赤くヒカル夜光虫

ろくろくろく

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熱に浮かされたような好景気が突然弾け、ゆっくり、ゆっくり世の中を侵食してどん底に陥っていた

その頃、世の中にはコンビニが台頭し始めて消費される食品添加物の需要が増え、音羽薬品は開発競争と激しいシェア争いの真っ只中にいた

少しでも遅れを取れば全国展開する大口の顧客があっという間に奪われる

コンビニ業界の需要は細かい指定と縛りが多くとにかくうるさい、製薬業界はどこも研究開発費と設備への投資を余儀なくされ、一進一退は苛烈を極めていた

それでも音羽薬品は何とか持ち堪え、飛ぶように忙しい中、栄治も清彦もそれぞれ二人の子供の父親になっていた

実は瞳子さんより深雪の方が二月早く産んだ

深雪はしっかりしているようで大雑把な一面を持ち、5ヶ月を過ぎるまで妊娠に気付か無かった

びっくりしたって一言で言える騒ぎじゃない、慌てて籍を入れたが式を挙げる間も無かった

しかし、それでは一人っ子の深雪を一人で育てて来た義母に申し訳が立たず、結婚式はちゃんと挙げるつもりで貯金していたが、深雪は女の子を産んだ後、子育てを纏めたいと結婚式を拒否して年子で男の子を産んだ


深雪が……二番目に生れた男の子の名前を「暁彦」と付けた時には腹の底がヒヤリと冷たくなった






………コクンと喉が鳴った


「その……清彦って……つまり……」

「そうだ、清彦は雪斗くんの父親の事だ、雪斗くんはお前の2つ下だろう……」

「その雪斗の父親と……親父が?……」

暖房を付けていない部屋は肌寒いのに掌がじっとりと濡れている

信じられない告白に息を飲んだ


そんな運命的な事があるのだろうか?


