皇女は世界を謳歌する

らら

文字の大きさ
上 下
5 / 22

第5話

しおりを挟む
いよいよ今日が出撃の日。
集まった兵力は2万。
ハイネは2万もの人数を見て、思った。これだけの人数をパスタニア皇国が用意出来るはずも無かろうと。

「我らナソパ国は、新たな富を得るため出陣しよう!」

そして、その大きな失敗に気付かず、パスタニア大国がある西の地へと兵を動かした。





「男爵。ハイネ殿下の行なっている事を国王に伝えた方が宜しくないですか?」
「いや、でも…ハイネ殿下は秘密だと仰った。国王に伝えれば反逆罪を着せられる可能性があります」
「ハイネ殿下より国王の方が権限は上では?」
「確かにそうだが、ハイネ様が王になる可能性も無いとは一概に言えない…」
「とりあえず、ここは我が国王を信じて言ってみようじゃないか。あのままではこの国は終わりを迎えてしまう」
「そうですね」

国王側に付いた貴族達もこの事を国王に報告するのか戸惑っていたが、国王を信じ、ハイネが行なっている事を全て話した。

「な、なんじゃと!!」
「謝りに行ったので無いのか?!」
「へ、兵隊!今すぐハイネを連れ戻すのだ!」
国王は玉座から思いっ切り立ち上がり、国王側についた貴族達に命令した。

「誠に言い難い事なのですが…こちら側に付いた貴族達は僅か…更には兵力など持っていません。城の兵士達も皆一斉にハイネ殿下に付いて行ってしまいました」
国王側に付いた貴族の一人が頭を下げ、震えながら国王に申す。

はぁ…この国は終わりだ…
この中にいる国王や貴族達がそう思った瞬間だった。
玉座のある部屋の扉が開いた。そこには第一王子アラナの姿があった。

「国王。お困りでしたら私の兵士達を使ってはいかがですか?2万とは行きませんが3000ぐらいなら用意が可能でございます」

第一王子アラナは、王子という身ながら剣術が達ち騎士団長をしているのだ。第四王子#__・__#のハイネと違い、信頼度がとても高い。

「アラナよ。よくぞ、やって来てくれた。そして、今すぐハイネに引き返せと伝えて欲しい。それと兵士達にこの国の防御をしてくれ」
国王はもう一度玉座に座る。

「はい。仰せのままに…」



☆☆☆☆

「セル王女!大変です!ナソパ国がこちらに攻めてきました!」

慌てて伝えて来たのは、まだ見習いの騎士、サハルだった。

やっぱりですか。
あの馬鹿王子、パスタニア皇国が下民共の集まりとでも思ってるんでしょうか?戦うためには相手をよく知らなければならないのに…。

「分かりましたわ。すぐ我が軍も出発させましょう。そして、私も一緒に戦場に向かいます」

「は、はい…。で、でも王女様まで…」
サハルが言いたい事は分かりますわ。
1国の王女が戦場に出向き、死んでしまったらどうするんだ?責任は取れないと言いたいんでしょう。

「それなら大丈夫ですよ。私これでも剣は使えますの」

「え、いや、でも…王女様を危険に晒す訳には…」
サハルは目を横目にして、言いにくさそうに言う。だから、私は彼の腰にささっていた剣を右手で素早く抜き、彼の喉元すれすれに剣先を出した。

「いい?私は戦場に行くの。私は自分で決めた道をいくわ」

サハルの額から汗が垂れる。
「は、はい…!で、では…失礼します!」
こう言うと、サハルは走ってこの場から立ち去ってしまった。

私、そんなに怖かったかしら…

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

パーティー中に婚約破棄された私ですが、実は国王陛下の娘だったようです〜理不尽に婚約破棄した伯爵令息に陛下の雷が落ちました〜

雪島 由
恋愛
生まれた時から家族も帰る場所もお金も何もかもがない環境で生まれたセラは幸運なことにメイドを務めていた伯爵家の息子と婚約を交わしていた。 だが、貴族が集まるパーティーで高らかに宣言されたのは婚約破棄。 平民ごときでは釣り合わないらしい。 笑い者にされ、生まれた環境を馬鹿にされたセラが言い返そうとした時。パーティー会場に聞こえた声は国王陛下のもの。 何故かその声からは怒りが溢れて出ていた。

女官になるはずだった妃

夜空 筒
恋愛
女官になる。 そう聞いていたはずなのに。 あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。 しかし、皇帝のお迎えもなく 「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」 そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。 秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。 朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。 そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。 皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。 縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。 誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。 更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。 多分…

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました

小倉みち
恋愛
 7歳の誕生日、突然雷に打たれ、そのショックで前世を思い出した公爵令嬢のレティシア。  前世では夥しいほどの仕事に追われる社畜だった彼女。  唯一の楽しみだった乙女ゲームの新作を発売日当日に買いに行こうとしたその日、交通事故で命を落としたこと。  そして――。  この世界が、その乙女ゲームの設定とそっくりそのままであり、自分自身が悪役令嬢であるレティシアに転生してしまったことを。  この悪役令嬢、自分に関心のない家族を振り向かせるために、死に物狂いで努力し、第一王子の婚約者という地位を勝ち取った。  しかしその第一王子の心がぽっと出の主人公に奪われ、嫉妬に狂い主人公に毒を盛る。  それがバレてしまい、最終的に死刑に処される役となっている。  しかも、第一王子ではなくどの攻略対象ルートでも、必ず主人公を虐め、処刑されてしまう噛ませ犬的キャラクター。  レティシアは考えた。  どれだけ努力をしても、どれだけ頑張っても、最終的に自分は死んでしまう。  ――ということは。  これから先どんな努力もせず、ただの馬鹿な一般令嬢として生きれば、一切攻略対象と関わらなければ、そもそもその土俵に乗ることさえしなければ。  私はこの恐ろしい世界で、生き残ることが出来るのではないだろうか。

義母ですが、若返って15歳から人生やり直したらなぜか溺愛されてます

富士とまと
恋愛
25歳で行き遅れとして実家の伯爵家を追い出されるように、父親より3つ年上の辺境伯に後妻として嫁がされました。 5歳の義息子と3歳の義娘の面倒を見て12年が過ぎ、二人の子供も成人して義母としての役割も終わったときに、亡き夫の形見として「若返りの薬」を渡されました。 15歳からの人生やり直し?義娘と同級生として王立学園へ通うことに。 初めての学校、はじめての社交界、はじめての……。 よし、学園で義娘と義息子のよきパートナー探しのお手伝いをしますよ!お義母様に任せてください!

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。

りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。 伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。 それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。 でも知りませんよ。 私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

処理中です...