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第九章

54.イケメンイケジョコンテスト

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  校庭にキャンプファイヤーの火が灯されると、学園生活最後の後夜祭がスタートした。


  キャンプファイヤーの炎と後夜祭のステージの照明だけが頼りな暗闇の中、みんなが楽しみにしているメインイベントのイケメンイケジョコンテストが開催された。



  エントリーしているイケメンイケジョは計十人。
  蓮は今年も例年通りこのステージ上にあがった。
  イケジョの五人の中には同じクラスの花音の姿が。
  認めたくないけどかわいいから納得。



  コンテストの最終選出は重量形式の投票によって行われる。
  予め配布されていた学生専用のブルーの学園祭のパンフレットを、お気に入りのイケメンイケジョのエントリー番号のBOXに投入して、パンフレットの重量をはかりで計測して最終順位が決まるというシステム。

  投票用紙の意味を持つパンフレットは、ゴミとして散らかさないというエコ的な事情と、一人一票とした公正ルールとして考案されたらしい。



「イケメン部門第一位は…………、柊 蓮くん」



  パチパチパチパチ……

  会場には多大な拍手が鳴り響く中、三年連続三度目の優勝を果たした蓮は、司会者に手渡された金の冠を被って赤いマントに身を包んだ。

  ステージから応援してくれた生徒に向かって笑顔で手を振る蓮の姿を紬と一緒に拍手を送りながら見届けた後、何気なく自分の教室に視線を移すと……。
  そこには、高梨先生が窓際で後夜祭を一人で見ていた。

  私はサプライズで会いに行こうと思って、紬にこう告げた。



「紬。教室に財布忘れてきちゃったから、今から取りに行ってくるね。出番を終えたら蓮達が戻って来ると思うから、ここで待っててね」

「うん、分かった」



  嘘の罪悪感に塗り固められつつも、秘密の恋愛を続けている私には嘘という手段しか見つからなかった。



  ごめんね、先生との関係を内緒にしていて。
  私、先生だけじゃなくて紬にも嘘をついてる。
  もうすっかり嘘つきになっちゃったよ。



  梓は後ろ髪が引かれつつも、注意深く辺りを確認しながら高梨の元へ向かった。

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