何よりも驚いたのは……この話をするのにそこまで赤裸々に全てを暴露する必要なんて無い

それに………おかしい所が山程ある、どう考えてもおかしい

「清彦は……」

「親父……ちょっと待ってくれ……」

「何だ」


「俺の………母さんって…」

名前が違う、母の名前は深雪じゃない

「お前を産んだのはなくなったお母さんじゃない」

「え?……」

「戸籍も見たことないのか………全くお前はいつになったらしっかりするんだ」

「そんな………」

今日はなんて日なんだ……受けとめきれない出来事が次から次に頭を打ち付ける
もう十分に打ちのめされている、これ以上は容量がもたない


「もう一人は?……女のコって……」

「お前を産んだ母親といる」

「俺に姉さんが?兄弟がいたのか?」

「ああ……」

立ち上りかけていた腰が砕けてドカっと椅子に落ちた

「それは……つまり……離婚したって事?」

「ああ……」



親父は物思いにふけるようにコップの中身を開けアルコールの香りがする息を吐き出した

溢れる程満たんに入っていたウイスキーは全部胃の中に流し込まれ、かなりの量を飲んでいる筈だが顔色は変わらない

思えば父親と酒を酌み交わした事は一度も無かった



「雪斗君は……ご両親に似ているな」

「…………親父の言う……希に見る美青年じゃないよ」


親父は懐かしそうな顔をして穏やかに笑ったが、雪斗の話は…今あんまり聞きたくない……雪斗の話をしたくない、

「肌質が清彦と同じだ、顔はそうだな…どちらかと言うと瞳子さん似かもしれない、小柄な所も瞳子さんかな」


「……そうなのか……」

「それでも最初はわからなかったよ、音羽って名前を聞いても……渡辺弁護士しか目に入らなかったからな」

「あいつの計算通りだよ、あの後も必要が無ければ名乗ったりしないで渡辺さんが前に出てる」

「やっぱりそうなのか、わかってやっていたんだな…大したものだ……」


「親父は……」

「続きを聞きなさい……」

「なあ、俺にも酒をついでくれ、俺も飲みたい」

続き……それは盗み聞いたあの話に繋がる筈……
まさか自分がこんなにも深く関係しているなんて思わなかった

とてもじゃないが素面のまま聞けるような内容じゃない、空のままだったコップを差し出すと親父はちょっと嬉しそうにウイスキーの蓋を捻った

「あんまり酔っぱらうなよ……」

「酔えたら酔いたいよ……」

カツンッとガラス同士が口を合わせシャクリを上げた茶色い液体がテーブルの上に飛び散った

酔っているのか、動揺しているのか………「栄治」の顔色は変わらないが誰だってこんな話に平常心ではいられない

酔うなと言ったくせにコップに注がれた酒は麦茶のように飲み口ギリギリまで溢れ、ヌルリと揺れた





経営者としての清彦は頭も切れるし行動も早かったがやはり今一つ甘かった

祖父の代から長い間取引が続く小さな工場を佐鳥専務は切ってしまおうと躍起になっていたが清彦は頑としてそれを許さなかった


会社を任されている以上時には厳しい決断が必要だとわかっていたが、50年以上音羽製薬と苦楽を共にした祖父の形見とも言える古い工場を簡単に見捨てるなんて、年寄りの介護を放棄するようでどうしても切ったり出来ないでいた

