赤くヒカル夜光虫

ろくろくろく

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雪斗が会社に突然乗り込んできて半月経った

営業の野島部長を除くほぼ全員の管理職がいなくなり、混乱した社内は既に落ち着いてきている、予想された賃金カットやリストラも無い

雪斗達がこのまま何事も無くTOWAを経営していくなんて甘い見通しだと思うが社内はもう既に日常を取り戻していた


今日は社長自ら皆巳と二人で、どこから持ってきたのかエレベーターに積んだ荷物をせっせと廊下に運んでいる

どんな仕事でも鉄仮面を剥がさない皆巳はある意味立派だが感情が読めない分どう思っているのかは不明だった


「音羽社長はいったい何を始めたんだ?」

緑川は必要経費の申請書を経理に持って行くついでに塚下に聞いてみた

「ウチはフリースペースがないから社員同士のコミュニケーションが薄くて風通しが悪いって言ったら社長が作るって言い出したの」

「何だそれ………何も社長がやらなくても誰かにやらすとか業者に頼むとかあるでしょう」

「うん、そう言ったんだけど自分が一番暇だからっててね……かわいいわよね」

「かわいい?」


もう、何をされたのか忘れたのか………まだたった二週間しか経っていないのに社内での雪斗を見る風向きが変わってきていた

童顔……と言うと微妙に語弊があるが、肌質のせいか若く見える雪斗に塚下のように子供がいる世代はすぐに堕ちた

どう考えても"かわいい"ってタマじゃないのに、お母さんは子供に弱い、悪さもすぐに記憶から消し去る

女子は目的がハッキリしているから参考にならない

男連中は若すぎるトップに戸惑っている奴が大多数だが、中には気持ち悪いくらい心酔して尻尾を振ってる奴もいる

例えば今雪斗達の手伝いに入った江川……

あんなに明るい奴だったとは知らなかった

その中でよりにもよって一番あからさまに態度を変えたのは佐鳥だ、やけにニコニコ明るいし機嫌がいい

まさか違うと思いたいが……多分間違ってない

………いつの間にか雪斗とヨリが戻ってる


今………雪斗と皆巳、体からスーツがプカプカと浮いている鄙びたモヤシのような江川の三人が、ヨタヨタと危なっかしい手付きで運ぼうとしているのは冷蔵庫


放っておきたい………

何なら馬鹿めと鼻で笑って怪我でもする所を眺めていたいが目の端に写るだけでイライラしてしまい、見ないフリをする方がストレスになる


「退いてください俺が運びます」

「いいよ緑川、仕事があるんだろう」

思わず出てしまった舌打ちが聞こえたのか、冷蔵庫にかけた手を払い除けて雪斗が持ち上げようとした

………細い首に細い腕…………色は関係ないが特筆すると白い肌がある意味女より華奢に見せている、はっきり言って雪斗に運べるようには見えない


「自分の仕事ぐらい管理出来てます、効率を言うなら邪魔しないでください」

小型の冷蔵庫だ、普通の男なら一人で運んだ方が早い、文句を言われる筋合いは無いはずだがプッと頬を膨らませた雪斗を押しのけてさっさとコンセントの所まで冷蔵庫を運んだ


「出来るって言ってるのに……」

拗ねてみせる可愛いモードが計算に見えるのは他の奴らより内情を知っているからなのかもしれないが、雪斗程信用できない奴はいない


「他に重いものがあったら今言って下さい、俺がやります」

「いい……後はカウンターだけだから」
「カウンター?一体何をするつもりなんですか」

「窓際に浅いカウンターを付けて簡単な打ち合わせとか休憩を取る場所を作るんです、後は俺達に任せて緑川さんは仕事に戻ってください、俺は今連絡待ちで手が開いてるんです」

雪斗の代わりに江川が気持ち悪いくらいハキハキと答え、わざわざ"江川"と記名した設計図のようなプリントアウトを窓に貼り付けた

パソコンでの検索が上手く、仕事をサボってネットで買い物をしている事は知っていたがどうやらカウンターや椅子、冷蔵庫を揃えたのは江川らしい


出来ると言うならやらせておくがやっぱり苛つく、モタモタと慣れない手付きで組み上がっていくカウンターを横目で見ていると、外出するタイミングを失ってイライラが倍増した


