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第3章 隣国へ
問い
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「ここが文具用品を扱ってるお店だよ」
エリスに言われ、ロゼたちは一つのお店を見た。そこには綺麗なガラスペンや羽ペンを始め、紙を押さえる重石やインク瓶など、あまり普段のお店では扱っていないような物まで綺麗に揃えられた店があった。
「わぁ、綺麗。あ、日記帳とかもおいてる」
ロゼはワクワクした足取りで日記帳や紙を綴るリボンファイルが置かれた場所へ向かった。
「種類がいっぱい…」
ロゼは思わず声を漏らした。日記帳だけでも色がたくさんあり、刺繍がついたものから豪奢な装飾品がついたものまで目移りしてしまうほどの種類がある。
「へぇ、日記帳だけでもこんなに種類があるんだな」
ロゼの隣に来たアルは感心したように呟いた。
「今日のお祭りにはいろんな店が出店してるからね。別の国から取り寄せたものとかも沢山売ってるんだよ」
エリスは笑って言った。
「私はガラスペンを買って行こうかしら」
イザベラはそう言ってガラスペンの場所を見に行った。
「ロゼ、どれにするんだ?」
ロゼはアルに言われて一冊の日記帳を手に取った。青いカバーにお花の刺繍が入ったデザインのものだ。
「アルからもらったスケジュール帳が青色だから、それに合わせようと思って」
「あのスケジュール帳使ってくれてるんだ。役に立ってよかった」
「今日も持ってきてるよ。ほら」
ロゼはそう言ってスケジュール帳を取り出した。
「なんか嬉しいよ」
アルはそう言って笑った。ロゼは横に並べられていたリボンファイルもお花の模様が入ったものを選ぶとレジへと向かっていった。
「アル、ロゼとはどういう関係?」
その時、ロゼがいない時を見計らってエリスが尋ねた。
アルはいきなりの質問にたじろぎながらもはっきりとその答えを口にした。
「そばにいて見守っていたい人かな」
****************
買い物が終わり、店を出た6人は別の店を見ながら通りを歩いて行った。
「ロゼさんはドレスとか着ないの?」
唐突にエリスはロゼに尋ねた。
「うーん…ドレスはあまり着たいと思わないですね。似合わないと思いますし…」
ロゼは少し困ったように否定した。
「えー、ロゼさんのドレス姿きっと綺麗だと思うな。アルも喜ぶと思うし」
「そ、そうですか…?」
エリスは恥ずかしげもなくそう言った。ロゼは思わず顔を赤らめる。
「エリス、ちょっと来い」
その時アルがエリスの手を引いて通りの端に歩いて行った。その様子を不思議そうにロゼは見つめた。
「ロゼ、あっちに飲食店もあるわよ。お昼何食べたい?」
イザベラに声をかけられ、ロゼはアルたちとは反対の方向に視線を移した。そこには美味しいそうな匂いが漂う飲食店の通りが広がっていた。店内で食事をするレストランから食べ歩きができる料理を扱ってる店、酒場まである。
「迷っちゃうなぁ。できれば食べたことのない料理がいいです!この国の郷土料理とか」
「エド、この国郷土料理ってわかる?」
「はい。鶏肉と木の実、ハーブを使ったオーブン焼きです」
ロゼとイザベラは二人してエドの下調べに感心した。
「じゃあお昼はそれを食べましょうか」
「はい!」
お昼が決まったその時、端で話していた王子二人が戻ってきた。
「アル、何話してたの?」
「え?!まぁ、ちょっと世間話を…。じゃ、じゃあ次はどの店に入る?」
アルは咳払いを一つしてみんなに尋ねた。エリスはニコニコと微笑んでいる。ロゼはその変なアルが気になったが触れないことにしておいた。
「ちょうど飲食店の通りが見えてきたし、お昼にしようかって話してたの。ロゼはここの郷土料理が食べたいみたい。みんなはどう?」
イザベラが全員を見渡して尋ねた。みんなは笑って頷くとそのオーブン焼きをメニューとしておいている一軒の店に入った。
「いらっしゃい。何名様かな…ってエリス様ではないですか!」
出迎えてくれたおじさんが驚いたように声をあげた。
「こんにちは。商売の方はどう?」
「お祭りで大盛況ですよ!エリス様が直々に私らの店を呼んでくださるなんて。本当に感謝しています」
「それは良かった。今日はゼルファジア国の王子も来てるんだ。ここの郷土料理を食べていかれるよ」
「本当ですか!初めまして!この店の店長、ガナルです。腕によりをかけて作った料理、満足するまで食べていってください!」
おじさんはアルたちに一礼すると「6名様ご案内!」と言ってテーブルへ案内してくれた。
「ここの店はね、すごく美味しいんだけど、本店が街から少し離れたところにあってさ、あまりお客さんが来ていなかったんだ。だから今回このお祭りに呼んでみんなに美味しさを知ってもらおうと出店してもらったんだ」
エリスはメニュー表を広げながらそう言った。
「なるほど。そういうこともできるのか。エリス、後でちょっと相談に乗ってくれないか?俺も近々自国の国民に新しい政策をしようと思っていてさ…」
「了解」
ロゼたちはメニュー表に視線を落とすと、揃って一番オススメに書かれている鶏肉と木の実のハーブオーブン焼を頼んだ。
