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第二章
30.仲直りしたい!
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「ミク……、谷崎にフラれたみたい」
ノグからミクの告白結果を聞いたのは、谷崎くんとケンカをしてから一週間後の事。
ーー場所はノグの家。
傷心している私とミキを自宅に招待してくれた。
学校でミクの仲良い友達が告白話について語っているところをたまたま聞いて、途中から割り込んで確認した様子。
二人が付き合ってないと知ってホッとした。
心に少し余裕が生まれたお陰か、先日谷崎くんに告白しようとした件を伝えた。
すると二人は何の相談もなしに思い切った行動に移した私に酷く驚いている。
あの時の事を思い巡らせながら、泣かないようにキュッと唇を噛み締めたけど、二人の優しさに負けて涙をポロポロと溢れさせた。
「あーりん、あんた焦り過ぎたんだよ」
「えっ……」
「ミクの告白を知って谷崎を取られたくないって思ったんでしょ」
「うん。二人が付き合ったら嫌だから」
「谷崎の気持ちを考えてごらんよ。あんたと噂になったり、ミクに告白されたり。短期間で恋沙汰に巻き込まれて気持ちに余裕が残されてるなんて思えない」
「……う、うん」
「その上、あんたはミクを褒めたり勧めるような言い方して」
「私はっ、ミクを勧めるような言い方なんて……」
「してる。無意識かもしれないけど」
「………」
「少なくとも谷崎はそう思ってるだろうね。だから誤解したんじゃないかな。それに、告白の件を直接本人に聞くなんてどうかしてる」
愛里紗は否定されると暗い顔を俯かせた。
すると、黙って聞いていたミキが横から口を挟んだ。
「ねぇ、あーりんはどうしたかったの?」
ミキは愛里紗の顔をヒョイと覗き込んで、母親のように優しく尋ねた。
悪い所をキッパリ叱ってくれるノグは、父親のような役割で、優しく援護してくれるミキは母親のよう。
愛里紗は涙をゴシゴシと手の甲で涙を拭い、顔を上げた。
「……谷崎くんに想いを伝えたかった」
掛け時計の秒針が聞こえるほどボソッと小さく呟く愛里紗に対し、ノグは呆れ半分でため息をつく。
「谷崎自身があんたの言動で混乱してるのに、そのタイミングで告白? 間違ってるでしょ」
「そうだね……。ミクが先に告白したからつい焦っちゃって」
ノグの言う通り。
ミクを悪く言いたくないという思いと、遠回しな言動が誤解を生む要因に。
友達に気付かせてもらって知った間違いだらけの自分。
反省点は山ほど。
そして、それを克服するのは自分自身。
人の言葉に左右されないように、信念を持たなければならない。
「私、谷崎くんに謝りたい。早く仲直りしたい」
「うん、そうしな」
「谷崎くんも愛里紗と同じように仲直りしたいと思ってるよ」
ノグの家に来た時は、私が余計な事を言ったから谷崎くんとは縁が切れちゃったかなと思っていたけど……。
二人に相談したら気持ちが少し楽になった。
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