奥行き420程の浅いカウンターは立って肘を置ける高さになっていた、作りは意外としっかりしている、背の高い椅子に座れば軽食も取れそうだが、残念ながら窓の景色は隣のビルの壁しか見えず味気ない


出来上がったカウンターの前にワラワラと集まった社員は壁に貼られた皆巳手書きの張り紙に頭を寄せて冷蔵庫の中身を確かめていた


* 就業時間終了後に限る
* 一口でも飲んだら電話に出るのは禁止
* 泥酔禁止


ビールでも冷やせたらいいのにと江川が言った似合わない軽口を聞いた雪斗がさっさと実行してしまい、結果的に麦茶やコーヒーに混じってビールや缶酎ハイが並んでいる

固定概念がないせいか雪斗は即決即断、社長がいいと言うならいいが、トラブルの経験があるからこそ生れた固定観念とも言える、皆巳は黙って従う代わりに不承不承ルールを張り出した


悪い癖だと我ながら思う

一人ひとりと話せばそれなりの個性を認める事が出来るが、集団を俯瞰で眺めると呑気に騒ぐ社員が凡庸な家畜に見える


何も起こらずこのまま安泰に仕事が続いて行くなんてどうして思える

今この社内で危機感を持って様子を伺っているのは野島部長と自分の二人しかいないのではないかと疑ってしまう




「あの、すいません、緑川さんはどちらにいらっしゃいますか?」

パーテーションで無理矢理作った廊下を塞いでいた烏合の衆(緑川目線)の頭ひとつ上から、知らない男に名前を呼ばれた

そこには何人も社員がいたのにエレベーターに背を向け誰も来客に気付いてなかった


「緑川は私ですが」

「すいません、お取り込み中の所、連絡させて頂きました木嶋です」

……連絡?

来客の知らせなんてもらってない

……と言う事は誰かの連絡ミスか、他の事に気を取られての怠慢だろうが、知らなかったと客の前で言うわけにはいかない

名前を知られていると言う事はどこかで関係がある筈

来客に気付きワッと開いた廊下を進んでくる男は浅黒い肌に長髪を一つに括った髪、緑川が見上げる高身長、わかりやすいイケメンだが服や靴、華やかな雰囲気はTOWAの仕事に関係している人物には見えない

ニッコリ笑う暇があるなら名刺でも出してくれれば話は早いのに取り掛かりは自分で探らなくてはならない状況だった


「失礼しました、どうぞこちらに……」


こちらから名刺を出せは自ずと目的は達成されるが残念ながら今ポケットに入ってない

騒ぐのをやめ異質な来客に注目が集まっているここで失態を見せ訳にはいかない、会議室に入ってしまおうとすると雪斗が前に出て来て驚いた声を上げた


「木嶋さん?………」


「雪斗くん?何でここにいるの?」

「そっちこそどうしたんです、ハイパーの社長さんがうちに何か用でも?」

「うち?うちってここが?」

「ああ、ほんの少し前からだけどな」


「ハイパーの社長?……」

廊下に溢れていた社員達がざわっと波打った


「黒い顔にスーツなんて何か変だな、全然似合ってない」

「そっちこそスーツなんか着ちゃってどうしたんだ、こんな所で雪斗君に会えるとは思ってなかったなあ」

「それはお互い様だろ」

雪斗は意味ありげにニッと笑い、ごゆっくりと手を振って社長室に入って行ってしまった


ハイパーと言えば一番最初に思いつくのはH.W.D《ハイパーウィンドデザイン》だが迂闊な事は言えない、雪斗と知り合いというのも妙に引っかかった


「すいません騒がしくて、お茶を用意しますからこちらでお待ち下さい」

「お構いなく、突然すいません」

「いえ、どうぞこちらに」


会議室への案内を側にいた水谷に任せて名刺を取りに行った、本当にハイパーの社長なら便宜上だが一応担当する事になっている



「ハイパーウィンドデザインの代表を務めている木嶋です」

「緑川です、こちらからご挨拶に伺うべき所、お越し頂いて恐縮です」

「たまたま近くを通ったものでね、連絡を入れたら丁度担当をしてくださる緑川さんが会社にいらっしゃると聞いて、顔を通した方がいいかなと思っただけです、私はイラチでね、思いついたら行動してしまう、急で申し訳ない」

「あの……音羽とはどういう……?」

「ああ、私の本業なんですがダイビングショップに偶然遊びに来たんですよ、佐鳥君と一緒にね」

「ダイビングですか………」

本業がダイビングショップなんてヌケヌケとよく言う、食えない奴だと気を引き締めた


「雪斗くんは佐鳥くんに紹介でもしてもらってここに就職したんですか?」

「いえ……」

雪斗の事は外部から見ればただのお家騒動だ、詳しく話す気は無いがTOWAの代表である以上隠してはおけない

「音羽は先日からこの会社の代表を勤めています」

「代表って社長?雪斗君が?」

「筆頭株主なんです」

これでわからなければそれ以上は喋れない


「ふぅん……そこまでとはね……」

「そこまでって?」

「いやぁ……油断出来ない子だなぁとは思ったけど……ああ失礼」

木嶋は軽口を叩いたと軽く謝罪を入れたが、さほど悪いとは思っていないようだった、これは緑川が雪斗をどう思っているかの探りを入れてる

木嶋は最初に持った印象通り狡猾で侮れない


「今日はどんな用件で?」

「いえ…ちょっと顔を出して玄関先で名刺だけお渡ししようと思っただけなんです」


「………うちの開発課長とお知り合いだそうですね」

「真島さんとはカブト虫仲間なんです、展示会で会ってから妙に意気投合しちゃって」

「ビートルの話はお聞きしました」

「え?緑川さんも興味ある?」

「いえ…全くありません」

当たり障りの無い営業トークをする気は無かった、木嶋は尊大にプライドを膨らませた威張りたいタイプの経営者じゃない

意味の無いおべんちゃらは付け入る隙を与えてしまうだけだ


「………いやに警戒してるんですね」

「警戒じゃありません、話を逸らせたく無いだけです、うちはまだ御社と取り引き出来る程材料が揃ってない、このタイミングで何をしにいらっしゃったのかお聞きするのが私の仕事です」

「だからただの挨拶ですよ、顔の見えないまま電話で話すのは嫌いなんです」

「それでは呼び付けてくださって結構です、わざわざ真島のいる辺鄙な工場まで足を運んで頂く必要はない」


「ふうん………佐鳥くんといい君といい……TOWAさんはいい社員が揃ってるね」 

「失礼でしたら誤ります」

「いや、はっきり物を言ってくれる方が有り難い、モジョモジョオブラートに包んで言葉を濁らせても前になる進まないからね、それじゃ俺はこれで失礼します、何か進展があればご連絡ください」

「製品に………なる事があればですがね」

「なるよ、雪斗くんにその気があれば……だけどね」

「……………そうだといいんですが……」



木嶋は本当に挨拶だけをして帰ってしまった

TOWAにいたほんの短い間に木嶋は携帯の着信を3度も切った、気が向いたから挨拶に寄ったなんてそんな暇があるようには見えない

何をしに来たのか目的はわからないがこれは野島部長に報告しておいた方がいい


開発途中の高機能繊維、勢いのある服飾メーカー……タイミング…全てが合致しているように見える


謎のままだった雪斗の資金源は木嶋である可能性が出てきた

例え雪斗が財産を持っていたとしても額が大き過ぎてTOWA乗っ取りは投資とはとても言えない、何よりも流動していない資金を中堅会社に注ぎ込むのは不自然過ぎる


もしそうだとしても疑問点は一つ

それならばなぜ雪斗なのか………普通なら雪斗がやって見せたように渡辺のような人物を選び送り込むのが妥当だ

考えは纏まっていないが野島なら何か答えを持っているかもしれない、外出して夕方まで帰ってこない野島に電話だけでも、と携帯を耳に当てると皆巳がズイッと目の前に割り込んだ


「緑川さん、社長がお呼びです」

「電話したら行きます」

「今すぐ来いと仰ってます」

「…………わかりました」

勘がいいのかやっぱり後ろ暗いのか、タイミングよく電話連絡を阻止されて止む無く携帯を切って社長室に入るとさっきまでとはうって変わって険しい顔をした雪斗が待ち構えていた


