17 / 41
カーテン越しの君
16.プライベートな時間
しおりを挟む「いまから飴を渡すから、そっち側のカーテン開けていい?」
「それは絶対ダメ。何があってもカーテンだけは絶対開けないで」
「何で開けちゃダメなの?」
「今はプライベートの時間だから」
彼はカーテンが開けられる事を頑なに拒んだ。
残念だけど仕方ない。
芸能人だから、仕事以外では人と顔を合わせたくないのかもしれない。
「じゃあ、どうやって飴を渡せばいいの?」
「今からカーテンの下に右手だけ伸ばすから、俺の手の平に飴を乗せて」
カーテンも開けずに下から飴をくれという彼の偏屈な態度が少し可笑しく思った。
自分側のカーテンを少し開くと、隣のカーテン下から手が伸びていて、手の平が受け皿になっている。
彼の指示通り飴を手の平に乗せた。
「はい、どうぞ」
「サンキュー」
飴が彼の手元に渡ると、カーテンの向こう側に手がスッと引っ込んだ。
指が細くて長くてキレイな手。
でも、なんか受け取り方に可愛げがない。
同じ学校の生徒とはいえ、素性を知られたくないから自分側のカーテンは開けたくなかったんだね。
仕方ない。
「…この星型の飴」
彼は少し掠れるようにポツリと呟く。
私はすかさず返答をした。
「これは、歌が上手くなる特別な飴なんだ」
「え…。これは歌が上手くなる飴?」
「うん、昔好きな人にそう言われて、この飴を貰ったの。とうの昔に歌を辞めた私には、この飴は勇気が出る飴として肌身離さず持ってるんだ。」
「ふーん、あんた歌をやってたの?」
「うん。でも、未だにこの星型の飴を持ち続けてるには理由があるんだ」
「…へぇ。その話、もっと詳しく聞かせてもらってもいい?」
初めて私の話に興味を湧かせた彼からビリっと飴袋を開封する音が響いた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる