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最終章
218.夢を追いかける理玖
しおりを挟む理玖は家具の基礎知識を一から学ぶ為に、卒業と同時にイギリスへ旅立った。
日本を発ったと知った理由は、高校卒業直後にイギリスから一通の絵ハガキが届いたから。
そこには、アンティークのブラウンレザーの二人がけソファの写真が載っているハガキに、たった一言だけメッセージが書き添えられていた。
《毎日笑ってる?(^^)》
一行ぽっきりの絵文字付きのメッセージだったけど、文字の先には理玖の笑顔が見えたような気がした。
だから私も雑貨屋で購入した外国人の女の子の笑顔の写真が載っているハガキでひと言だけ書いて返信した。
《毎日いっぱい笑ってるよ!》
ハガキをポストに投函してから2年経った今も、その後の返事は届いていない。
もし、私が笑ってないと知ったらイギリスからすっ飛んで来そうだけど……。
今日まで返事が届かないという事は、きっと安心している証拠だろう。
私達は近所に住んでいたけど、別れたあの日以来一度もすれ違わなかった。
留学するまで一年もあったのに、案外会えないもの。
中学を卒業してからも地元で会わなかったから、偶然ってそんな簡単に訪れないんだなぁと、思ったりして。
だから、高二の時に駅で再会した事はかなり珍しかったのかもしれない。
理玖は何年留学して、いつ頃日本に帰国するかは知らない。
私達は4カ月間も恋人だったのに、いざ離れてみると知らない事ばかり。
でも、彼は影の努力家だから、きっと今頃海の向こうで頑張ってるだろう。
空を見上げる度に、勉強頑張ってって応援している。
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