「どうして報告書がない」

「木嶋さんの事ですか?」

「他に何がある」

雪斗はいつもの丁寧な言葉遣いを取っ払っている、机の上には数冊の営業報告書が散らばっていた


「報告書に書くほどの事がまだ何もないからです」

「……木嶋がどんな奴かちゃんと見えたか?」

「…………はい」

「ならいい、行っていいぞ」

「………詳しくお聞きにならないんですか?」

「野島部長に今聞いた、お前が木嶋を受け持つんなら俺に言う事は何もない、仕事に戻れ」


「……………はい」

木嶋も食えないが雪斗も同類だ

ピシャッとシャッターを閉じられ、部屋を出ようとすると背中で雪斗の笑う声が聞こえた


「何ですか?」

「お前ら……似てるな、野島部長はさすがに的確な采配をする」

「俺と木嶋社長の事ですか?」

「ああ」

「似てますか?」

「うん…似てる」

「少なくともカブトムシには興味を持てませんがね」

「俺もだ……」

「失礼します」

閉めたドアを振り返って舌打ちをした

「似てるのはむしろあんたと木嶋だろう」

先に報告されてしまったが………野島に電話をする為携帯を取り出した




「プレゼンシュミレーションなんか要らない」

「でもパンフレットも新調した所ですから……」
「松本さん、相手がどう動くかその場で変わるでしょう、それに私が見てもわかるわけ無い、シュミレーションなんか無駄です」

「……でも……」


今週いっぱい滞在しているアフリカの………アフリカと言っても大陸では無く、雑な地図なら乗ってないくらいミニマムな小国から、今来日している視察団と夕方に会えることになっていた

小国と言ってもダイヤモンドが出る為裕福な島国だが例に漏れず平べったい国土には水が無い

浄水施設を売り込むには最適だった

プロジェクターを用意して原稿を作り直し、せっせとプレゼンの準備をしたが雪斗に無駄だと一括された

視察団の中には裁量権を持っている王国の補佐官が混じっている、出来れば一度シュミレーションを行いおさらいしたかった


「俺もそう思うよ、マニュアルがあると固くなるしその場で適当に対応した方が早い」

「深川さんまで……、もう失敗したくないんですけど」

「何とかなるって」

ツルツルと髭を撫でて木下の代わってチームに入った深川が豪快に笑った


木下はTOWA一番の稼ぎ頭であるビタミンCをもっと強化する為に配置換えされ手が回らなくなっていた

市場に出回るビタミンCはキロ二万円、代用ビタミンCであるアスコルビン酸ナトリウムは二十キロ三千円と値段に大きく差があるがTOWAの開発したビタミンCは価格が安く広いシェアを持っている

挨拶回りと発注書の把握だけで膨大な量がありここの所会社で見かけなくなった


なぜ本番当日に予行練習を焦ってしなければならないのかと言えば、新しく作り直したパンフレットの納品が昨夜ギリギリだったからだ

デザインからやり直したラフ案を見た雪斗に、システムの紹介なんか意味が分からないとボツを食らい再考したのだから二週間での納品は奇跡だったが、対策を練る暇が無くなった


