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第7章 互いの願い
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その後、特に変わったこともなく拓人はいつもの放課後を迎えていた。
「追試行ってくる…」
海があからさまに浮かない顔で教室を出て行った。拓人はそんな海に「頑張れ」と手を振ると、図書室の方向へと向かった。
「あんまり動き回るとフィールド展開されるかもだぜ?」
「放課後だし、もう帰ってるかもしれないだろ」
本当は本屋に寄って帰りたかったのだが、別のカード所持者と会うのを恐れ、拓人は校内を選んだ。相手が朝フィールド展開をしなかったのなら、別のカード所持者よりはフィールド展開してくる可能性は低いだろうと考えたのだ。
最近は本屋の方に寄ってばかりだったせいか、図書室は随分と久しぶりだ。今回拓人が図書室に寄ろうと思ったのは、昨日の沙織が持っていた武器のことを調べようと思ったからである。
図書室に着き、武器について書いてある本を探しながら本棚を見上げていると、不意打ちのように脳内に高音が鳴り響いた。
「どこにいる…?!」
広い校内でよりにもよってこの図書室にいるなんて…。
拓人は冷や汗をかきながら図書室の出口へとそろそろと向かう。しかしいくら出口へ向かっても一向に高音は消えない。半径10m外に出られていないということだ。
向かう出口は入ってきたドアと同じだ。入ってきた時に高音は鳴っていなかった。ということは…。
「近づいてる?!」
しかもフィールド展開はいつまで経ってもされない。
焦りと謎が思考を埋め尽くした。
モルテが辺りを見渡し、それっぽい人物を探し出そうとしている。
「いた!多分あいつだ!こっちに近づいてきてる!やば、俺目合っちゃった…」
モルテが苦笑いを浮かべながらそそくさと拓人の後ろに隠れた。カード所持者にはモルテの姿が見えている。目が合ったということはその相手が間違いなくカード所持者であるということだ。
「どんな人?逃げた方が良さそう?」
拓人は背後のモルテに問うた。強そうな相手なら、ダメ元でも走って距離を取るなりした方がいいだろう。
「見た目は真面目そうな女子だぞ?赤縁眼鏡の。あれは逃げるより面向かって話をした方がいいかも。フィールド展開しないのにも何か理由があるのかもしれない」
二人を遮る本棚から当学校のスカートが揺れる。
「あなたね。カード所持者は」
「え…あ、斉果弓実…さん?」
拓人はその見知った人物に間抜けな声をあげた。いや、見知ったというのは少し違うかもしれない。
「私の名前知っているのね」
「ま、まあ有名なので…」
斉果弓実は別クラスの委員長であり、そして学年一位の頭脳を持つ秀才だ。言わずとも、学年トップの生徒はそれなりに名前が知れ渡る。話したことこそないものの、拓人は彼女を知っていた。
「そう。じゃああなたの名前を教えてもらっていいかしら?」
「宇宮拓人です」
「ああ、あの占いをするっていう人ね」
「な、なんで知ってるんですか?!」
拓人は占いをしていることを一部の友達にしか教えていない。同じクラスなら納得もいくが、彼女とは明らかに初対面のはずだ。
「何度かあなたに占いをすがる友達を見たわ」
海…。
拓人は追試に行った友人を思い浮かべた。
「あなたのカードは死神、かしら?私のは戦車よ」
「げっ!大アルカナかよ!」
モルテが声をあげたのを合図にするように、弓実は軽く口角を上げると、一枚のタロットカードを取り出し、横へ投げた。カードが地に着く瞬間、一人の青年の姿がカードとなり変わるように現れた。歯車のような装飾服を着ている、杖を持った弓実に似た真面目そうな人だ。てっきり戦車が出てくるとばかり思っていた拓人は少しだけ安堵する。
「初めまして。カッロと申します」
「あ、初めまして。宇宮拓人とモルテです」
「初めて会ったわ。接近音が鳴ってもフィールド展開しない人」
自己紹介を見届けて、弓実は口を開いた。それは拓人自身も不思議に思っていたことだ。
「僕は争いなんてしたくないだけです。たとえ願いのためだとしても、他人を殺すなんてしたくありません」
弓実はそれを聞くと、不思議そうに首を傾げた。
「戦闘の勝敗は相手を殺さなくてもいいはずでは?何か死に関係する能力のカードなのかしら。見た目も死神そのものだし…」
「えっと、僕のカード能力は…たあっ!?」
拓人が弓実に能力名を告げようとした時、モルテが拓人の背中を思いっ切り叩いた。そしてそっと耳打ちした。
「馬鹿か君は!能力をバラしたら戦闘の時不利だろうが!」
それを見ていた弓実が薄く笑った。
「もしかしてあなた初心者?」
息を飲んだ。答えられない…。初心者であることに間違いはないが、そこにつけこんでフィールド展開をされるかもしれない。このゲームで初心者は格好の餌食だ。
「まあ、答えなくてもその表情を見ればわかるのだけれど」
弓実はいつもの真面目な表情を優しく崩して微笑む。
「安心して。フィールド展開はしないから。私も無駄な争いはしない主義なの。よかったら少し話さない?」
拓人は弓実に連れられ、図書室の奥の席に着いた。相変わらず脳内では高音が鳴り続けているが、慣れてしまったせいか、緊張が解けたせいか、最初ほど気にならなくなっていた。
「あの…斉果さんは…」
「弓実でいいわ」
「弓実さんは、どうしてこのゲームに参加したんですか?」
拓人は率直に聞きたかったことを弓実に尋ねた。
「私は自分の意思で参加したわけじゃないわ。巻き込まれたの。私あまり周りには言っていないのだけど、実は中学の時から占いをやっていたの。タロット占いを専門にやっていたわ」
そう言って弓実は鞄からタロットカードを取り出した。そのカードは拓人の持っているデザインとは異なっていた。
「約一ヶ月前まではこのタロットカードを使っていたの。でも見ての通り、使い込んでたから色あせとかが目立ち始めて、買い換えようと思ったの。それで購入したのがこれ」
そう言って見せたのは、今拓人が持っているものと同じタロットカードだった。
「買った時、この箱の中に一枚の黒い紙が入っていたわ」
「全カードをシャッフルして一枚引きなさい。行なわなかった場合、あなたはカードに殺されますってものですよね?」
「そうよ。私製作者のいたずらだと思って、販売社に連絡しようと思ったの。でもパッケージのどこにも会社の住所はおろか、電話番号すら載ってなかった」
拓人はそこまで調べなかったが、会社についての記載がないのはあまりにも不自然だ。
「隠蔽されている…」
「おそらく」
弓実さんは一息つくと、拓人に問いかけた。
「あなたは何か叶えたい願いがあるの?」
「僕は…」
脳内にあの光景がフラッシュバックする。あの日のこと、弓実さんには話してもいいのかもしれない。
「僕の両親は2年前…殺人事件に巻き込まれて死にました。もし…もし自分が優勝者になったら、両親を生き返らせるか、未だ捕まっていない犯人の逮捕を願います」
何も言わず、真面目に聞いていた弓実は拓人を見つめそっと口を開いた。
「人の願いにどうこう言うつもりはないけど、その二つの願いはあまりにもかけ離れているわ。決断によっては後悔しかねない」
「どういうことですか?」
「よく考えてみて。仮に願いで両親を生き返らせたとする。でもその両親に殺された後の二年間の記憶はないの。二年分知らぬ間に成長したあなたを見て、両親はあなたの思うように接せられるのかしら?説明しようにも両親に一度死んだ事実を告げられる?あなたが虚無感を抱くことはないのかしら?次に、あなたが犯人の逮捕を願ったとする。でも犯人が逮捕されたところで、あなたの納得がいく判決が言い渡されるとは限らないわよ」
「なるほど…」
拓人は願いを単純に考えていたことを反省した。
「一番大事なのは、他人の願いを踏んで、命をかけてまでその願いを叶える価値があるかどうかね」
弓実は淡々と語っているが、その最後の言葉に、拓人は自分の願いが馬鹿にされたように感じた。
「じゃあ弓実さんは何を願うんですか?」
「世界平和よ」
弓実は当然のように答えた。
「世界…平和…」
「ええ。これはこの奇跡を使ってでしか叶えられないことだわ」
弓実は自慢げに、誇らしげに、眼鏡を押し上げた。
「あなたもわかるでしょう?国がいくら兵器をなくそう、平和な世界を築きましょうって言っても、そんなこと不可能だと。多くの国は兵器を持っているし、内戦、紛争は無くならない。それなら私がこの願いという奇跡を生かして真の平和な世界を作るべきだと思うわ」
拓人はそれを聞いて素直に、弓実はすごい人だと思った。自分のためではなく、世界に命をかけている弓実が。
すると弓実は鞄から厚手のコートを取り出した。今は春だ。すでに寒さは遠のきつつある。コートはあまりにも季節違いな気がした。
「まさか…っ」
