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嫌がらせには嫌がらせ
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椎名は名前を明かさないが「ちょー嫌な奴」の経営するホストクラブmen'sアナハイムは前に聞いた通り一見は普通の高級クラブらしい。
「健二と葵の事だから俺の言った事を曲解して、店を燃やすとか爆破するとか極端な相談をしそうだけどな、それは違うからな」
うん。
した。
下を向いて床を見つめていた葵がチラッと視線を寄越して声を出さずに「馬鹿」と言った。
そして椎名は葵に向かって「傷付くなよ?」と断って話を続けた。
「クラブに在籍するホストはほぼ全員が酒の席の接待しかしてない、引田の連れて来る「商品」は飲んだり食ったりしながら指名を待つ……そうだな?葵」
「いや…あの…俺は…知らないんです」
「店の中には入ってないのか?」
「店には入ったけど……多分俺の場合は色々もう決まってたから…閉じ込められてて……わからないんです」
赤かった葵の顔が白い。
椎名が「配慮出来ない」と言っても、「傷つくな」と核心に触れる前触れを出しても、ホワホワと頬の赤みは引かなかったのに、問題の店の外殻が出た途端血の気が引いた。
椎名も葵の顔色に気付いている。
ここでやめたいのは山々なのだと思うが、膝の前で硬く握った手から決意が伝わってくる。
最初に断った通り配慮はしなかった。
「すいません…役に立てなくて」
「謝る事じゃ無い、まあ…葵みたいに「支払済」で「予約済」の子は稀かな、今いる「男娼」達はもっと気楽だよ」
「男娼」と椎名は口にした。
今濁しても同じだとの判断なのだろうがあまりにも生々しくてこっちがギクリとした。
葵がどんな気持ちかは推して知るべしだ。
「椎名さん、そこは……」
「いいんです健二さん」
ビシャンって顔……。
普通に頬とか頭とかを殴ればいいのに正面を叩くから鼻水が出る。涙も出る。本当に色々色々あったから涙も出ると思う。
すると椎名に「お前が泣くな」と睨まれた。
「泣いてない、でもな全員がバイト感覚だとは限らないだろ、中には色んな事情で隷属してる奴だっているんじゃ無いか?客だって遠慮しないと思うけどな」
「そこはわからないけどな、時給数万のバイトなんだ、時間拘束も無い。みんな好きな時間に悠々と出勤してるし、システム上では嫌なら断ってもいいらしい、men'sアナハイムは所謂置屋だ、もう一回言うけど葵のケースは稀なんだと思う。悲惨な背景なんか無いから客も安心して遊べるし、品質にも定評がある、そこがmen'sアナハイムの売りになってる」
だから以前とは入り口が違う葵を潜入させても危険は無い。それが椎名の言い分だった。
椎名の依頼を纏めるとこうだ。
店主導で行われている売春と買春の証拠を掴み、金と手間暇を掛けて築き上げた高級クラブの信頼を何らかの方法で泥を塗り、そして目立って頂く。
それはわかるが「どうやって?」と、「その結果どうなる」が抜けていた。
「それで?そんな事をしても脅せないだろ、男の売春は合法だって言ってなかったか?、ただでも売春は法が届きにくいグレーゾーンの犯罪だと思うけど」
実の所売春をしても買春をしても当の本人達は法に触れないのだ。売春の斡旋に罪状が付くだけで、そこに「女子」の文字があるからって話だった。
「働いている奴らはバイト感覚なんだろ?、万が一現場を抑えて写真に撮ったとしても本人達が合意の末だと言えばどうにもならないだろ、反対に訴えられる」
「言っとくが男の売春は合法じゃ無い、違法とは言えないだけだ。ここはまだまだ保守的な日本だぞ、男性客専門のホストクラブに通ってるって知られたら困る奴が殆どだと思う、そしてホストクラブmen'sアナハイムはかなりの高級クラブだ、それなりの収入が無いと通ったりは出来ない、言いたい事はわかるな?」
「どう言う事だよ」
「健二、お前ならデリヘリ頼んで領収書を要求するか?「成瀬健二様、\15.000 手コキ、オーラル、股摺り」とか但し書きの付いた領収書貰うか?」
「そもそもそんなもん頼まないけど……だから何だよ」
「H.M.Kの仕事はホストクラブに「目立って貰う」……そこまでだ。男性専門のホストクラブなんて世間にとったら興味深いだろ?後はお上が何なりするだろう」
「え?……それはつまり……」
「収支の記録が無い売り上げは莫大だと思うよ、多分だけどな」
「つまりは……」
そこに行き着くのは誰にでもわかる事だと思う。言葉にする必要は無いと飲み込んだ言葉を葵が継いだ。
「脱税?」
「さあね」と椎名は惚けたが、どんな職種でも事業を行う者にとって税務署は怖いのだ。一度、バイトをしていた飲み屋に税務署の査察が入って大変な事になった。
その時は事前の連絡も何も無かった。
大した売り上げも無い飲み屋の親父は善良な一般庶民だ。もっと大物が其処此処にいるだろうに1日掛けて収支の詳細を1円単位まで調べ上げた。
職員の男2人は慇懃で無表情で、雑談には一切応じず、好意で用意した麦茶や茶菓子には手も付けない、朝から夕方近くまで店にいたのにトイレを借りる事すらしなかった。
そして高校生の娘が店の手伝いをしたお駄賃の一万円が記載漏れとして追徴課税を請求されたのだ。
水商売とは「価値のないもの」に値段をつけるから水商売と言う。勿論値段表記は義務だが、ビール1杯でも入れ物の大きさにも量にも確たる定義は無いのだ。だからどんなに気を張って真面目に申告をしていても税務署に掛かれば何なり穴はある。ましてや時価で売り買いする商品を持つ風俗営業なんてひとたまりも無いだろう。
「いくら清潔にしてたって叩けば埃は出る…………って事?」
「大事なのは世間の注目を浴びる事だ、潰れはしないかもしれないけど特殊なクラブだ、何かあれば客足は遠のくだろ?売り上げが落ちれば支払いが渋くなる。儲けが減ればホストも逃げる、質が落ちれば……の悪循環を狙う」
「悪どいな」
「俺も考えるからお前達も考えてくれ、ただし勝手な真似はやめろ、さあ、この話は一旦終わり、葵くんも何か食べた方がいい、お腹が空いただろう」
澱んだ空気を振り払うようにパンパンと手を叩いて立ち上がった椎名が「生シラス丼を食いに行こう」って……しつこい。
さすがの椎名も今回の事には参っている、空元気もいい所だった。
それがわかっているのか、葵が首を振ると「好きな物を食べなさい」と言って万札を置いて帰って行った。
椎名は自分の問題にH.M.Kを巻き込んでいいのかまだ迷っているのだ。
迷うくらいなら…葵の顔から全ての表情を奪い真っ白にしてしような事はやめてくれたらいいのにと思う。
「健二と葵の事だから俺の言った事を曲解して、店を燃やすとか爆破するとか極端な相談をしそうだけどな、それは違うからな」
うん。
した。
下を向いて床を見つめていた葵がチラッと視線を寄越して声を出さずに「馬鹿」と言った。
そして椎名は葵に向かって「傷付くなよ?」と断って話を続けた。
「クラブに在籍するホストはほぼ全員が酒の席の接待しかしてない、引田の連れて来る「商品」は飲んだり食ったりしながら指名を待つ……そうだな?葵」
「いや…あの…俺は…知らないんです」
「店の中には入ってないのか?」
「店には入ったけど……多分俺の場合は色々もう決まってたから…閉じ込められてて……わからないんです」
赤かった葵の顔が白い。
椎名が「配慮出来ない」と言っても、「傷つくな」と核心に触れる前触れを出しても、ホワホワと頬の赤みは引かなかったのに、問題の店の外殻が出た途端血の気が引いた。
椎名も葵の顔色に気付いている。
ここでやめたいのは山々なのだと思うが、膝の前で硬く握った手から決意が伝わってくる。
最初に断った通り配慮はしなかった。
「すいません…役に立てなくて」
「謝る事じゃ無い、まあ…葵みたいに「支払済」で「予約済」の子は稀かな、今いる「男娼」達はもっと気楽だよ」
「男娼」と椎名は口にした。
今濁しても同じだとの判断なのだろうがあまりにも生々しくてこっちがギクリとした。
葵がどんな気持ちかは推して知るべしだ。
「椎名さん、そこは……」
「いいんです健二さん」
ビシャンって顔……。
普通に頬とか頭とかを殴ればいいのに正面を叩くから鼻水が出る。涙も出る。本当に色々色々あったから涙も出ると思う。
すると椎名に「お前が泣くな」と睨まれた。
「泣いてない、でもな全員がバイト感覚だとは限らないだろ、中には色んな事情で隷属してる奴だっているんじゃ無いか?客だって遠慮しないと思うけどな」
