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第一章 Exスキル「能力100万倍」と副作用
第7話 奴隷契約
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周囲の者たちは驚きで呆然としていた。ここにいる全員の動きはもちろん、思考までもが止まってしまった感じだ。その静寂の中で、ビッグハムを背負った馬が「ヒヒーン!」と鳴き、小便を「ジャボジャボ!!」と垂れ流し始めたのをきっかけに、みんなの思考が再び動き始めた。
「ど、どう言う事なんだい!あんな素敵な旦那が、メルみたいなゴミムシを!それに何だい!愛の告白みたいじゃないかい!あんなゴミムシ!ゴブリンと交尾している方がお似合いだろう!」
「しっ!あんた聞こえるよ!もうメルはあの殿方のものだよ!今、意思表明をしただろう!」
メルの悪口を言った者の口を、隣の女が慌てて塞いだ。
「殿方とその奴隷の悪口を言うのはご法度だよ!役人に連れて行かれて、鉱山送りになりたいのかい?それにあんな素敵な殿方だよ!心が傷ついたと役人に報告されてみな!打ち首の刑になるよ!あんた間違いなく...死ぬんだよ!」
先ほど「ゴブリンと交尾」という耳を疑いたくなるようなことを言った女性は、顔を真っ青にして俺の前に急いで駆け寄ってきた。
「ひ、ひ~ぃ!だ、旦那様!す、すみませんでした。も、もう言いませんから!役人様には、言わないで下さい!」
先程のメル以上に必死な形相で、額《ヒタイ》を地面に擦り付けながら俺に謝って来た。
本当に俺が傷ついたと言えば、それなりの刑になる様だ。
「もういい。とりあえずビッグハムじゃなかった、ライメイ!メルとの契約とやらを行ってくれ」
メルに悪口を言った女性を放って置き、ビッグハムに早く奴隷契約を行う様に促した。俺の持ち物、言い方が悪いが俺の奴隷と分かれば、悪意のこもった言葉や直接的な暴力を受けることは無くなるだろう。
「はい、お手数をおかけしますが、私の商会までお越しください。奴隷契約はそこでしか行えないのです。メルの身の代金は銀貨一枚で十分ですし、契約時の手数料もいただきません。ご気分を害したお詫びです」
驚くべき世界だな。男性が相当優遇されている様だ。ここで俺が駄々をこねたらどうなるんだろう?悪い俺が顔をのぞかせたので「たったそれだけなのか?俺の気分を害して」そう一言、ビッグハムに投げつけた。
すると、ビッグハムは私の前で急いで土下座し、「お好きな商品をどれでも一点、無料で差し上げます。さらに、メルの洋服と靴もお好みのものをお選び下さい」と申し出た。
土下座というよりは相変わらず首を下に傾けているだけにしか見えないのだが...。
あの体型で土下座をすれば、膝が砕けてしまうだろうしな。ビッグハムの表情は青ざめ、身体は小刻みに震えている。ビッグハムはは明らかに俺に対して恐怖を抱いている様だ。
本当に...男性が優遇される世界に来ちまったようだな。
まあ、あまり虐めるのもよくない。ここいらで手を引こう。土下座しているビッグハムに向かって「分かった。それでは商会に案内してくれ」と同行を求めた。
もう、ライメイという本名も忘れ始めている。
ビッグハムは、「ビッグハムなんて...そんな誉め言葉...」と下を向きモジモジとしている。ここは地球とはあべこべだから、『ビッグハム』という言葉も誉め言葉に変わる様だ。本当に不思議な世界に足を踏み入れたようだ。
ビッグハムの恥じらう姿などどうでもいい。
肝心のメルは大丈夫だろうか?心配と不安が胸をよぎる。慌ててメルに視線を向けると、彼女がずっと俺に向かって土下座ことに気がついた。そして、俺たちの目が合ったとき、彼女の目には涙が浮かんでいた。
「あ、あ、ありがとうございます。旦那様には何とお礼を述べたらよろしいのか。私は、メルは...幸せ者です」
メルは土下座したまま、何度も頭を下げながら涙を流し続けた。俺の奴隷になることが彼女にとって幸せなのだろうか?日本の価値観を持つ俺にしたら複雑な感情が湧いてくるが、現在の状況よりは幸せにできるかもしれない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、ビッグハムの奴隷商会で俺はメルと「血の契約」を交わし、メルは正式に俺の奴隷となった。
契約の説明を適当に聞き流しながら、メルを見つめていた。風呂に入らせてもらえないのだろうか?いや、身体を拭くことさえも制限されているのかもしれない。肌や髪の毛は薄汚れ、髪はぱさぱさだ。
ただ...それでも、その美しさは失われていない。何度見ても、彼女の美しさには心を奪われる。綺麗だな~。本当にこんなきれいな娘が俺の奴隷...。マジですか?