度重なる言い合いは毎日続き、二人の仲は末端の社員にも分かるほど険悪になっていた


「一本に絞れば経費が12%も節約できると言うのに何を迷うことがあるんですか!」

「うちが困っている時に助けてもらっておいて何を言ってる」

「時代ですよ、そんな余裕はうちにはないんです、もういい加減家内工業の甘えを捨ててください」

「あそこを切れば間違いなく数件が連鎖倒産する、何人路頭に迷う事になると思ってるんだ、数字だけで簡単に決めていい話じゃない」

「うちの社員を守る事が第一でしょう!同情してる間に痛い目見てたら元も子もない」

「もういい」

どっちにしろ話し合いで決まるような事じゃ無い、佐鳥専務とは守るべき物の価値観が全く違うのだから結論なんかデルハズガ無かった

「この話は終わりだ、日向を呼べ」

「日向は今渦中の清水工業がしでかした納品ミスで走り回ってますよ」

「納品ミス?」

    
……タイミングの悪い時にやらかしてくれる

古い工場はパソコンをまだ導入していないせいで細かいミスが積み上がり佐鳥専務に攻撃材料を与えている


「そんな報告は受けてない」

「今言いました、それに社長に報告して何か打つ手でもあるんですか?」

持てる力を全部目に溜めて睨んだが佐鳥は鼻にもかけなかった


「わかりました……詳しい報告は後で日向に聞きます」

「日向は今夜から私と出張に出掛けます、今日は会社に戻ってきません」

「出る前に寄れと伝えてください」

「…………わかりました」


社長室を一旦出ようとした佐鳥専務は、わざとらしく忘れていた事を付け加えるように振り返った

「社長、日向君はこの会社に置いておくのは勿体無いくらいのいい人材です」

「知っていますよ、だから連れてきた」

それこそ体当たりでスカウトしたのだ
言われるまでもない


「巻き込まないようにお願いしますよ」

「どういう意味だ」

「さあ、ご自分で考えてください」

「…………」

佐鳥は全てを見透かしたような目で一瞥を加え、それ以上何も言わずに部屋を出ていった


佐鳥専務が取り纏めようとしている新しい工場は「佐鳥」の縁戚関係だとわかっている

音羽の初代と関係が深かった佐鳥家は大きなグループ企業を持っていたが、研修と銘打って裕福に凭れたドラ息子を音羽製薬で預かる慣習があった

佐鳥専務もその一人だが、体の弱かった二代目と後を継いだ右も左もわかって無い三代目がぼやぼやしている間に味方を増やし増長した

自らの利益を優先している事は間違いないが佐鳥の言ってる事は間違ってない

世の中の経済状況は未だ厳しく、回復の糸口がない

どちらが正しいかはわかってる

それは誰にも頼る事が出来ず自分で決めなければならない事で……いずれにしても沢山の生活に影響がでる

せめて栄治に話を聞いて欲しい
間違ってないと言って欲しかった



それが起こったのは栄治と佐鳥専務が九州まで出張に出掛けている時だった


新しい工場の視察という名目だがそれは社長と専務が揉めている事案そのもの……

九州は太古の昔から貿易が盛んな土地柄、亜細亜諸国や西日本への物流は近所の小口を何件も重ねるよりコストが大きく削れる


清彦は了承していないが遅かれ早かれ順次その工場に事業を移す事はもう避けられないように見えた

栄治は佐鳥専務に肩入れしているようで気が重かったがそれは仕事の一部だ、仕方が無い

飛行機で九州に入り、福岡に本社置く主要な食品会社に挨拶回りをしてから田畑の目立つ真新しい工場に着いたのは夕方だった

広大な敷地に立つ真新しい工場はまだ半分しか稼働しておらず音羽製薬からの受注を待っている状態だった

工場も田畑も其の辺り一帯が佐鳥家の持ち物だと佐鳥専務は自慢げに笑った


「専務のご実家は随分手広く事業をやられてるんですね」

「私はショボくれた会社に放り込まれてるけどね、まぁ農業やるよりはましだがな」

「ショボくれてないですよ、私は自分の力が試せて面白いですけどね」

その言葉に嘘はない
清彦に誘われてあまり深く考えずにアルバイトから潜り込んだが自由な裁量権があり、ある意味野放しに近いが仕事は充実していた



「面白い……ね、日向は出来るからそんな事を言ってられるんだ、お前はもっと新人教育に力を入れてくれ、うちの会社にはお前みたいに仕事を追ってる奴は一人もいない、みんなフニャフニャで頼りない奴ばっかりだ」

「野島は結構いいですよ」

「ああ、あいつはずっとお前を付け回してたからな、配置換えしたらブウブウ言ってたよ」

「あいつはタフでいいんですけどいつまで経っても口が減らないですね」

「逆に日向はもっと喋った方がいい、最近女子に怖がられてるぞ」

「それは昔からです」


視察と言っても動いてないラインを見て回るだけ、佐鳥専務と取り留めない雑談をしているうちに、変な方に話が流れ、佐鳥グループが経営者する工場の工場長をしている佐鳥の親戚の家に泊まる事になってしまった


予約していたホテルをキャンセルして連れて行かれたのは純和風の大きな屋敷だった

急遽決めたのに通された大広間には豪勢な料理が並んでいた

螺鈿が施された漆塗りの座卓は触るだけで傷を付けてしまいそうで手も置けない


「ビールをお持ちしました、どうぞ足を崩してください」

旅館で見るような取っ手の付いた箱に瓶ビールを持って、部屋に入って来た女性が黒光りするテーブルに遠慮なく金属製の栓抜きを置き隣に座った


「何だ、華子(かこ)、お前来ていたのか」

「おばあちゃんの家に遊びに来てのんびりしてたら叔父さんに呼び出されたのよ、女中が欲しいんですって」

「華子……口を慎みなさい」

「だって、今日韓国に行こうと思ってたのに駄目だって言われたのよ、面倒だから嫌だって言ったのに……」

「こら、ちゃんとあいさつしなさい、申し訳ない、うちの娘は口が悪いんだ、華子、こいつは日向くんだ、男前だろ?」

「……どうも」

華子は興味無さそうにチラッと視線を寄越し、目を合わせるとつんっと横を向いてしまった


「お綺麗な娘さんですね」

「そうでも無いよ、もう30過ぎてるのに未だに結婚しないでぶらぶらしていてね、困ってるんだよ、なあ?」

華子は父親の言葉に返事もしないで、そうしろと命令されていたのか一杯だけビールを注いでさっさと部屋を出ていった



くだらない奸計だった

今と違いその頃の30歳を越え独身と言えば婚期を逃した行き遅れと見なされる風潮があった、見合いの口も再婚が多く条件も悪くなる

大事な娘のいく末を心配するのはわかるが既婚者で子持ちの男にまで粉をかけるなら、まだ独身の…例えば野島でも連れて来ればいい

望んでいない同席に不機嫌を隠さない華子と、会話もないまま座り心地の悪い宴席に長い間我慢しなければならなかった



なぜ二泊も必要だったのか………さしてする事のない気疲れする出張から帰り、週末が開けて出社すると音羽製薬はとんでもない事になっていた

それははっきりって倒産の危機と言っていい

まさに佐鳥専務が槍玉に挙げていた清水工業の工場で、製品の材料を濾す金属製の網が破れていた

発覚してからすぐに全ての在庫品を舐めるようにふるいにかけ、ミリ以下の破片を組み立てたがどうしてもパーツが揃わない
つまりもう出荷した製品に混ざっているという事だった