「どっちにしろもう時間が無い、どうせ待たされるからそれまでに準備を終えて出来る限り応答の練習をした方が早い」

「深川さん私も同席してもいいですか?」

「え?社長が見に来るんですか?」


佐鳥が素っ頓狂な声を上げグッと緊迫感に締まっていた空気が急に緩くなった

「嫌なのかよ」

「嫌じゃないけど、ホテルに入ったらアイドリングを含めて全部英語だぞ?見てもわからないんじゃないか?なあ松本もそう思うだろ?」

「さ、佐鳥さん……」

確かに………あっという間に理路整然とした英語の長文を作ってしまうくせに雪斗はthere程度も読めなかった

ただでも専門用語の多いプレゼンを見た所で何か分かるとは思えなかったが今ここでその言い方は無い

「いいだろ、俺は見てるだけだ、何もしない」

「じゃあ来ればいいけど退屈だぞ?」

「じゃあ行く、いいですよね?松本さん」

「え?……あの……」


いいも悪いも無いが近い所で目が合ってまごついた

只でも雪斗の前では逃げ出したいような、ずっと見ていたいようなモゾモゾとした落ち着かない気分になる

しかも何で佐鳥にタメ口で松本に敬語なのだ


「いいじゃないか来て貰えば……どうせ今回はビデオに撮るんだから結局社長には見られるんだし」

深川は何でもいいと、急かすように荷物を全部手に持った





深川は商談が終わってすぐ、工場の方へ走った佐鳥と松本と別れて会社に戻り、録画したビデオを野島に見せていた

もう秋も深まりつつあるのにびっしょりと汗をかき、シャツが背中に張り付いて肌色になっている


契約は成立した



浄水施設第一号機の契約をもぎ取ったのは雪斗だった




ファティア.クリバリと呼びにくい名前の大使は熱心に話を聞いていた

ファティアはアフリカ系の黒人と言うより、掘りの深い中東方面の人種に見えた、流暢な英語は欧米での教育が垣間見え、眼光鋭いいかにも出来そうな人物だった

雪斗は何も言わず後ろに控え只見ていただけだ、勿論社長だと紹介もしていない


「ノズル一つで毎秒50リットルを具体的に言うとどれくらいの量なんですか?」

「舗装された側溝があれば二キロ先に届きます、その先は用途によって変わりますが、農業用水にされるのであれば溜池を作ってプールすれば一台の設置でもかなり用途は広がります、勿論飲み水としての使用も可能です」

「年間のコストを概算で出せるか?」

「そこがこの製品の大きな利点です、フィルターは洗浄可能ですから人件費以外数年はコストがかかりません、それ以外にも………」
「出水量の5%を洗浄用プールに分ければ人件費すら最小で済みます」

「そう……なんです」

いつもは佐鳥がメインで話をしていたが深川が大人しく補助で甘んじている訳は無い、途中で口出し、進むうちに乗っ取ってしまっていた


ファティアは雪斗が指示をした、施工済のイメージを全面に押し出した新しいパンフレットを眺めて随行員と現地語でディスカッションをしながら手応えを感じる具体的な質問を次々に投げた

ここまでは何度も来たが先に進んだ事はまた一度もない


「わかりました、この件は国に持ち帰り検討させていただきます」

何度も聞かされた「検討する」
パタンと閉じた資料がファイルバッグにしまわれるのを見て腹の中に溜まった石が更に重くなった

「そうですか……お時間を取っていただきありがとうございました、よろしかったらこの後お食事でもどうですか?いいお店をご紹介出来ますよ」

「有り難いが予定が詰まっています」

さっと出て来た握手を乞う手は終了を告げていた

ファティアは深川の得意な人心掌握術にも乗ってこない、佐鳥も何度も食らった肩透かしに目に諦めが写っていた

だがまだ望みが無いわけじゃない、間違いなく手応えはあるしTOWAの製品がこの国には最適だと印象付ける事には成功している

仕方なく手を出そうとすると、突然窓際から上がった声にドキンとした


「Wait a minute(待てよ)!!」


背中が凍った
ずっと後ろに控え一言も口を開かなかった雪斗がそこにいる事すら忘れていた

しかも命令口調………ファティアは厳格で気難しく冗談が通じる相手とは思えない、もう、"検討"すらなくなったと思った



「何だって?」

見る間にファティアの眉間に皺が寄り、不快を示す険しい顔付きでゆっくりと振り返った

「待ってください」

雪斗は戸惑う随行員を割って前に進み、ファティアに向かって座れと椅子を引いた

「しゃ………社長………」

深川は雪斗を連れてきた事を物凄く後悔した、良く考えたら金を持っていようが何だろうがついこの間までホームレスをしていた子供だ

細部まで計算し尽くした高度な商談の仔細がわかるわけ無い

当然だがファティアはそのまま動かず、前に出かけたSPを手で制してジッと雪斗が何を言い出すか慎重に伺っていた


「お掛けにならならいならこのまま進めますがいいですね?」

「………引き留めているのはあなたです」

「それではもう一度確認させていただきます、我社が今提示した価格はテスト設定です、搬送、施工を含め全て込みで明示しました」


「それはお聞きしました、だから何です」

「我々は利益よりも施工実績と稼働データが欲しい……ギブ&テイクです、ただそれは一件だけでいい、この場で決めていただけないのなら我々は今、この足で別のクライアントに持ちかけます、そこで契約が成立すればいくらあなた方が本国で検討されようとも倍近い正規の価格でしかお受け出来ません」