しばらくして運ばれてきた美味しい料理に舌鼓しながら、ロゼたちは至福の時を過ごした。
エリスに言われ、ロゼたちは一つのお店を見た。そこには綺麗なガラスペンや羽ペンを始め、紙を押さえる重石やインク瓶など、あまり普段のお店では扱っていないような物まで綺麗に揃えられた店があった。
「わぁ、綺麗。あ、日記帳とかもおいてる」
ロゼはワクワクした足取りで日記帳や紙を綴るリボンファイルが置かれた場所へ向かった。
「種類がいっぱい…」
ロゼは思わず声を漏らした。日記帳だけでも色がたくさんあり、刺繍がついたものから豪奢な装飾品がついたものまで目移りしてしまうほどの種類がある。
「へぇ、日記帳だけでもこんなに種類があるんだな」
ロゼの隣に来たアルは感心したように呟いた。
「今日のお祭りにはいろんな店が出店してるからね。別の国から取り寄せたものとかも沢山売ってるんだよ」
エリスは笑って言った。
「私はガラスペンを買って行こうかしら」
イザベラはそう言ってガラスペンの場所を見に行った。
「ロゼ、どれにするんだ?」
ロゼはアルに言われて一冊の日記帳を手に取った。青いカバーにお花の刺繍が入ったデザインのものだ。
「アルからもらったスケジュール帳が青色だから、それに合わせようと思って」
「あのスケジュール帳使ってくれてるんだ。役に立ってよかった」
「今日も持ってきてるよ。ほら」
ロゼはそう言ってスケジュール帳を取り出した。
「なんか嬉しいよ」
アルはそう言って笑った。ロゼは横に並べられていたリボンファイルもお花の模様が入ったものを選ぶとレジへと向かっていった。
「アル、ロゼとはどういう関係?」
その時、ロゼがいない時を見計らってエリスが尋ねた。
アルはいきなりの質問にたじろぎながらもはっきりとその答えを口にした。
「そばにいて見守っていたい人かな」
****************
買い物が終わり、店を出た6人は別の店を見ながら通りを歩いて行った。
「ロゼさんはドレスとか着ないの?」
唐突にエリスはロゼに尋ねた。
「うーん…ドレスはあまり着たいと思わないですね。似合わないと思いますし…」
ロゼは少し困ったように否定した。
「えー、ロゼさんのドレス姿きっと綺麗だと思うな。アルも喜ぶと思うし」
「そ、そうですか…?」
エリスは恥ずかしげもなくそう言った。ロゼは思わず顔を赤らめる。
「エリス、ちょっと来い」
その時アルがエリスの手を引いて通りの端に歩いて行った。その様子を不思議そうにロゼは見つめた。
「ロゼ、あっちに飲食店もあるわよ。お昼何食べたい?」
イザベラに声をかけられ、ロゼはアルたちとは反対の方向に視線を移した。そこには美味しいそうな匂いが漂う飲食店の通りが広がっていた。店内で食事をするレストランから食べ歩きができる料理を扱ってる店、酒場まである。
「迷っちゃうなぁ。できれば食べたことのない料理がいいです!この国の郷土料理とか」
「エド、この国郷土料理ってわかる?」
「はい。鶏肉と木の実、ハーブを使ったオーブン焼きです」
ロゼとイザベラは二人してエドの下調べに感心した。
「じゃあお昼はそれを食べましょうか」
「はい!」
お昼が決まったその時、端で話していた王子二人が戻ってきた。
「アル、何話してたの?」
「え?!まぁ、ちょっと世間話を…。じゃ、じゃあ次はどの店に入る?」
アルは咳払いを一つしてみんなに尋ねた。エリスはニコニコと微笑んでいる。ロゼはその変なアルが気になったが触れないことにしておいた。
「ちょうど飲食店の通りが見えてきたし、お昼にしようかって話してたの。ロゼはここの郷土料理が食べたいみたい。みんなはどう?」
イザベラが全員を見渡して尋ねた。みんなは笑って頷くとそのオーブン焼きをメニューとしておいている一軒の店に入った。
「いらっしゃい。何名様かな…ってエリス様ではないですか!」
出迎えてくれたおじさんが驚いたように声をあげた。
「こんにちは。商売の方はどう?」
「お祭りで大盛況ですよ!エリス様が直々に私らの店を呼んでくださるなんて。本当に感謝しています」
「それは良かった。今日はゼルファジア国の王子も来てるんだ。ここの郷土料理を食べていかれるよ」
「本当ですか!初めまして!この店の店長、ガナルです。腕によりをかけて作った料理、満足するまで食べていってください!」
おじさんはアルたちに一礼すると「6名様ご案内!」と言ってテーブルへ案内してくれた。
「ここの店はね、すごく美味しいんだけど、本店が街から少し離れたところにあってさ、あまりお客さんが来ていなかったんだ。だから今回このお祭りに呼んでみんなに美味しさを知ってもらおうと出店してもらったんだ」
エリスはメニュー表を広げながらそう言った。
「なるほど。そういうこともできるのか。エリス、後でちょっと相談に乗ってくれないか?俺も近々自国の国民に新しい政策をしようと思っていてさ…」
「了解」
ロゼたちはメニュー表に視線を落とすと、揃って一番オススメに書かれている鶏肉と木の実のハーブオーブン焼を頼んだ。
しばらくして運ばれてきた美味しい料理に舌鼓しながら、ロゼたちは至福の時を過ごした。
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