事は自社製品の回収で済む話じゃない

食品のメーカーの製造段階で小さな欠片が一つでも見つかれば、製造中の製品は元より市場に出回っている商品、最悪消費者の元からの回収になる

卸した製品は食品添加物の一種でシェアも広く、各製品に必要な量が少ない為汎用性が高い
総ての製品にちょっとずつ入ってる


「野島!どうしてすぐ俺に連絡をしなかったんだ、少なくとも金曜に出した3トン分は誤魔化してでも回収出来ただろう」

「連絡しました!したけど予定のホテルはキャンセルされてて……日向さんいないし……どこにいるのかも…」

……………そうだった……
週末だったから会社には連絡を入れてない

「江藤部長は?何してる」

「今会議に入ってワイワイやってます……あの……どうなるんですか?」

「半月……いや一月だな………」


もしこの事が外部に漏れたり製造段階で発覚したら巨額の負債を追って倒産は免れない

反対に製品になって消費者に出回ってしまえばどこで何から異物が混入したかわからなくなる

待つしか手は無かった


「俺はもう一回工場に行ってくる、今清水さんの所は滅茶苦茶だろう、片付けに手がいる」

「日向さん、それなら俺も……」
「いや、野島は若い奴を連れて普通に外を回ってくれ、アスコルビン酸は当面入荷が遅れると言っとけ」


野島と話しをしている最中に会議室から出て来た清彦が目で合図を寄越して外に出て行った

他の誰かに聞かれたくない話をする時は確認を取らなくても場所は例のホテルだ

付いてこようとする野島を置いて後を追った




「何で連絡を寄越さなかった」

「佐鳥専務と一緒だったんだ、勝手な事が出来るわけないだろう」

「出張に行く前に寄ってくれと伝えた筈だ」

「そんな事は聞いてない」

「聞いてない……か、よく言うよ、栄治はもうすっかり佐鳥専務に取り込まれてるんじゃないのか?」

「何を言ってるんだ、元々俺はどっちにもついてない、くだらない主権争いには興味ない」

「佐鳥の親戚の家に泊まったんだってな、まだ取引すると決まってない工場の視察?のんびり2泊もしてよく言う」

清彦が全く似合わない皮肉な笑いを浮かべた

事故を起こした清水工業は佐鳥専務が切りたがっていた古い工場だが、これはいくらなんでも佐鳥専務が画策出来るような事故ではない

資金不足から起こった設備の不備に間違いなかった

清水社長はかなり歳をとっているがまだ現役で働き従業員もみんな若くない、30キロ入りの袋が工場の敷地に散らかり、分解されたラインの機械は重い、若い労働力が必要だった


「美味い郷土料理と温泉……いいなお前はモテて」

「そんな話がしたいなら俺は帰る、忙しいんだ」

「栄治!待てよ」

脱いでいた上着を取って部屋を出ようとすると清彦の腕が胸に巻き付いてきた

「待ってくれ……話を…ここにいてくれ…」

「今そんな事をしている場合か、打てる手はまだある」

「栄治……俺の味方でいてくれ…俺は…」

「だから味方も糞もない、同じ会社に籍を置いてるんだ」

「英治!行かないで……ここに……」

「離せ!」

「栄治!!」

縋るように背中に抱きついた清彦を振り払い部屋を飛び出した

何事も無ければ笑い話で終わる

今すぐ問題の工場に向かって数日のうちに証拠を隠してしまう、無駄かもしれないがやれる事は全部しておきたかった


全ては清彦の為に………





日向くん、悪いが今すぐ帰ってきてくれ


清水社長と酸っぱい味のする粉まみれになって片付けをしていると江藤部長から連絡が入った

話し終え受話器を置くと白い粉が黒電話のツヤツヤした表面に手の形が付いている、食べ物に入れる添加物なのだから口に入っても問題は無いが鼻の奥まで酸っぱい

鼻をかむとツンと染みて涙が出て来た


「清水さん、すいませんが私は一旦会社に戻ります、なるべく早くまた来ますから重いものは置いといてくださいね」

「悪いね、日向くんはもううちの担当じゃないのに迷惑かけるな……助かるよ」

「俺は今でも担当してますよ、見えない所で野島を操ってるんです」

「そうか…そうだな」

豪快に笑った清水社長は昔から優しく大きい、栄治にとっても大切な人だった

入社してすぐ清彦と二人で清水工業に放り込まれ、一ヶ月の研修期間にみっちり薬品の取り扱いを教えてもらった、1番忘れられないのは仕事帰りに連れて行ってもらった焼き肉………満腹になるまで焼肉を食べたのは数年ぶりだった

