3 / 68
彼の名前はクリス
しおりを挟む
彼の名前はクリス。
もしかしたら人種的にはハイブリッドなのかもしれないが名前がカタカナなのでは無く、栗栖《くりす》という苗字の日本人だと聞いている。
よく知っているでは無いかと言われそうだが、クリスはとにかく目に付く学生なのだ。
まるで構内にいる間中パレードの巡行でも行なっているのでは無いかと疑うくらいによく見かける。
その為か、クリスの事を知らない学生はいないのでは無いかと思えるくらい有名だった。アイドルとも言える。
詳しくは知らないが、学生会の役員をしたりするような精力的に学生生活を楽しんでいるタイプだと思う。
しかもアイドルと言うのは比喩じゃ無い。
学祭のミスコンと合わせて行われたメンズの人気投票で断トツ、堂々の優勝を飾ってからは公式(?)のファンクラブが立ち上がったり、ブロマイド風の生写真が売り出されたり、嘘みたいだがクリスの顔が印刷されたうちわを持った女子が出待ち入り待ちをしていたりする。
あんな容姿で生まれてくると人生が変わるんだろうな…なんて有り得ない酒池肉林を妄想するくらい顔もスタイルもいいのだが、あちこちで飛び交っている情報はかなり怪しく現実味がない。
例えば、クリスは某富豪の一人息子で家は塔のある豪邸だとか、飼い犬専用の部屋があるとか、自家用飛行機があるとか、芸能界からスカウトされているとか、何とかかんとか。
ハーフだとかクォーターだという噂だけはもしかしたら本当なのかもしれないが成否の怪しい情報が派手に飛び交う様は正に偶像《アイドル》と言えた。
そんな人がどうして、地味なボッチに構ってくるのかわからない。
クリスが声を掛けて来るようになったのは、突然知らない人から本を渡され学生サロンにいるクリスに持っていって欲しいと頼まれてからだ。
「何故俺が?」と聞き返したのは当然なのだが、最後まで言い切る前に「頼む」と言い残して立ち去られてしまった。
学生サロンなんて入った事も無いし、入ろうと思った事も無いからどうすべきか悩んだ。
サロンと呼ばれる学生用のフリースペースは目立つ系学生の溜まり場なのである。
仲間に入りたいと熱望する一般学生も多いかもしれないが、雑多なコミュニケーションを苦手とするボッチ系の学生にとっては近寄りたく無いと熱望する場所でもある。
しかし、受け取ってしまった本は手元にある。
「知的財産法判例集II」とタイトルの付いた本には多数の付箋や使い込んだような形跡がある為、捨てて良い物には見えなかった。
とても……かなり……物凄く嫌だったが仕方無しに普段なら近寄りもしない根明の集まる学生サロンに向かった。
もしかしたら人種的にはハイブリッドなのかもしれないが名前がカタカナなのでは無く、栗栖《くりす》という苗字の日本人だと聞いている。
よく知っているでは無いかと言われそうだが、クリスはとにかく目に付く学生なのだ。
まるで構内にいる間中パレードの巡行でも行なっているのでは無いかと疑うくらいによく見かける。
その為か、クリスの事を知らない学生はいないのでは無いかと思えるくらい有名だった。アイドルとも言える。
詳しくは知らないが、学生会の役員をしたりするような精力的に学生生活を楽しんでいるタイプだと思う。
しかもアイドルと言うのは比喩じゃ無い。
学祭のミスコンと合わせて行われたメンズの人気投票で断トツ、堂々の優勝を飾ってからは公式(?)のファンクラブが立ち上がったり、ブロマイド風の生写真が売り出されたり、嘘みたいだがクリスの顔が印刷されたうちわを持った女子が出待ち入り待ちをしていたりする。
あんな容姿で生まれてくると人生が変わるんだろうな…なんて有り得ない酒池肉林を妄想するくらい顔もスタイルもいいのだが、あちこちで飛び交っている情報はかなり怪しく現実味がない。
例えば、クリスは某富豪の一人息子で家は塔のある豪邸だとか、飼い犬専用の部屋があるとか、自家用飛行機があるとか、芸能界からスカウトされているとか、何とかかんとか。
ハーフだとかクォーターだという噂だけはもしかしたら本当なのかもしれないが成否の怪しい情報が派手に飛び交う様は正に偶像《アイドル》と言えた。
そんな人がどうして、地味なボッチに構ってくるのかわからない。
クリスが声を掛けて来るようになったのは、突然知らない人から本を渡され学生サロンにいるクリスに持っていって欲しいと頼まれてからだ。
「何故俺が?」と聞き返したのは当然なのだが、最後まで言い切る前に「頼む」と言い残して立ち去られてしまった。
学生サロンなんて入った事も無いし、入ろうと思った事も無いからどうすべきか悩んだ。
サロンと呼ばれる学生用のフリースペースは目立つ系学生の溜まり場なのである。
仲間に入りたいと熱望する一般学生も多いかもしれないが、雑多なコミュニケーションを苦手とするボッチ系の学生にとっては近寄りたく無いと熱望する場所でもある。
しかし、受け取ってしまった本は手元にある。
「知的財産法判例集II」とタイトルの付いた本には多数の付箋や使い込んだような形跡がある為、捨てて良い物には見えなかった。
とても……かなり……物凄く嫌だったが仕方無しに普段なら近寄りもしない根明の集まる学生サロンに向かった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
完結・虐げられオメガ妃なので敵国に売られたら、激甘ボイスのイケメン王に溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる