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第七章

41.誤解

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  ーー同日の放課後。
  蓮の病の件で頭いっぱいになって何一つ手がつけられない状態の大和は、奏と駅まで一緒に帰宅している最中、思いきって蓮の件に触れた。



「聞いた?  蓮の話……」

「蓮がどうしたの?  梓と上手くいった?」


「それじゃない。病気の話だよ」

「はぁ?  病気?  何それ」



  奏は道端でいきなり変な話を始めた大和にケタケタと笑う。
  しかし、大和は反応からしてまだ知らされていないんだと思い、沈痛な面持ちのまま話を続けた。



「あいつ……、もうヤバイらしい」

「ちょちょちょ、ちょっと待って。何?  そのマジ反応。蓮の病気が何だって?  話が見えないからもう少し詳しく説明して」


「あいつ、どうやら不治の病にかかったらしい。『俺にはもう時間がない』とか言って病の暴露をしたらしい」

「はぁ?!  マジか。しかも、不治の病なんて相当ヤバイな。因みにその話を誰から聞いたの?」


「梓」

「あー、ダメダメ。あいつの話ならアテにならないから。あいつはよくカン違いするし、異様なくらい話を盛るから」



  一気に緊張感から解放された呆れ眼の奏は、話を受け入れずにヒラヒラと手を横に振る。
  奏は、蓮の相談役を受けてから梓の性格を熟知している。

  だが、大和は蓮の現状を誰からも知らされていない奏を不憫ふびんに思う。



「でも、蓮が突然梓とやり直したいって頭を下げたり、急にかわいいとか言ってきたらしい。梓も涙ぐみながら蓮の病気を心配しててさ」

「そりゃ相当キテるな……。梓にかわいいって言うなんて、よっぽど調子が悪いんだろうな」


「……だろ?  だから俺らだけでも蓮の身体を労ってあげようって事になって」

「わかった。俺も最大限に努力する。蓮が病気なのはショックだけど、教えてくれてサンキュー。俺も力になるよ」



   二人ともどこかで梓の話が嘘臭いなぁと思う一方で、普段から仲良くしている蓮がこの世からいなくなる恐怖を覚えると、自然と表情が暗くなった。


  梓のほんの小さな勘違いが誤解を招き、まるで伝言ゲームのように仲間へと伝わっていく。
  自分に纏わる偽情報が裏で出回ってる事を知らない蓮は、今日も元気いっぱいに梓を追い回している。

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