でも、ただなぁ...。
「ビッグハム、この首輪をどうにかできないか?」と、無骨で重たそうな首輪を見つめながら尋ねた。
このようながっしりとした首輪をしていると、地球には連れて行けない。地球に戻れば、私は間違いなく逮捕されてしまう。家族には迷惑をかけたくないのだ。
こんな無骨な首輪を身につけたまま、地球には連れて行けない。地球に戻れば、俺は間違いなく逮捕される。両親や妹に迷惑はかけられない。
「確かにございます。ただ、首輪に多額を投じるのは、社交界での見栄えを重視する貴族の奴隷たちです。戦闘や雑務用の奴隷には、それほど注意を払っておりませんでした。申し訳ございませんでした。どうぞ、あの棚からお好みのものをお選び下さい」
指定された棚に目を向けると、多種多様な洗練された首輪が並んでいた。価格は銀貨二枚から五枚で、日本円で約二万円から五万円程度であった。ゴブリンが残していった瓶には十分な貨幣がまだ残っているはずだ。それならば...。
「ど、どう言う事なんだい!あんな素敵な旦那が、メルみたいなゴミムシを!それに何だい!愛の告白みたいじゃないかい!あんなゴミムシ!ゴブリンと交尾している方がお似合いだろう!」
「しっ!あんた聞こえるよ!もうメルはあの殿方のものだよ!今、意思表明をしただろう!」
メルの悪口を言った者の口を、隣の女が慌てて塞いだ。
「殿方とその奴隷の悪口を言うのはご法度だよ!役人に連れて行かれて、鉱山送りになりたいのかい?それにあんな素敵な殿方だよ!心が傷ついたと役人に報告されてみな!打ち首の刑になるよ!あんた間違いなく...死ぬんだよ!」
先ほど「ゴブリンと交尾」という耳を疑いたくなるようなことを言った女性は、顔を真っ青にして俺の前に急いで駆け寄ってきた。
「ひ、ひ~ぃ!だ、旦那様!す、すみませんでした。も、もう言いませんから!役人様には、言わないで下さい!」
先程のメル以上に必死な形相で、額《ヒタイ》を地面に擦り付けながら俺に謝って来た。
本当に俺が傷ついたと言えば、それなりの刑になる様だ。
「もういい。とりあえずビッグハムじゃなかった、ライメイ!メルとの契約とやらを行ってくれ」
メルに悪口を言った女性を放って置き、ビッグハムに早く奴隷契約を行う様に促した。俺の持ち物、言い方が悪いが俺の奴隷と分かれば、悪意のこもった言葉や直接的な暴力を受けることは無くなるだろう。
「はい、お手数をおかけしますが、私の商会までお越しください。奴隷契約はそこでしか行えないのです。メルの身の代金は銀貨一枚で十分ですし、契約時の手数料もいただきません。ご気分を害したお詫びです」
驚くべき世界だな。男性が相当優遇されている様だ。ここで俺が駄々をこねたらどうなるんだろう?悪い俺が顔をのぞかせたので「たったそれだけなのか?俺の気分を害して」そう一言、ビッグハムに投げつけた。
すると、ビッグハムは私の前で急いで土下座し、「お好きな商品をどれでも一点、無料で差し上げます。さらに、メルの洋服と靴もお好みのものをお選び下さい」と申し出た。
土下座というよりは相変わらず首を下に傾けているだけにしか見えないのだが...。
あの体型で土下座をすれば、膝が砕けてしまうだろうしな。ビッグハムの表情は青ざめ、身体は小刻みに震えている。ビッグハムはは明らかに俺に対して恐怖を抱いている様だ。
本当に...男性が優遇される世界に来ちまったようだな。
まあ、あまり虐めるのもよくない。ここいらで手を引こう。土下座しているビッグハムに向かって「分かった。それでは商会に案内してくれ」と同行を求めた。
もう、ライメイという本名も忘れ始めている。
ビッグハムは、「ビッグハムなんて...そんな誉め言葉...」と下を向きモジモジとしている。ここは地球とはあべこべだから、『ビッグハム』という言葉も誉め言葉に変わる様だ。本当に不思議な世界に足を踏み入れたようだ。
ビッグハムの恥じらう姿などどうでもいい。
肝心のメルは大丈夫だろうか?心配と不安が胸をよぎる。慌ててメルに視線を向けると、彼女がずっと俺に向かって土下座ことに気がついた。そして、俺たちの目が合ったとき、彼女の目には涙が浮かんでいた。
「あ、あ、ありがとうございます。旦那様には何とお礼を述べたらよろしいのか。私は、メルは...幸せ者です」
メルは土下座したまま、何度も頭を下げながら涙を流し続けた。俺の奴隷になることが彼女にとって幸せなのだろうか?日本の価値観を持つ俺にしたら複雑な感情が湧いてくるが、現在の状況よりは幸せにできるかもしれない。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その後、ビッグハムの奴隷商会で俺はメルと「血の契約」を交わし、メルは正式に俺の奴隷となった。
契約の説明を適当に聞き流しながら、メルを見つめていた。風呂に入らせてもらえないのだろうか?いや、身体を拭くことさえも制限されているのかもしれない。肌や髪の毛は薄汚れ、髪はぱさぱさだ。
ただ...それでも、その美しさは失われていない。何度見ても、彼女の美しさには心を奪われる。綺麗だな~。本当にこんなきれいな娘が俺の奴隷...。マジですか?
でも、ただなぁ...。
「ビッグハム、この首輪をどうにかできないか?」と、無骨で重たそうな首輪を見つめながら尋ねた。
このようながっしりとした首輪をしていると、地球には連れて行けない。地球に戻れば、私は間違いなく逮捕されてしまう。家族には迷惑をかけたくないのだ。
こんな無骨な首輪を身につけたまま、地球には連れて行けない。地球に戻れば、俺は間違いなく逮捕される。両親や妹に迷惑はかけられない。
「確かにございます。ただ、首輪に多額を投じるのは、社交界での見栄えを重視する貴族の奴隷たちです。戦闘や雑務用の奴隷には、それほど注意を払っておりませんでした。申し訳ございませんでした。どうぞ、あの棚からお好みのものをお選び下さい」
指定された棚に目を向けると、多種多様な洗練された首輪が並んでいた。価格は銀貨二枚から五枚で、日本円で約二万円から五万円程度であった。ゴブリンが残していった瓶には十分な貨幣がまだ残っているはずだ。それならば...。
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