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第八章

78.様子がおかしい彼

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  ーー翌朝。
  結菜はパジャマ姿のままカーテンを開いて窓の外を眺めた。
  すると、木々が強風に煽られてサラサラと大合唱を始めている。
  窓を閉めていても風の音がガタガタと耳を触る。



「今日は二階堂くんの誕生日なのに、夜に台風上陸かぁ。強風注意報くらいじゃ学校休みにならないしなぁ」



  想像以上の悪天候を目の当たりにしてふぅと深いため息をつくと、机の上に置いていた陽翔へのプレゼントを学生鞄にしまった。

  それから1時間後に学校に到着すると、結菜は後から登校してきた陽翔の席へ行って声をかけた。



「二階堂くん、おはよー。お誕生日おめでとう!」

「あはは、ありがとう。台風は夜に上陸だってね」


「……うん。それなんだけど、今日は悪天候だから誕生日のお祝いは別の日に変更した方がいいんじゃないかと思って相談に来たの」

「実は俺もそれをタイムリーで悩んでた。でも、土日はバイトと用事があって時間を空けるのは難しいし、誕生日は1年に一度しかないから出来れば今日がいいかな」


「そっか。わかった。じゃあ、21時25分に陽田駅の改札付近で待ち合わせでいいかな?」

「そうしよっか。電車が止まってたらヤバいけどね」


「電車が止まらないように祈っておくね。じゃあ、後でね」



  結菜が陽翔に手を振って席へ着くと、仲間に囲まれながら2人の一部始終を見ていた杏は嫉妬心に溺れてしまい、机の下で拳をぎゅっと握りしめた。

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