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第5話
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いよいよ今日が出撃の日。
集まった兵力は2万。
ハイネは2万もの人数を見て、思った。これだけの人数をパスタニア皇国が用意出来るはずも無かろうと。
「我らナソパ国は、新たな富を得るため出陣しよう!」
そして、その大きな失敗に気付かず、パスタニア大国がある西の地へと兵を動かした。
「男爵。ハイネ殿下の行なっている事を国王に伝えた方が宜しくないですか?」
「いや、でも…ハイネ殿下は秘密だと仰った。国王に伝えれば反逆罪を着せられる可能性があります」
「ハイネ殿下より国王の方が権限は上では?」
「確かにそうだが、ハイネ様が王になる可能性も無いとは一概に言えない…」
「とりあえず、ここは我が国王を信じて言ってみようじゃないか。あのままではこの国は終わりを迎えてしまう」
「そうですね」
国王側に付いた貴族達もこの事を国王に報告するのか戸惑っていたが、国王を信じ、ハイネが行なっている事を全て話した。
「な、なんじゃと!!」
「謝りに行ったので無いのか?!」
「へ、兵隊!今すぐハイネを連れ戻すのだ!」
国王は玉座から思いっ切り立ち上がり、国王側についた貴族達に命令した。
「誠に言い難い事なのですが…こちら側に付いた貴族達は僅か…更には兵力など持っていません。城の兵士達も皆一斉にハイネ殿下に付いて行ってしまいました」
国王側に付いた貴族の一人が頭を下げ、震えながら国王に申す。
はぁ…この国は終わりだ…
この中にいる国王や貴族達がそう思った瞬間だった。
玉座のある部屋の扉が開いた。そこには第一王子アラナの姿があった。
「国王。お困りでしたら私の兵士達を使ってはいかがですか?2万とは行きませんが3000ぐらいなら用意が可能でございます」
第一王子アラナは、王子という身ながら剣術が達ち騎士団長をしているのだ。第四王子#__・__#のハイネと違い、信頼度がとても高い。
「アラナよ。よくぞ、やって来てくれた。そして、今すぐハイネに引き返せと伝えて欲しい。それと兵士達にこの国の防御をしてくれ」
国王はもう一度玉座に座る。
「はい。仰せのままに…」
☆☆☆☆
「セル王女!大変です!ナソパ国がこちらに攻めてきました!」
慌てて伝えて来たのは、まだ見習いの騎士、サハルだった。
やっぱりですか。
あの馬鹿王子、パスタニア皇国が下民共の集まりとでも思ってるんでしょうか?戦うためには相手をよく知らなければならないのに…。
「分かりましたわ。すぐ我が軍も出発させましょう。そして、私も一緒に戦場に向かいます」
「は、はい…。で、でも王女様まで…」
サハルが言いたい事は分かりますわ。
1国の王女が戦場に出向き、死んでしまったらどうするんだ?責任は取れないと言いたいんでしょう。
「それなら大丈夫ですよ。私これでも剣は使えますの」
「え、いや、でも…王女様を危険に晒す訳には…」
サハルは目を横目にして、言いにくさそうに言う。だから、私は彼の腰にささっていた剣を右手で素早く抜き、彼の喉元すれすれに剣先を出した。
「いい?私は戦場に行くの。私は自分で決めた道をいくわ」
サハルの額から汗が垂れる。
「は、はい…!で、では…失礼します!」
こう言うと、サハルは走ってこの場から立ち去ってしまった。
私、そんなに怖かったかしら…
集まった兵力は2万。
ハイネは2万もの人数を見て、思った。これだけの人数をパスタニア皇国が用意出来るはずも無かろうと。
「我らナソパ国は、新たな富を得るため出陣しよう!」
そして、その大きな失敗に気付かず、パスタニア大国がある西の地へと兵を動かした。
「男爵。ハイネ殿下の行なっている事を国王に伝えた方が宜しくないですか?」
「いや、でも…ハイネ殿下は秘密だと仰った。国王に伝えれば反逆罪を着せられる可能性があります」
「ハイネ殿下より国王の方が権限は上では?」
「確かにそうだが、ハイネ様が王になる可能性も無いとは一概に言えない…」
「とりあえず、ここは我が国王を信じて言ってみようじゃないか。あのままではこの国は終わりを迎えてしまう」
「そうですね」
国王側に付いた貴族達もこの事を国王に報告するのか戸惑っていたが、国王を信じ、ハイネが行なっている事を全て話した。
「な、なんじゃと!!」
「謝りに行ったので無いのか?!」
「へ、兵隊!今すぐハイネを連れ戻すのだ!」
国王は玉座から思いっ切り立ち上がり、国王側についた貴族達に命令した。
「誠に言い難い事なのですが…こちら側に付いた貴族達は僅か…更には兵力など持っていません。城の兵士達も皆一斉にハイネ殿下に付いて行ってしまいました」
国王側に付いた貴族の一人が頭を下げ、震えながら国王に申す。
はぁ…この国は終わりだ…
この中にいる国王や貴族達がそう思った瞬間だった。
玉座のある部屋の扉が開いた。そこには第一王子アラナの姿があった。
「国王。お困りでしたら私の兵士達を使ってはいかがですか?2万とは行きませんが3000ぐらいなら用意が可能でございます」
第一王子アラナは、王子という身ながら剣術が達ち騎士団長をしているのだ。第四王子#__・__#のハイネと違い、信頼度がとても高い。
「アラナよ。よくぞ、やって来てくれた。そして、今すぐハイネに引き返せと伝えて欲しい。それと兵士達にこの国の防御をしてくれ」
国王はもう一度玉座に座る。
「はい。仰せのままに…」
☆☆☆☆
「セル王女!大変です!ナソパ国がこちらに攻めてきました!」
慌てて伝えて来たのは、まだ見習いの騎士、サハルだった。
やっぱりですか。
あの馬鹿王子、パスタニア皇国が下民共の集まりとでも思ってるんでしょうか?戦うためには相手をよく知らなければならないのに…。
「分かりましたわ。すぐ我が軍も出発させましょう。そして、私も一緒に戦場に向かいます」
「は、はい…。で、でも王女様まで…」
サハルが言いたい事は分かりますわ。
1国の王女が戦場に出向き、死んでしまったらどうするんだ?責任は取れないと言いたいんでしょう。
「それなら大丈夫ですよ。私これでも剣は使えますの」
「え、いや、でも…王女様を危険に晒す訳には…」
サハルは目を横目にして、言いにくさそうに言う。だから、私は彼の腰にささっていた剣を右手で素早く抜き、彼の喉元すれすれに剣先を出した。
「いい?私は戦場に行くの。私は自分で決めた道をいくわ」
サハルの額から汗が垂れる。
「は、はい…!で、では…失礼します!」
こう言うと、サハルは走ってこの場から立ち去ってしまった。
私、そんなに怖かったかしら…
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