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第二章 回復系魔法使い クラリス

第17話 コンビニでのお買い物

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 まずは近くのコンビニにショーツを買いに行かないとな。今がちょうど10時ぐらい。日曜日の10時だから、外を歩く人も増えつつある。

 周囲からの視線が気になるが、メルは全く気にしていない。メルは俺にべったりとくっ付き、しきりに甘えて来る。楽しそうに微笑んで「ご主...智也さん...あれは何ですか?」と質問を投げかけてくる。まあ、メルが楽しんでいるならそれでいい。そう思うことにしよう。

 マンションから一番近くにあるコンビニ、「ワンデイマート」に着いた。店員さんは俺たちを見て「いらっしゃ...いませー」と、一瞬言葉を失った。

 雑誌コーナで立ち読みをしていた男性が、唖然とした表情で俺とメルを見た。

 さらに、作業員風の男性が俺たちを見て商品棚にぶつかり、手に持っていたカップコーヒーを、少し床こぼしてしまった。

 「あちっ!」

 メルが「大丈夫ですか...。お兄さん?」と心配そうに声をかけた。

 「あ、ああ、平気、平気!!」と慌てふためいた。自分のズボンで手を拭いている。

 分かるわー。美人から急に声をかけられると、キョドってしまうの。

 そりゃ、あんな態度をとってしまうわな。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 メルはコンビニの中を興味深そうに見回し、明るさと品揃えに驚いた。

 「すごい、すごいです!これらは全部売りもの何ですか!見たこともない物ばかりです。種類もすごくあります!ご...智也さんのお家にあったお菓子も、ここにあります!」

 メルの興奮が収まる様子はない。上がりっぱなし。

 コンビニでこんな状況なら、駅前のショッピングモールでは、えらいことになるだろうな。まあ、俺も異世界に行った時はテンションが爆上がりだったから、しょうがないか。

 「さあメル。目的の物を買って次の場所に行こう。また今度、ゆっくりとコンビニに連れて来てあげるからな」とメルに告げると、メルは幸せそうな表情で...。

 「はい、ご主人様!」

 ぎょっとした目で、回りの者たちが俺達を見た。

 メルは小声で「すみませんでした...た、智也様」と言ってきた。すごい勢いで土下座をしようとしたので、俺も負けないぐらいの勢いで土下座をしようとするメルを食い止めた。

 あと、本当は「智也さん」と呼んで欲しい...。

 まあ、テンションも上がっているし、無理もないな。

 メルは興奮が高まりすぎて、俺の事を「ご主人様」と呼んでしまった。

 俺はメルの言語設定を変更して、日本語を話せないようにした。周囲が話す内容は理解できるが、メルは日本語を話せない。そんな感じ。

 地球にいる殆どの時間は、俺が傍にいる。必要な時に設定を戻せばいい。外で「ご主人様」を連発されるとまずいからな。

 メルが突然、ナイメール星の言葉を話し始めたため、周囲はまた騒然となった。それに応じて、俺もナイメール語で話すことにした。

 周囲のザワめきはまだ続いているが、気にしないことにした。周りのことを考えている余裕はない。

 また、メルに「智也さん」と無理に呼ばなくてもいいと伝えたら、彼女はとてもホッとした表情を見せ、その後のテンションがさらに上がった。

「智也さん」という呼び方が、かなりの負担になっていたようだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 「ご主人様の冷蔵庫に入っていた物と同じです!」と、コーラーを指差して喜んでいる。本当に楽しそうだ。

 幸せそうな笑顔がとても可愛い。

 信じられないな。こんなに可愛い子とコンビニで買い物ができるなんて。それもショーツを買うなんて...なんだか大人だ。

 メルにも好きなジュースを選ばせよう。

 「甘い物がいい?コーヒー、紅茶など、色々あるよ」とメルに尋ねると、「ご主人様。飲み物は結構です。まだ、飲み物を頂いてから10時間が経っていません」と言ってきた。

 そこからか...。

 「それは、朝説明したはずだろ...」と言い、「好きな物を選んで」と、メルに飲み物を選ぶように促した。

 最初は不満そうな表情をしていたメルだが、次第に様々な商品を指差しながら「これは何ですか?どんな味がしますか?」と詳しく尋ねてきた。最終的には、甘いイチゴオーレを選んだ。

 レジでコーヒーとイチゴオーレ、それにショーツも買った。コンビニのトイレで、俺のトランクスからショーツに履き替えるようにメルに促した。

 「そこのトイレで俺のパンツとショーツを履き替えてきて」と、今買ったショーツを手渡した。「ご主人様!待っていて下さいますか?」そうメルは、置いて行かれることをすごく心配している。

 「ちゃんと待っているから、大丈夫だから着がえて来てね」

 メルをトイレに送り出した。メルは不安そうに何度もこちらを振り返って、俺がいるか確認してくる。大丈夫だから。ちゃんといるから。

 「私にこんな上等な下着何て...ご主人様がくれた物で十分ですが...」

 メルはそう何度も呟いて、ショーツを履き替えることを拒否したが、もう半ば強引に着がえさせた。

 2分程でトイレから出てきた。手には俺のトランクスを4つ折りにして持って来た。

 俺はメルの手を引いて、「よし、行こう」と言った。メルは目を輝かせて「はい!ご主人様♡」と元気に答えた。

 はぁ~。疲れた...もうマンションに戻って、ピザまんを5個ほどコーラーと一緒に食べたい...。

 だけどな~、メルのために洋服を揃えてあげたいしな~。せめてシロクマには行かなきゃな。よしいくか!

 そう心に決め、メルに気づかれないように重たい足を前に進め、次の目的地であるシロクマへと向かう智也であった。
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