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第十章
61.参考にならないアドバイス
しおりを挟むーーとある日の昼休み。
奏と大和は、後夜祭で派手にやらかした俺を中庭に連れ出した。
二人はベンチに座る俺の正面に立って問いただす。
「蓮、どうしてあんなド派手に梓に告白したの? 明らかにお前の方が損してるよ」
奏は偽恋人としてスタートさせた俺を心配している。
蓮「モノ違いで勘違いしちゃったけど、自分がした事に後悔してない。人前で告白でもしないと、嫌がらせから堂々と守ってあげられないから。それに、損してない。むしろ傍にいる権利が出来て一石二鳥だよ」
大和「俺には梓の魅力がわかんねーな。よく2年間も付き合ってたな。それ以前に別れた今も元カノを追いかけるお前が意味ワカんねー。……ってか、女と付き合うなんて面倒だし」
蓮「お前に梓の魅力がわかったら盗られるだろ。だから教えてやんない」
大和「大丈夫、俺はイケジョしか付き合わないから梓は対象外」
蓮「梓もイケジョだろ?」
大和「もしそうなら、俺達と一緒にコンテストの壇上に上がってるだろ。一昨年も去年もそうだったけど、今回も居なかったし」
奏「恋は盲目ってやつだな」
奏も大和も言いたい放題。
恋を知らないお前達には、俺の気持ちなんてわかる筈がない。
形とはいえ、梓が告白を受け入れてくれたあの一瞬ですら幸せを感じたのに……。
奏「そんなに好きなら、押してばかりじゃなくてたまには引いてみれば?」
二股三股……いや、四股を繰り返す奏からまさかのアドバイス。
女を使い捨てしてるくせに、本気でやり直そうとしている俺にとって参考にならない。
もし、いま俺が引いてしまったら、梓は完全に俺の元へ戻って来なくなるのに。
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