清彦の祖父、初代の戦友でもある清水社長はさすがに肝が座ってる、こんな時でも慌てず冷静だった


「こんな事になってすいません、もっと俺達がちゃんと管理していれば……

「何言ってんだ、今度の事はうちが点検を後回しにしたせいだろ、音羽さんには迷惑をかけるが……まあ死なば諸共って所だな、行ってください、ここは私達だけで大丈夫です」

「すいません」

「デカイな日向君は………頼りにしてるよ」

「任せてください」


戻ってくると言ったが実際はその日のうちに戻れるかどうかはわからなかった

内容を言わない緊急の呼び出しは………もしかしたら金属片の混入が見つかってしまったのかもしれない

そうなると清水工業は勿論、数件の子会社を巻き込んで連鎖倒産に発展する

鈍足の電車にジリジリしながら会社まで戻ってくると走ったせいで上がっていた息が整わないうちに会議室に入れと、待ち構えていた江藤部長に背中を押された



「ああ日向くん、帰ったのか、ご苦労だったね」

「いえ……あの……」

粉に汚れて真っ白じゃ無いかと佐鳥専務が立ち話でもするように楽しそうに笑ったが、軽口を返せる場面じゃない

会議室の中にはズラリと重役が並び、青い顔をした清彦もいる

入れと言われて入ったが座れとも言われない、何故呼ばれたのかはわからないが、あまりの場違いに隅に立って黙って見ているしか無かった



「それでは話の続きに戻らせてもらいます」

佐鳥専務が勿体ぶった空咳をすると、清彦は社会通念を無視した遠慮の無い侮蔑を目に浮かべ、ギッと睨みつけた

窓から差し込む日の光が顔に当たると清彦の肌は全く色が無い、いつも赤かった唇さえ真白だった


「今満場一致の決で決まった通り、音羽社長は本日を持っての解任とさせていただきます、同時に今ここで日向くんを新社長に任命します」



「………………は?」



狭い会議室だ、よく通る佐鳥専務の声はちゃんと聞こえたが意味がわからない

「何を………」

「そういう事だ、頼むよ日向君」

「何の事です………」

「役員会で決まったんだよ、我社は今大変な過渡期にある、もしかしたら茨の道だが引き受けて貰わないと困る」

「何を言ってるんですか!私はまだ若年です、そんな事をいきなり言われても務まる筈がないでしょう!」

「務まるよ、そこにいる音羽「元」社長は君と同い年だろう」

「馬鹿な事を……………」


ガタンと椅子を押し倒し立ち上がった清彦は屈辱に震え握った拳が震えていた

「清彦……」

この理解しがたい状況が飲み込めず何か助け舟でもくれるかと思ったら……本気で裏切ったと取ったのか……

目も合わせずに走り出しそのまま部屋を飛び出した

「清彦!待てよ!清彦!」


清彦は全く役に立ってないが実は無駄に足が速い、後を追う暇も無くあっという間に階段を駆け下りて見えなくなってしまった

行き先は多分ホテルか自宅くらい、行動範囲の狭い清彦を捕まえるのは簡単だ

話を聞くのは落ち着いてからでいい、それよりも事態の収集を図る方が先だった

勿論そんな荒唐無稽で突飛な話を受けるつもりなんか無い


「勝手な事を断りもなく決めないでいただきたい!少なくとも打診くらいするのが常識でしょう、そんな話はお断りします、私には出来ない」

「君は出来るよ、部下は私達より君に従う」

「俺は清彦の為にここにいたんです!清彦がいないならここにいる意味がない!」

「じゃあ辞めるかね?君はわかってない、役員は社員じゃないんだよ、もう既に音羽製薬に君の籍は無い、社長を引き受けるか辞めるか………二者択一だ」


「何を……企んでいるんです佐鳥専務……」

「人聞きが悪いな……今度の事は誰かが責任を取らなければならない……それは「責任を負う」という仕事をしている我々経営陣の責務だ」

「それを言うならあなた方にも責任はある、今度の事は清彦だけが責められるような話じゃないでしょう、それにまだどうなるか分からない、問題が発覚すれば誰が社長でも関係なくなる、何もなければ清彦でいい筈です」

「今度の事だけじゃ無い、これを見たまえ」

佐鳥専務がむせそうになる程強く胸に押し付けた分厚い書類には見覚えがあった

丸秘のハンコが押してあるいつか清彦が隠した紙束………その中身はとんでもない事が書かれていた


清彦は会社で出来た資金難の穴を私財で埋めていた

つらつらと赤字が続き、あの豪勢な屋敷まで抵当に入れ銀行から融資を受けている
返済期限はもう間近に迫り猶予はなかった


「何ですか……これは……」

「音羽で独占していた株式もすべて売り払われて散り散りになっている、掻き集めるには莫大な資金が必要だ……実質もう無理だな」

「そんな……」


「こんな状態で到底会社を経営していたとは言えないだろう」

「あなた方は……専務はこれを知っていて……」

「止めたが聞かなかったんだよ」



二人だけしか知らない秘密の部屋に無造作に散らかした書類……見るなとわざとらしく目の前で片付けた

もしかしたら………あの時……様子のおかしかったあのホテルで清彦はこれを見てくれと、助けてくれと暗に言っていたのかもしれない


あれからもう10年近く経っている、その間ずっと一人で悩んでいたのかと思うと胸の中が捻れて千切れそうになる程苦しくなった


「話はわかりました、この事は一旦保留にしてください」

「言っておくが答えを待つ暇は無い」

「…………もし…私が社長として就任するならばあなた方役員の経営責任も追求します、それでもいいんですね?」

「もちろんそれで構わない、あれもこれも倒産しなければの話……だけどね」

「私は……今日はこれで失礼します」

「早速重役勤務かね?」

「いえ……籍は無いとおっしゃいましたが辞令は何も受け取ってはいません、一般社員として早退を希望します」

「好きにしたまえ」

「失礼します」



動揺に視界が定まらず、会議室のドアまでが異様に遠かった


今まで何をしてた、何を見てきた、何を聞いてきた

助力を乞うサインは何度も出ていたのに見逃した、清彦を助ける為に音羽製薬に入ったのに、わかったような事を言って経営は関係ないと繰り返し突き放していた


まず清彦を捕まえ……話を聞いて二人で対策を練らなければならない

何と言っても社長の座は今宙に浮いている、景気の低迷に底は見えないが音羽製薬は業績が伸びてきている所だ、清彦と協力し合い、何年かかってもいいから経営を立て直して清彦が何よりも大事にしてきた"音羽"を守ればいい