「……………」


「リスクは全て当社が負っている」


「………あなたは誰です」

「今関係がありますか?私は紛れ込んだ侵入者ではありません」

「話を聞いて欲しいなら名乗るべきじゃないのか?」

「…………申し遅れましたが私はTOWA代表の音羽と申します」

「代表《President》?………いくつだ?」

「歳は関係ない………あなたは裁量権をお持ちだと聞いてる、答えを出していただきたい…………今すぐ、ここで」


いつ取り出したのか、ファイルにしまってあった契約書をファティアの前にズイっと押し出しペンを置いた






「……………あの小僧英語まで喋んのか」

「いえ……、話せなかった筈なんですが……まあ話せると言ったって口語には程遠くて時たま怪しかったんですけど………語彙が多くてちゃんと通じてました」

「…ふん…………で?サインさせた後は?怒らせたんじゃないのか?」

「いや、それが………あちらさんが初めて笑ったのはこの時で……何か二人でニヤ~って……」

「…………あの小僧」


野島部長はムーっと黙り込み煙草を吸ってくると席を立ってしまった





ホテルを出て工場と倉庫を周り、これからしなければならない野島部長への報告を考えただけでどっぷり疲れた

帰りたくないと嫌がる足を引きずって松本と二人で会社に戻って来ると強い風が行く手を阻み回転扉がやけに重い


「ドアが…ここを通るなって言ってる……」


「佐鳥さん、部長に何て言うんですか?」

「ありのまま?………しかないだろ、松本、お前がビデオに撮ったんだろ、深川さんがもう見せてるよ」

「失敗したって笑えばよかったんですかね」

「馬鹿………それもこれもどれも情けない……」



こんな時に限ってエレベーターが早い、ガタンと5階に着地してゆっくり扉が口を開けるとビックリして足が止まった


「何だこれ?」

もう時間は七時を過ぎているがエレベーター前から奥まで多くの社員で溢れ宴会のようになっていた

廊下の窓際にはどっから持って来たのか豪華な船盛やオードブルが並び皆巳がせっせと給仕している


「これは……どうしたんですか?」

「カフェスペースの壮行会と祝勝会……ってとこ?」

塚下に缶ビールを渡されて反射的に受け取ってしまった

「祝勝会って何の?」

「浄水施設の契約取れたんでしょう?」
 
「まあ……そうですけど……」

契約は取れたが嬉しいのか嬉しくないのか微妙だった、おまけに殆どの社員は関係ないはずだ

「あの船盛はどうしたんです」

「飲むならどうぞって渡辺さんが手配してくれたのよ、あの人顔もいいけど太っ腹」

いいから食べろとトリュフの香りがするパイを渡された

「俺は報告に行かないと………社長は?」

「多分社長室、誘ったけど引っ込んじゃった、一回飲ませてみたいわ~、酔ったらどうなるか見てみたくない?」

「ハハ……………それは…ヤメタホウガイイトオモウケド………」
「え?何?何言っての?」

雪斗が酔ったらどうなるか…………適量以上飲むとどうなるかはもう二度と見たくない

「何でも無いですよ、俺は社長に報告を……」

「砂鳥さん、報告は俺が行ってきます、佐鳥さんもうビール持っちゃってるし……」

「ふぐ……ひひのは?」


ビールはいいが、もらったパイを丸々口に放り込んでしまい上手く喋れない

「いいですよ、ゆっくり食べてください……相変わらず天然ですね」

「う(す)まん……」


何となく……別にいいのだか何となく気後れして雪斗と顔を合わせづらい……


契約の詳細なんか後でもいいからさっさと押し掛けてしまえ………と雪斗に言われ、佐鳥と松本は部品を現地まで運ぶ船便の手配を済ませてきていた

普通ならスケジュールを組んで現地に確認を取り、測量してから図面を起こし……具体的に動くのは早くてもふた月は先になった筈だ


まさか雪斗にあんな真似が出来るとは思っていなかった

カウンターに出来た人集りは、最悪な事に今日のビデオを見ている………

緑川も野島部長も……営業組は全員黙り込みムッツリしてビールを流し込んでいた



一人で大金を作り、企業を手にいれて二週間で英語が使えるようになる……

笑って睨んですぐ蹴ってくる雪斗とは全く別人に思えた






「松本さんどうしたんですか?」

「え?………あ、いや今日の報告に………」

「じゃあ早く行ったら?ついでに社長を連れ出して来てください」

「うん……出来たらね……」


ノックをする勇気が出なくて社長室の前で立ち竦んでいると藤岡に背中を押された

どうしてかと聞かれても答えられないが木の扉を叩くには渾身の勇気がいった

拳の角で小さく弾くと音がしない

もう一度、と手を上げると中からどうぞと聞こえた


「松本です、今日の報告に来ました」

社長室に入ると雪斗はこの前と同じポーズで一人ソファに沈んでいた、眠っていたのか目が赤い


「お疲れ様です、船の手配は済んだんですか?」

「はい、パナマ船籍のコンテナ船なんですがいつ届くか聞いたら、船が満タンになるまで出ないって言われたんです、それでいいですか?」

「それでいいです……別に一週間や2週間どうってこと無い、実際に施工に入るまで時間はあります」


報告は以上で終わりだが……足が動かない


「あの………今日は凄かったです、俺はクライアントを怒らせたかと思って冷汗をかきました」

「契約出来なければ何の関係もない相手でしょう……別に怒ったって構わない」

「そうですけど……凄かったです………」


一人で報告しに来たのは良かったのか悪かったのか……

雪斗からまた目が離せなくなっていた


そんなに目立って美しいとかではないのに、何故か視線を奪われて吸いとられてしまう

いつの間にか雪斗が話している事が耳に入らなくなっていた



「あの………」

話が終わって出ていくと思われたのだろう、雪斗は手元のパソコンに目を戻していた

「……まだ何かありますか?」


「あの………」

「はい?…」


「………ちょっとだけ………髪に触ってみてもいいですか?」

「髪?俺の?」

「はい……」


何を言ってるのか………

口が勝手に動き耳に届く自分の声が他人が話しているように聞こえて現実感がない

背中にホースで注水されているのかと思うほど汗が流れ何だか生暖かった

雪斗はちょっとびっくりしたような顔をしたがすぐにいつもの表情に戻って………

いいですよ

とやけにさらりと言った


どうしても……どうしても柔らかそうな髪に触れてみたくて、もうどうしようもなくなっていた

頭に手を置いてぽんぽんしたい……

塚下が目の前で事ある毎に雪斗に触るのを見ていて湧き出た変な欲求に………このままじゃ無意識にやってしまいそうだ

変な事を言っているのはわかっているが、誰か別人に体を乗っ取られているようで、いいと言われたら出来てしまう



「し……失礼します」


出しては引っ込め……出しては引っ込め……中々進めない

指先がチョンと前髪に触れた


幼稚園児の頭を撫でるように足に手を置き雪斗の頭にトンっと手を置いた


やっぱり柔らかい

ぽんぽんと念願の頭で手が跳ねると前髪が揺れて額が透けて見える、透明な生え際に指を差し入れてそっと鋤くとさらさらと指の間で滑っていった

こめかみから滑らかな頬は近くで見ても毛穴が無い、境界線が透明な……リップでも使っているのかと思える皮膚の薄い赤い唇………力を入れると破れてしまいそうで、触れるか触れないかの危うさで指を滑らせた

下唇をプッとめくるとプリンと跳ねる

嫌そうにどこか別の所でも見ていてくれたらいいのに雪斗は目は真っ直ぐに視線を捉えて離れない


カクンっと床に膝を落とすと丁度いい位置で雪斗を見下ろしてしまった……

「……っ………………」

話しかけたつもりだったが言葉が喉に詰まって声にならない


相変わらずじっと目を見られて……透明なオーラに絡め取られるように引き寄せられ、顔を近付けた


ちょんと赤い唇に触れてみると冷たい感触……弾力にちょっと跳ね返った


ぱくっと唇の先をついばみ離し
ついばみ……離し

後頭部に差し入れた手で少し持ち上げると蛍光灯の光が艶めかしい白い首を露わにした

体重をかけても雪斗は何も言わない

うなじに顔を沈め、唇が肌に触れると止められなくなり、もう遠慮なくのし掛かった

シャツの襟首が邪魔だ……ネクタイを緩めようと胸に手を置くと……



「っっ!!」

ガツンっと後頭部に衝撃が走り目から星が飛んだ

何だかわからなくて痛くはなかったが振り返って見上げると………


ダスキンモップ?