その言葉が発せられたのはモルテが焦ったように口を開いたのとほぼ同時だった。
「フィールド展開。能力付与、吹雪」
世界は色を変えた。
「追試行ってくる…」
海があからさまに浮かない顔で教室を出て行った。拓人はそんな海に「頑張れ」と手を振ると、図書室の方向へと向かった。
「あんまり動き回るとフィールド展開されるかもだぜ?」
「放課後だし、もう帰ってるかもしれないだろ」
本当は本屋に寄って帰りたかったのだが、別のカード所持者と会うのを恐れ、拓人は校内を選んだ。相手が朝フィールド展開をしなかったのなら、別のカード所持者よりはフィールド展開してくる可能性は低いだろうと考えたのだ。
最近は本屋の方に寄ってばかりだったせいか、図書室は随分と久しぶりだ。今回拓人が図書室に寄ろうと思ったのは、昨日の沙織が持っていた武器のことを調べようと思ったからである。
図書室に着き、武器について書いてある本を探しながら本棚を見上げていると、不意打ちのように脳内に高音が鳴り響いた。
「どこにいる…?!」
広い校内でよりにもよってこの図書室にいるなんて…。
拓人は冷や汗をかきながら図書室の出口へとそろそろと向かう。しかしいくら出口へ向かっても一向に高音は消えない。半径10m外に出られていないということだ。
向かう出口は入ってきたドアと同じだ。入ってきた時に高音は鳴っていなかった。ということは…。
「近づいてる?!」
しかもフィールド展開はいつまで経ってもされない。
焦りと謎が思考を埋め尽くした。
モルテが辺りを見渡し、それっぽい人物を探し出そうとしている。
「いた!多分あいつだ!こっちに近づいてきてる!やば、俺目合っちゃった…」
モルテが苦笑いを浮かべながらそそくさと拓人の後ろに隠れた。カード所持者にはモルテの姿が見えている。目が合ったということはその相手が間違いなくカード所持者であるということだ。
「どんな人?逃げた方が良さそう?」
拓人は背後のモルテに問うた。強そうな相手なら、ダメ元でも走って距離を取るなりした方がいいだろう。
「見た目は真面目そうな女子だぞ?赤縁眼鏡の。あれは逃げるより面向かって話をした方がいいかも。フィールド展開しないのにも何か理由があるのかもしれない」
二人を遮る本棚から当学校のスカートが揺れる。
「あなたね。カード所持者は」
「え…あ、斉果弓実…さん?」
拓人はその見知った人物に間抜けな声をあげた。いや、見知ったというのは少し違うかもしれない。
「私の名前知っているのね」
「ま、まあ有名なので…」
斉果弓実は別クラスの委員長であり、そして学年一位の頭脳を持つ秀才だ。言わずとも、学年トップの生徒はそれなりに名前が知れ渡る。話したことこそないものの、拓人は彼女を知っていた。
「そう。じゃああなたの名前を教えてもらっていいかしら?」
「宇宮拓人です」
「ああ、あの占いをするっていう人ね」
「な、なんで知ってるんですか?!」
拓人は占いをしていることを一部の友達にしか教えていない。同じクラスなら納得もいくが、彼女とは明らかに初対面のはずだ。
「何度かあなたに占いをすがる友達を見たわ」
海…。
拓人は追試に行った友人を思い浮かべた。
「あなたのカードは死神、かしら?私のは戦車よ」
「げっ!大アルカナかよ!」
モルテが声をあげたのを合図にするように、弓実は軽く口角を上げると、一枚のタロットカードを取り出し、横へ投げた。カードが地に着く瞬間、一人の青年の姿がカードとなり変わるように現れた。歯車のような装飾服を着ている、杖を持った弓実に似た真面目そうな人だ。てっきり戦車が出てくるとばかり思っていた拓人は少しだけ安堵する。
「初めまして。カッロと申します」
「あ、初めまして。宇宮拓人とモルテです」
「初めて会ったわ。接近音が鳴ってもフィールド展開しない人」
自己紹介を見届けて、弓実は口を開いた。それは拓人自身も不思議に思っていたことだ。
「僕は争いなんてしたくないだけです。たとえ願いのためだとしても、他人を殺すなんてしたくありません」
弓実はそれを聞くと、不思議そうに首を傾げた。
「戦闘の勝敗は相手を殺さなくてもいいはずでは?何か死に関係する能力のカードなのかしら。見た目も死神そのものだし…」
「えっと、僕のカード能力は…たあっ!?」
拓人が弓実に能力名を告げようとした時、モルテが拓人の背中を思いっ切り叩いた。そしてそっと耳打ちした。
「馬鹿か君は!能力をバラしたら戦闘の時不利だろうが!」
それを見ていた弓実が薄く笑った。