いつものホテルに駆け込んでいつもの部屋をノックしたが応答が無い、フロントで聞いてみると清彦は来ていなかった


それならあの豪奢な家しかない
学生時代は生真面目に家と学校を往復するだけ、今は学校が会社に代わっただけで他に特別親しい友人もいない

学生時代に清彦を取り囲んでいた取り巻きは当時清彦が言っていた通り、ブランド品として側にいただけで本当の清彦を知ろうとする奴は一人もいなかった


清彦を捉えて離さない、祖父の呪縛そのもののような立派な屋敷は曇天の中、枝を伸ばした楠の木が鼓動する心臓のようにゆっくりと揺れていた

大きな鉄製の門は開きっぱなしのままで風に擦れてキイキイと閉まろうか開こうか迷ってる

この屋敷は……清彦の祖父が戦後の混乱の中引き車で商売を始め、財を成すまで一人で頑張った証だと言ってとても大切にしていた

玄関のドアも少しだけ隙間を開けている、普段の清彦ならこんな風に雑に扱ったりは決してしない

つまりここには帰っていないのか……

古い屋敷はインターフォンなど無く、軽くノックをして中を覗くと、玄関から広く見渡せる室内はシンと静まり返っていた

リビングのテーブルには飲みかけの紅茶が冷えてポツンと置き去りになっている

もう学校は終わっている時間なのに奥さんも子供達も、夕方だけ来ていた家政婦さんも誰もいなかった

奥さんの瞳子は普段から殆ど外出をしない、子供達を連れて買い物に出て行くような時間でも無い

庭の隅にいつも止まっていた筈の学生時代から清彦が愛用していた古いベンツが……そこに無い


清彦は外で働いた事が一度もない

お坊っちゃんで逞しさはゼロだ

妻の瞳子はその上を行く
今、仕事も、財産も……家までなくした


嫌な予感がした……



田口は大学を卒業した後、5年間勤めた証券会社を辞め今は独立して会社を興していた

学生時代からそのつもりだったが時期が悪かった

新しく立ち上げた商社は好景気に乗って売上を伸ばしたが何の予兆もなくバブルが弾け今は業績が落ちる一方………春の決算に向けてどうしようか収支報告書を睨んでいた

人を使ってみて初めてわかった事がある

まだ従業員は6人しかいないが「優秀な人材」がここまで得難いものだとは思いもしなかった
学歴なんて何の足しにもならず、偏差値の高い大学を出ていても使えない奴は使えない


「栄治を取り込めればなあ……」

将来は栄治と組めれば絶対に成功すると勝手に画策していたがぼやっとしてる間にサラッと清彦に持っていかれた

何度も手取りのアップを餌に誘いをかけたが笑って誤魔化され取り合ってくれない


吸いすぎて喉が痛いのについ手が伸びてしまう煙草を咥えると書類に埋もれた電話がモゴモゴと音を立てた


「田口!車を出してくれ」

「栄治?」

丁度栄治の事を考えていたからびっくりした、時たま昔の仲間を集めて飲んでいたが栄治だけは連絡が付きにくくここ二三年は会っていない


「突然何だよ、車?今からか?」

「今そっちに向かう、駅で待ってるから拾ってくれ」

「どこに……おい?栄治?」

まだ話しているのにガチャンと叩き切られた、話声に混じる音から察すると公衆電話からだった、何にしても栄治が頼み事をしてくるなんて珍しく、どこか慌てた様子に取り敢えず最寄りの駅まで車を走らせた


実はどこから来るのか、どこの駅で待つつもりなのか英治は何も言わずに電話を切ってしまった



「ここだよな……」

駅のロータリーに入って止まる場所を探していると後部のトランクでドンッと重い物が乗り上がったような音がして急ブーキを踏んだ

慌てて後ろを振り返っても何も見えない、何かが降ってきたのかと上を見上げているとデカい奴が助手席に乗り込んできた


「わっ!びっくりした、栄治?!何やってんだ、危ないだろ!」

「田口!昔キャンプに行った山を覚えてるか?」

「え?どの?いつの話だよ」

「2回の時に行っただろう、清彦が来てて爆竹鳴らして……」

「あ?ああ、あそこなら二三回行ったから覚えてるけど今から?もう暗くなるし今どうなってるか知らないぞ」

「いいから行ってくれ!早く!」

「わかったよ」


栄治は昔から何があっても顔に出ない、隠してる訳じゃなくて不器用なだけだが、その栄治が険しい顔を見せていた

「何があったんだ、ちゃんと言えよ」

「清彦がいなくなった……」

「へ?何それ?……」

キャンプに行ったのはもう10年も前の事だ、知る限りだが清彦と栄治はその一回きりの筈、何故こんなに焦って探しているのかまだ聞いてないが、探す場所としては見当違いに思えた