ブンっと風を切る音がして襲いかかってきた

「うわあ!!」

バンッと頬を張り倒され慌てて立ち上がるとまたモップが反動をつけて戻ってくる

「ちょっ!ちょっ!」

「出て行きなさいっっ!!」

逃げ惑う松本の背中に尚も容赦なく叩きつけられる吸着繊維のヘッドを避けながら社長室を飛び出すと廊下に溢れる社員が一斉に振り返った

「うわっ!待って!」


モップを振り回しているのは皆巳だった
逃げる松本をまだ追いかけてモップを振り回してる

「え?何?」

「わあ!!」

誰に当たろうとも周りを気にせず振り回される所帯染みた武器に巻き込まれては堪らない
あたふた割れた人垣を走り抜けた松本が非常階段に飛び込むと、足音だけがバタバタと聞こえてきた

まるで昭和の漫画みたいな光景に皆呆気に取られ茫然となっていた


「皆巳さん?……」

フロアから松本を追い出した後くるっと振り替えるといつもの冷静で、ともすれば冷たい皆巳ではなく激怒に顔を歪め怖い………目が合うと松本の代わりに殴られそうだ



「ど……どうしたんですか?」

声をかけた藤岡も親の敵とでも言いたげに睨まれて竦んでしまった
皆巳はドスドス足音を立てて社長室に戻り派手な音をさせてドアを揺らした



「何だあれ?」

「松本の奴皆巳さんにセクハラでもしたんじゃないか?」

「それはまた………チャレンジャーだな」

普段見れない興奮した皆巳の姿に、酒も手伝い大笑いになった





怒りに手が震えてどうしようも無かった

雪斗はさっきまでと何も変わらずソファに寝そべるように坐り目を丸くしている

松本は許せないが雪斗にも腹が立つ


「どうしたんですか……らしくない」

「あんな事を!!……どうしてもあんな事を黙って許しているんですか!!」

松本は砕いてゴミ箱に捨ててしまいたかったが雪斗にもモップを叩きつけたい、持っていたらやってしまいそうだが手が震えて指が離れなかった

抑えたいのに声が大きくなってしまう


「俺がいいって言ったんだから仕方がないだろう」

「仕方なくないです!!どうして黙って食い物にされるような真似を……」

悔しくて情けなくて、我慢できずに目からポロボロ落ちてくる汁が忌々しい


「何故皆巳さんが泣いてるんですか……」

「勝手に出てくるんだから仕方がないでしょう!」

顔を洗いたいが今そんな暇はない、消毒薬は残念ながらここにはない、ちらりと目に入ったのは漂白剤……それは頑張って我慢した

出来るなら風呂にでも入れて丸洗いしたいが今出来る事は熱湯消毒くらい

社長室の隅にある小さなラバトリーでタオルを濡らして絞った


「わっ!!何を……熱っついな!」

「どうして変な事をされるよりこっちの方が驚くんですか!」

濡れタオルを雪斗の顔に押し付け錆びでも落とす強さでゴシゴシ拭いた


「痛い、熱い!痛い!もういいですから…」

「良くないです」


「いいって!」

雪斗の声質が変わりハッと手を止めた

雪斗の顔に浮かんだのは、時々見せる人を小馬鹿にした表情…………

片方の唇だけ上げてニヤリと皮肉に笑った

「男に体を売るような奴にはあれぐらいどうって事はない」

「どうして……そんな事を……」

「そっちこそどうしたんです、プラダが欲しいなら素直にそう言ってください、約束通り何足でも買ってあげますよ」

「虚勢を張らないでください、あなたはご自分がどんな顔をしているかわかってない、嫌なら嫌と言えばいいでしょう」

ピクッと雪斗の頬が揺れ微笑みがスッと顔から消えた


「余計な口を出すな」

「松本には解雇を伝えます」

「そんな事は許さない…」


雪斗は上着を取って社長室を出ていってしまった
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