不明

人参と篇首。

人参と観察。

私は人参だ。野菜ではない。触れることも見ることもできない。神秘的な存在だ。そして、「暇」だ。私みたいな神秘的な存在は多数存在している。神秘的な私たちにとって、「暇」は、かなりの問題だ。人間たちが騒いでいる温暖化や地震被害などは、私達の問題と比べると寝も葉もないことだ。私達にとっての「暇」は、なにもできないということだ。人間に置き換えると、生まれてから永遠に椅子に座ったまま動けないのと同じことだ。なにもできないのは、なによりも苦しい。苦しくて悶えることも誰かに助けを乞うこともできない。まさに無限地獄ということだ。だが私はその地獄から抜け出す方法を見つけた。それは人の一生を見続けることだ。人を見るのは良い。なんの感情も抱くことはないが暇を解消させてくれるひと時だ。人を見るのには、特にこれといってルールはない。自由に何人もの人を見ることが出来る。今回は亀山、真行寺、池田、永井の四人の出来事を見ていくことにしようか。あ、私としたことが。人になんの感情も抱くことはないと言ったが、撤回させてくれ。同情は、たまに抱く。たまに。