「お前なあ、探すならもっと……」

「他に思い当たる所が無いんだ……」

「行きつけの飲み屋とか友達のとことか探したのか?あいつ顔だけはいいから女だってごマンといそうじゃん」


「他に……無いんだ……」

英治は膝の上でグッと手を組み、祈るように頭を落として黙ってしまった

栄治の頼みなら何でも聞いてやるが、出来れば何があったのかくらいは言って欲しい

キャンプをした山に着くまで2時間の間にポツポツと話しかけてみたが栄治は何も話してくれなかった



山に沿った国道は道が狭くてクネクネと捩れている、平日のせいか行き交う車は土砂を積んだ体の重い大型ダンプばかりで思うように進めない

日曜の早朝なら2時間で来れる所を3時間かけて「キャンプ場」へ向かう林道に入ると、外の明かりは一切届かず曇った空には月明かりさえ無い

轍と穴だらけの地道にガタガタと揺れながらヘッドライトだけを頼りに山道を走ると背の高い草が生い茂り様変わりした広場が見えて来た


「おわ………ほんとにいた……嘘みたいだな」

一直線に線を描く光の先に冬枯れした藪を割って黒い車がエンジンをかけたまま止まっている

栄治の気が済むなら空振りでも何でもいいとドライブに付き合っている気分でいが、まさか本当にこんな所に来ているとは思っていなかった


「……凄えな、まだあの車に乗ってんのかよ、あいつ社長だろ?お前も凄え……よく…おい!!栄治!!」

まだ車を止めていないのに車から飛び降りてしまった栄治に、今日二回目の急ブレーキを踏んで鼻の頭をハンドルに思いっきり打ち付けた


「うお……鼻血出た……ティッシュ…は…そうか……しまった…」

ティッシュを車に積もうと、もう何回も思ってるのにまた忘れていた、無いのはわかってるのにダッシュボードを開けてタオルでもないかと探っていると栄治の尋常じゃない叫び声が聞こえた


「え?!何?何だよ」


「清彦!!!清彦!!!」

「おい!栄治!!何……」


!!


田口は事の重大さをやっと悟った

栄治が車の扉から引きずり出した意志の無い体はもう生きているとは思えないくらい真っ白な顔をしている


「清彦!!清彦!!あああっっ!!」

「これは………音羽?……」

「清彦っ!清彦っ!!」

「栄治!一回離せ!ちゃんと……栄治!!」

清彦の頭を抱えて揺らす栄治にいつもの冷静さは欠片も無い

ぐったり横たわるピクリとも動かない胸に耳を当てると体は温かいが心臓が動いてなかった

「駄目だ!呼吸が無い!栄治これは……」

「清彦!!どうしてっ!!清彦!」

「栄治!!落ち着け!!聞けよ!しっかりしろ!人工呼吸だ!習っただろ!」

「清彦!!清彦!!」

「栄治!!」


車の中にはまだ二人いる、助手席にいるのは結婚式で一度会った事のある奥さんと後部座席に女の子……

優先順位は決まってる

清彦は栄治に任せて車の中に頭を突っ込むと、2つの扉が口を開けているのにムッとした空気に思わずむせた

「一酸化炭素だ……」

もっと深く吸っていたら昏倒していた
息を止めて女の子を引きずり出すとやっぱり息をしていない

「栄治!子供が!おい!」

「清彦!!清彦!!頼む!!息をしろ!……ああ!!神様!!」

狂ったように清彦の胸を押す栄治にまともな状況判断は出来そうもない

携帯電話は持っているがアンテナは立ってなかった、子供だけでも助ける方法は1つしかなかった


「畜生っ!……こんな時に……栄治!!待ってろ!!」

聞こえているとは思えないが一刻を争う、電波が来ている場所まで走って通報するのが一番早い
女の子を後部座席に放り込み砂利を飛ばして林道を駆け下りた



ドクンドクンと胸の中で肥大した心臓が波打ち、ハンドルを握る指の先まで温かい

生きている事を実感した

息をして景色を見て汗をかく、普段意識もして無いこんな事が今は尊い


田口は携帯を見ながら車を走らせ電波が立つとすぐに救急車を要請した

行き交った警察車両に車を捨てて乗り換え、救急車を引き連れて山に戻ると、栄治は横たわる清彦の前に呆然と座り込んでいた

清彦は………もう駄目なのか……息をしていない

清彦に触ると寒空に体温を奪われもう冷えて来ていた




「栄治……その子は?」

どこにいたのか………栄治は車の中にはいなかった小さな男の子を胸に抱いている

苦しいんじゃ無いかと心配になる程胸の中できつく抱きしめられたその子は、この状況を理解しているのか……瞬きもせずに利発そうな目でじっと周りを見ていた


救急車に中継した女の子はもう病院に向かっているが状況は厳しい

助かって欲しい……

抱き上げると羽根のように軽く、まだ年端もいかない子供だが雪彦の美貌を受け継ぎ綺麗な顔をしていた

見た所………両親は駄目だが生きてさえいればきっと楽しい事は山程ある



どんどん集まってくるパトカーと救急車はその数を増やし、高く生い茂っていた草むらは車と沢山の足に踏みしだかれ……昔見た懐かしい風景に戻っていく


それぞれの車両がクルクル回す騒がしい赤色灯は競うように暴れ回り、無線や怒鳴り声が交錯していた


「栄治……大丈夫か?」

救急隊員が出してくれた毛布をそっと肩に掛けたが……サイレンの音も声も……



栄治の耳には届かなかった



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