる