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第5話 学級委員
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緊張もなく、クラスのみんなが余裕で自己紹介が次々と繰り広げていく。
その中でも、最も好印象を持つだろう自己紹介をしたのは、藤田翔夜。
あのルックスにあの、笑顔は…流石に眩しすぎる。
そうして、いよいよ私の自己紹介がきて、席を立つ。
先生も含め、クラスの人達全員がこちらに注目している。さっき私を避けようとしていたのか分からないけれど、あの人達もチラチラと仲間にアイコンタクトをしながらもこっちを見ている。
そうゆう、アイコンタクトが更に私の心臓をドキドキさせる。
大丈夫。きっと、できる。
ゆっくり一呼吸をして、固く閉ざしていた口を開く
「櫻井那菜です。好きな事は写真を撮ることです。よろしくお願いします」
一言言い終わると、ぱちぱちと拍手が流れた。
よかった。大丈夫。
失敗してない。
「じゃあ次、学級委員決めるぞ。やりたいやつ」
当然、ここで皆は先生に何か言われることがないよう、目を逸らし、無音の空間が生まれる。
「じゃあ、推薦!」
ここで、藤田翔夜が呼ばれるんだろうな…
そんな事を思った矢先。
「櫻井那菜さんが、いいと思いまーす!」
さっきのグループの中で、気の強そうだな。と思った鈴木澄恋が私の名前を挙げた。それに続いて小宮りりかも「それがいいと思いまぁす」と頬杖を付きながら言う。
え。私…?
これ、何かの嫌がらせですか。
「じゃあ、櫻井那菜頼んだ。あと男子1名」
「は、はい…」
仕方が無く黒板の前に立つ
どうする、櫻井那菜。
「男子でやりたい人いますか?」
恐る恐る聞く。
けれど、みんなその言葉を無視して目を合わせようとしてくれない。あの2人を除いて…
あの2人は私の方をみて、笑ってくる。
「はい。俺やります」
この静かな空間で、手を挙げたのは眼鏡を掛けている、いかにも真面目って感じの少年だ。
「前田春樹だな、よし、じゃあ黒板前来い」
先生が名簿帳をみて名前を確認する
「えー。俺、藤田翔夜推薦しまーす」
ケラケラと笑いながら、推薦する彼は河内蓮。
当の本人は
「おい、やめろよー」
と気さくに返す
「んじゃ、藤田と前田で多数決取るか」
先生は藤田と前田で多数決を取った。
結果、圧倒的な差を付けて藤田が学級委員になった。
そりゃ、入試成績トップでルックスもいいあの人に叶うわけがない。前田が可哀想に思えた。
「まぁあ、前田は書記で頼むな」
「はい…」
前田は少しも悲しんでいる表情をせずに、黒板を書き始めた。
「櫻井さん、よろしくね」
耳元で、藤田翔夜が小さく呟く。
これ、なんのテクニックですか…
私は呆れた
その中でも、最も好印象を持つだろう自己紹介をしたのは、藤田翔夜。
あのルックスにあの、笑顔は…流石に眩しすぎる。
そうして、いよいよ私の自己紹介がきて、席を立つ。
先生も含め、クラスの人達全員がこちらに注目している。さっき私を避けようとしていたのか分からないけれど、あの人達もチラチラと仲間にアイコンタクトをしながらもこっちを見ている。
そうゆう、アイコンタクトが更に私の心臓をドキドキさせる。
大丈夫。きっと、できる。
ゆっくり一呼吸をして、固く閉ざしていた口を開く
「櫻井那菜です。好きな事は写真を撮ることです。よろしくお願いします」
一言言い終わると、ぱちぱちと拍手が流れた。
よかった。大丈夫。
失敗してない。
「じゃあ次、学級委員決めるぞ。やりたいやつ」
当然、ここで皆は先生に何か言われることがないよう、目を逸らし、無音の空間が生まれる。
「じゃあ、推薦!」
ここで、藤田翔夜が呼ばれるんだろうな…
そんな事を思った矢先。
「櫻井那菜さんが、いいと思いまーす!」
さっきのグループの中で、気の強そうだな。と思った鈴木澄恋が私の名前を挙げた。それに続いて小宮りりかも「それがいいと思いまぁす」と頬杖を付きながら言う。
え。私…?
これ、何かの嫌がらせですか。
「じゃあ、櫻井那菜頼んだ。あと男子1名」
「は、はい…」
仕方が無く黒板の前に立つ
どうする、櫻井那菜。
「男子でやりたい人いますか?」
恐る恐る聞く。
けれど、みんなその言葉を無視して目を合わせようとしてくれない。あの2人を除いて…
あの2人は私の方をみて、笑ってくる。
「はい。俺やります」
この静かな空間で、手を挙げたのは眼鏡を掛けている、いかにも真面目って感じの少年だ。
「前田春樹だな、よし、じゃあ黒板前来い」
先生が名簿帳をみて名前を確認する
「えー。俺、藤田翔夜推薦しまーす」
ケラケラと笑いながら、推薦する彼は河内蓮。
当の本人は
「おい、やめろよー」
と気さくに返す
「んじゃ、藤田と前田で多数決取るか」
先生は藤田と前田で多数決を取った。
結果、圧倒的な差を付けて藤田が学級委員になった。
そりゃ、入試成績トップでルックスもいいあの人に叶うわけがない。前田が可哀想に思えた。
「まぁあ、前田は書記で頼むな」
「はい…」
前田は少しも悲しんでいる表情をせずに、黒板を書き始めた。
「櫻井さん、よろしくね」
耳元で、藤田翔夜が小さく呟く。
これ、なんのテクニックですか…
私は呆れた
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