「そこはわからないけどな、時給数万のバイトなんだ、時間拘束も無い。みんな好きな時間に悠々と出勤してるし、システム上では嫌なら断ってもいいらしい、men'sアナハイムは所謂置屋だ、もう一回言うけど葵のケースは稀なんだと思う。悲惨な背景なんか無いから客も安心して遊べるし、品質にも定評がある、そこがmen'sアナハイムの売りになってる」
だから以前とは入り口が違う葵を潜入させても危険は無い。それが椎名の言い分だった。
椎名の依頼を纏めるとこうだ。
店主導で行われている売春と買春の証拠を掴み、金と手間暇を掛けて築き上げた高級クラブの信頼を何らかの方法で泥を塗り、そして目立って頂く。
それはわかるが「どうやって?」と、「その結果どうなる」が抜けていた。
「それで?そんな事をしても脅せないだろ、男の売春は合法だって言ってなかったか?、ただでも売春は法が届きにくいグレーゾーンの犯罪だと思うけど」
実の所売春をしても買春をしても当の本人達は法に触れないのだ。売春の斡旋に罪状が付くだけで、そこに「女子」の文字があるからって話だった。
「働いている奴らはバイト感覚なんだろ?、万が一現場を抑えて写真に撮ったとしても本人達が合意の末だと言えばどうにもならないだろ、反対に訴えられる」
「言っとくが男の売春は合法じゃ無い、違法とは言えないだけだ。ここはまだまだ保守的な日本だぞ、男性客専門のホストクラブに通ってるって知られたら困る奴が殆どだと思う、そしてホストクラブmen'sアナハイムはかなりの高級クラブだ、それなりの収入が無いと通ったりは出来ない、言いたい事はわかるな?」
「どう言う事だよ」
「健二、お前ならデリヘリ頼んで領収書を要求するか?「成瀬健二様、\15.000 手コキ、オーラル、股摺り」とか但し書きの付いた領収書貰うか?」
「そもそもそんなもん頼まないけど……だから何だよ」
「H.M.Kの仕事はホストクラブに「目立って貰う」……そこまでだ。男性専門のホストクラブなんて世間にとったら興味深いだろ?後はお上が何なりするだろう」
「え?……それはつまり……」
「収支の記録が無い売り上げは莫大だと思うよ、多分だけどな」
「つまりは……」
そこに行き着くのは誰にでもわかる事だと思う。言葉にする必要は無いと飲み込んだ言葉を葵が継いだ。
「脱税?」
「さあね」と椎名は惚けたが、どんな職種でも事業を行う者にとって税務署は怖いのだ。一度、バイトをしていた飲み屋に税務署の査察が入って大変な事になった。
その時は事前の連絡も何も無かった。
大した売り上げも無い飲み屋の親父は善良な一般庶民だ。もっと大物が其処此処にいるだろうに1日掛けて収支の詳細を1円単位まで調べ上げた。
職員の男2人は慇懃で無表情で、雑談には一切応じず、好意で用意した麦茶や茶菓子には手も付けない、朝から夕方近くまで店にいたのにトイレを借りる事すらしなかった。
そして高校生の娘が店の手伝いをしたお駄賃の一万円が記載漏れとして追徴課税を請求されたのだ。
水商売とは「価値のないもの」に値段をつけるから水商売と言う。勿論値段表記は義務だが、ビール1杯でも入れ物の大きさにも量にも確たる定義は無いのだ。だからどんなに気を張って真面目に申告をしていても税務署に掛かれば何なり穴はある。ましてや時価で売り買いする商品を持つ風俗営業なんてひとたまりも無いだろう。
「いくら清潔にしてたって叩けば埃は出る…………って事?」
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「悪どいな」
「俺も考えるからお前達も考えてくれ、ただし勝手な真似はやめろ、さあ、この話は一旦終わり、葵くんも何か食べた方がいい、お腹が空いただろう」
澱んだ空気を振り払うようにパンパンと手を叩いて立ち上がった椎名が「生シラス丼を食いに行こう」って……しつこい。
さすがの椎名も今回の事には参っている、空元気もいい所だった。
それがわかっているのか、葵が首を振ると「好きな物を食べなさい」と言って万札を置いて帰って行った。
椎名は自分の問題にH.M.Kを巻き込んでいいのかまだ迷っているのだ。
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