「もしかしてあなた初心者?」
息を飲んだ。答えられない…。初心者であることに間違いはないが、そこにつけこんでフィールド展開をされるかもしれない。このゲームで初心者は格好の餌食だ。
「まあ、答えなくてもその表情を見ればわかるのだけれど」
弓実はいつもの真面目な表情を優しく崩して微笑む。
「安心して。フィールド展開はしないから。私も無駄な争いはしない主義なの。よかったら少し話さない?」
拓人は弓実に連れられ、図書室の奥の席に着いた。相変わらず脳内では高音が鳴り続けているが、慣れてしまったせいか、緊張が解けたせいか、最初ほど気にならなくなっていた。
「あの…斉果さんは…」
「弓実でいいわ」
「弓実さんは、どうしてこのゲームに参加したんですか?」
拓人は率直に聞きたかったことを弓実に尋ねた。
「私は自分の意思で参加したわけじゃないわ。巻き込まれたの。私あまり周りには言っていないのだけど、実は中学の時から占いをやっていたの。タロット占いを専門にやっていたわ」
そう言って弓実は鞄からタロットカードを取り出した。そのカードは拓人の持っているデザインとは異なっていた。
「約一ヶ月前まではこのタロットカードを使っていたの。でも見ての通り、使い込んでたから色あせとかが目立ち始めて、買い換えようと思ったの。それで購入したのがこれ」
そう言って見せたのは、今拓人が持っているものと同じタロットカードだった。
「買った時、この箱の中に一枚の黒い紙が入っていたわ」
「全カードをシャッフルして一枚引きなさい。行なわなかった場合、あなたはカードに殺されますってものですよね?」
「そうよ。私製作者のいたずらだと思って、販売社に連絡しようと思ったの。でもパッケージのどこにも会社の住所はおろか、電話番号すら載ってなかった」
拓人はそこまで調べなかったが、会社についての記載がないのはあまりにも不自然だ。
「隠蔽されている…」
「おそらく」
弓実さんは一息つくと、拓人に問いかけた。
「あなたは何か叶えたい願いがあるの?」
「僕は…」
脳内にあの光景がフラッシュバックする。あの日のこと、弓実さんには話してもいいのかもしれない。
「僕の両親は2年前…殺人事件に巻き込まれて死にました。もし…もし自分が優勝者になったら、両親を生き返らせるか、未だ捕まっていない犯人の逮捕を願います」
何も言わず、真面目に聞いていた弓実は拓人を見つめそっと口を開いた。
「人の願いにどうこう言うつもりはないけど、その二つの願いはあまりにもかけ離れているわ。決断によっては後悔しかねない」
「どういうことですか?」
「よく考えてみて。仮に願いで両親を生き返らせたとする。でもその両親に殺された後の二年間の記憶はないの。二年分知らぬ間に成長したあなたを見て、両親はあなたの思うように接せられるのかしら?説明しようにも両親に一度死んだ事実を告げられる?あなたが虚無感を抱くことはないのかしら?次に、あなたが犯人の逮捕を願ったとする。でも犯人が逮捕されたところで、あなたの納得がいく判決が言い渡されるとは限らないわよ」
「なるほど…」
拓人は願いを単純に考えていたことを反省した。
「一番大事なのは、他人の願いを踏んで、命をかけてまでその願いを叶える価値があるかどうかね」
弓実は淡々と語っているが、その最後の言葉に、拓人は自分の願いが馬鹿にされたように感じた。
「じゃあ弓実さんは何を願うんですか?」
「世界平和よ」
弓実は当然のように答えた。
「世界…平和…」
「ええ。これはこの奇跡を使ってでしか叶えられないことだわ」
弓実は自慢げに、誇らしげに、眼鏡を押し上げた。
「あなたもわかるでしょう?国がいくら兵器をなくそう、平和な世界を築きましょうって言っても、そんなこと不可能だと。多くの国は兵器を持っているし、内戦、紛争は無くならない。それなら私がこの願いという奇跡を生かして真の平和な世界を作るべきだと思うわ」
拓人はそれを聞いて素直に、弓実はすごい人だと思った。自分のためではなく、世界に命をかけている弓実が。
すると弓実は鞄から厚手のコートを取り出した。今は春だ。すでに寒さは遠のきつつある。コートはあまりにも季節違いな気がした。
「まさか…っ」
その言葉が発せられたのはモルテが焦ったように口を開いたのとほぼ同時だった。
「フィールド展開。能力付与、吹雪」
世界は色を変えた。
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