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第七章
142.心のしこり
しおりを挟むーー年が明けた。
新年のお祝いムードが連日続く。
テレビのリモコンでどのチャンネルに合わせても正月番組だらけ。
面白いけど、ちょっと見飽きた。
二段重ねの重箱に入った豪華なおせち料理とお雑煮とお刺身を食べて、毎年恒例のお年玉を受け取る。
父は我が家の大臣。
正座をして両手でお年玉を頂戴する。
小雪がちらつく日もあり、寒くてコタツから出れない日々が続いていた。
出張で家を開けがちの父は久しぶりに自宅でのんびり過ごしているが、会わない間に少し老けたような気が……。
手紙を隠した件で母との間にまだしこりが残っているけど、日を追うごとに関係は修復しつつある。
去年、一つビッグニュースがあった。
それは、翔くんと衝撃的な再会。
六年生の時のお別れのシーンの夢を幾度となく見ていたけど、再会を機にパタリと止んだ。
トラウマから解放されて少し楽になったけど、傷付いた心が修復するにはまだ時間がかかりそうな予感がする。
ーー理玖と付き合い始めてから、ちょうど2ヶ月経った。
三が日を終えてからすぐに塾は始まり、今は塾からの帰り道。
いつも通り、理玖は身を案じて自宅まで送ってくれる。
語学学校に通って忙しいはずなのに、お迎えは一度も欠かした事がない。
どんなに遅れても必ず迎えに来てくれるし、お姫様のように大切に扱ってくれる。
3秒……5秒……10秒。
日を増すごとに長いキスをするようになり、塾やデートの帰り際にキスをするのが日課になった。
理玖の唇から愛がヒシヒシと伝わってくる。
理玖は女の子の扱いに慣れていてキスが上手。
中三の頃に屋上前でキスをした頃とは違う。
あの当時の唇を重ねただけの不器用なキスじゃない。
私と別れてから何人の女子とキスをしたの?
今日で何回目のキスなの?
付き合いたての頃の20%だった気持ちは今は何パーセントになったか分からないけど、素直に受け入れてる自分もいる。
理玖も年頃の男の子。
焦ってないとは言え、そう遠くないいつかそれ以上を求めてくる日が来るはず。
何も言わなくても、キスの長さが今の気持ちを表してるように思えた。
いざそうなった時に自分は応える事が出来るのかな。
いま私は理玖が好きなのかな。
翔くんをもう忘れたのかな……。
笑顔が見たくなったり。
唇を受け入れるようになったり。
理玖が何人の女性とキスをしたかなんて、小さな事が気になっちゃったり。
でも、これってヤキモチなのかなぁ。
理玖とお別れする事が想像出来なかったから迷いに迷って告白の返事を受け入れたけど、やっぱり断らなくて良かった。
自分の気持ちは未だに不透明だけど、大切にしてくれる分、進行方向が見誤っていなかったと思っている。
大事なモノほど壊れやすいから、大切に温めていかないとね。
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