令嬢たちのお茶会

NO*NO(ののはな)

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殿方にはいろいろと事情がある

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公爵令嬢ミシェル、侯爵令嬢ユリア、伯爵令嬢フランシスはお茶会が好きで、おしゃべりが大好き。

今日公爵家でお茶会。

「ごきげんよう、ユリア、フランシス」

「「ごきげんよう、ミシェル」」

今日のお茶は公爵家とっておきのダージリン。
合わせるお菓子は絞り出しのジャムクッキー。
絞り出しの波に沿って付いた軽い焼き目が可愛くてバターたっぷりサクサクザクザクしたクッキーにベリージャム、アップルジャム、マーマレード、チョコレート。


ミシェル🌹「今日は続けて公爵家でのお茶会なのだけれど…ちょっと事情があるのよ」

ユリア💐「聞いたわ。お兄様のことでしょ?」

フランシス🌷「ミシェルのお兄様がどうかしたの?」

🌹「兄の婚約者だった侯爵令嬢が…妊娠したのよ。父親は兄じゃないわ。まだはしてなかったから。それでまあ、婚約は破棄ね。ってことで、新しい婚約者を探しているのよ」

💐「なるほど。お茶会という名のお見合いな訳ね?ミシェル。どこかから見られていたりする?」

🌹「そんなことはしてないわ。母と兄をここに呼んでもいいかしら?」

🌷「誰と誰がお見合いするの?」

🌹「私の兄とフランシス。フランシスにその気が無いならこの話はお流れで、今日はいつものお茶会になるわ。フランシスの伯爵家に公爵家から打診してしまうと断りにくいでしょ?事前に2人をさり気なく会わせてみましょ、って話で母と兄は長居はしないわ。どう?フランシス」

💐「さり気なく、ね。ミシェルのお兄様は乗り気なの?」

🌹「お茶会してる時に何度か見かけてたみたいで、可愛いとは思っていたみたい。ユリアと並ぶとちょっと幼く見えるし」

🌷「う。まあ私はユリアみたいに育ってはないけどね。え、でも、待って。公爵夫人になるってこと?私が?無理じゃない?」

🌹「無理だとは思わないけど、それがね、婿に行きたいんですって。私には兄が2人いて、今回の話は次兄なのよ。フランシスの弟はまだ幼いでしょ?いずれ伯爵家を継ぐにしてもそれまでの繋ぎがあった方がいいと思うの。で、交代した後は公爵家で持っている伯爵位があるから、兄とフランシスはそっちを継いで貰えると空白位も埋まるわ」

💐「ふむふむ。フランシスは当面おうちで奥様が出来て、弟が成長してからは姑に悩まされない伯爵夫人か。いいんじゃない?なんか代わりたくなってきたわ」

🌷「何言ってるの、ユリア。婚約者とラブラブなくせに。お婿に来てくれるのはいいけど、うちの伯爵領、牧場がメインなのよ?牛とか羊とか大丈夫なの?」

🌹「実はそこなのよ。うちの次兄は自然が好きで、憧れちゃってるのよ。それもあって、フランシスなのよ。まだ婚約者がいないし、為人ひととなりが良いのも分かってるし」

💐「何だか危険な空気ね。憧れと違った時に耐えられるかしら?フランシスが傷付くのは嫌よ」

🌷「ユリア…。そうね。どうなるにしても、交流期間とか準備期間は欲しいわ」

🌹「それもそうね。とりあえず母と兄を呼んでもいいかしら?さり気なく」

💐「それ大事ね。さり気なく、ね」

🌷「あら、いらっしゃったのね、ってことね」

🌹「ふふ。じゃあ、呼んでくるわね」


≈≈≈≈≈≈≈≈


💐「いいの?フランシス」

🌷「ええ。いきなり婚約しましょうだったらお返事出来ないけど、お付き合いはしてみたいわ」

💐「そっか。しかしミシェルのお兄様、婚約者が浮気して妊娠か。キツいわね。でも結婚する前で良かったのかもね」

🌷「そうね。婚約破棄してすぐなんだから、ミシェルのお兄様にしてもまだ次の婚約!って気分じゃないでしょうからゆっくり仲良くなっていきたいわ」

💠「はじめまして、フランシス嬢。今の言葉、聞こえてしまいました。優しいお人柄をとても嬉しく思います。私とお付き合いしていただけませんか?」

🌹「お兄様!いきなり過ぎです!お母様も『あらあら』じゃないですわ!もう!」

💠「いいじゃないか、ミシェル。ずっと秘かに可愛いと思っていたご令嬢に仲良くなりたいなんて言われたら舞い上がるに決まってるだろう。フランシス嬢、もし良かったら庭を案内したいんだが」

🌹「お兄様!今日はお茶会です!後日にしてください!」

💐「早く2人きりになりたいのですね?公爵令息様は。もう私たち、お茶は頂きましたから一回りされてきたらよろしいのではないかしら?私とミシェル様とお母上様とでしばらくお茶会してますわ」

🌹「ユリア…。はぁ…そうね。ここでぎこちなく座っててもどうにもなりませんものね。いってらっしゃい、フランシス、お兄様」

💠「ああ、行ってくるよ。フランシス嬢、こちらです。お手をどうぞ」

🌷「は、は、はい。あの、初めてなのでよろしくお願い致します」

💐「…それ何か違う…」

🌹「…初めてって何するつもりよ…」

💮「こほん、あなたたち、聞こえてますよ。あの2人には聞こえてませんけど。良いご令嬢ですね、フランシス嬢は。ミシェル、紹介してくれてありがとう」

💐「あ、やっぱりミシェルの…様の紹介だったんですね」

💮「おほほ。いつも通りお話しなさって結構よ、って言っても気を使うでしょうから私はこれで失礼するわね。ユリア嬢、ごゆっくり」

💐「はい。ありがとうございます」


≈≈≈≈≈≈≈≈


🌹「上手くいくかしら、あの2人」

💐「いってほしいんでしょ?」

🌹「そうよ。お兄様の前の婚約者、苦手だったから。長兄の婚約者は話しやすい方なんだけどね。でも、フランシスがお義姉様か。変な感じ」

💐「物分かりの良い姑に、気心の知れた小姑か。いいなあ」

🌹「ユリアの婚約者って女性のきょうだいがいたっけ?」

💐「いない。いないから女性に免疫が無くて幻想があるのよねえ」

🌹「何?お胸強調ドレスの他にまた何かあった?」

💐「この前私の従兄弟の結婚式に招待されたのよ。で、ガータートスがあったのね。それ以来スカートの中に入りたがるのよ。やめて!って感じ」

🌹「スカート中に対する幻想は分かるけど、免疫は関係無くない?」

💐「入りたいなら入ればいいのに、いざとなるとモジモジして入りやがらないのよ!スカート持ち上げてる私の身になってみてよ!」

🌹「何やってるのよ、2人して」

💐「何もやってないわよ!もう!」



ミシェルとユリアはいつも通りの無礼講お茶会ですが、ミシェルのお兄様とフランシスはお花畑をフワフワとお散歩中です。
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