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2.生きるってこと(物理)
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「おはようございます」
タバリさんから部屋を貸してもらって、早一週間。
仕事は簡単なお使いがほとんど。
今日はマスターから変わった仕事を貰えるそうだ。
「おはようオトメ君。いきなりだが今日からオトメと名乗りなさい」
「は、はい?了解です(なんで)」
「片方を名乗った方が今後都合がいいだろう。それで……君を今日ギルド長室に呼び出したのは特別な任務を任せたいからだ」
「なんでしょう?」
タバリさんは、椅子から立ち、僕に細長い物を投げてわたした。
「うわっ……なんですか……ってこれ剣じゃないですか!」
「オトメ君にも身を守る技術を身につけてほしい。今日は街の外に行ってもらい、ゴブリンと少し大きなイノシシ(狂暴)を討伐してもらう」
「ええ!!僕にできますか?」
「んー?怖いのか?」
「怖いですよ!」
「もちろん同行者は付けない」
「なんで!」
「その剣だけでどうにかしてみせろ」
「(おいおいマジか……)」
「大丈夫だ。最悪死ななければいい。いや、死んでもいいが……っと今のは忘れてくれ」
「マスター……怖いですよ?」
ーーー初?戦闘ーーー
街「ミルザンド」を出て、平原「アッパーグラス」へ出た。時刻朝の7時。早い。
ミルザンドは誰が見ても大きな街だ。推定百万弱の人が暮らしているらしい。
中には大都市「マラサ」ともなると、三百万人ほどいるらしい。
「マジかー、まさか一週間目で戦闘に駆り出されるとは……」
『オトメキョウスケ』master
HP ゲージ 100%
CP ゲージ 100%
MP ゲージ 100%
・武器 アイアンブレード:タナカ製、細
・防具 ギルド制服
今まで生活してきた限りでは、リョウトさんや、その他の人達(アカネは除く)は、土地開拓、悪党成敗、ダンジョン攻略を行っているらしい。
「ってかなんだよダンジョンって……無視すればいいんじゃないのか?危険そうだし……土地開拓ならまだしも」
どうやら推測でも、この「メモリー」は、3割ほどしか開拓されていないと報告されている。その殆どは戦闘力不足によるもの……らしい。
なるほど、化物どもと戦うためにリョウトさんとかは、あんな装備をしているわけだ。
「おっと到着したな。アッパーグラスのゴブリンキャンプ。PE頼んだぞ」
「了解、スキャン開始」
『ゴブリンキャンプ』
・敵対ゴブリン 三体
・武装状態、アイアンブレード(耐久力低下)
・焚火
・林檎五個
ゴブリンキャンプは、旅の途中の好奇心旺盛なゴブリン達の物。
通常、ミルザンドより離れた所にコロニーを形成するが、こうして人目につく所まで出てくることがある。
そう、害獣駆除に近いってマスターが言ってた。追い払う程度でもいいと思うんだけどなぁ。
「相対レベルは同等。囲まれなければ討伐の確率は飛躍的に高まるでしょう」
「了解!!」
「ギャー」
「グギャ?ギギャー!」
楽しそうな会話を楽しんでいるゴブリン達に僕は震える足で突進していく。
「こっち向けや!」
僕は剣を抜き、キャンプど真ん中に静止した。アホである。
光る日光を反射して、美しい剣だ。
「ギィギャー!!」
ゴブリン達は驚きはしたが、すぐさま戦闘態勢を取り、剣を抜く。
ゴブリンにも幾つか種類がいるが、このゴブリンは小柄な方。
僕より少し身長が低い、赤く硬化した皮膚、器用そうな手。
気を抜けば、間違いなく殺されるだろう。
三体同時に、視界に情報が表示される。それぞれ、ゴブリンA、B、Cと表示された。
Aが初めに斬りつけてきたが、あっさり避ける。
「この感覚は、前にも……」
思いにふける前に、Aは更に切りかかる。
「危ね!」
それを前に出るように避け、ゴブリンAを斬りつけた。
「ギャー!」
同時に血が吹き出し、痛みにもがいている。
「うっ……気持ち悪……以外と刃通らないし」
「メンタルバランスに乱れが生じています。落ち着くまで距離をとってください」
僕は下がりつつ、Aのステータスを確認すると、HP、CPともに0%だった。
一撃だったようだ、奇跡だろう。
「ふぅふぅ……少し良くなったな」
体が強ばるような、興奮するような、冷たくなるような、不思議な感覚だ。
少し可哀想だとおもった。すると、血の付いた剣を振るのが怖くなった。
「安心してください。ゴブリン達は死亡すると、魂と肉体は分離され、転生します。私達の脅威排除と考えることを推奨」
「……わかった、ありがと」
そうだ、害虫駆除と一緒だ。人を襲ってからじゃ遅い話もある。虫を殺したことがないわけじゃないだろ。だったら大丈夫。
完全に納得したわけではないが、足の震えは止まった。
「残り、BとCか……うおぉぉ!」
ーーーーーー
……その後、無事討伐というか、殺害完了した。
「推奨行動、剥ぎ取り、ドロップ品の確認、及び状態異常回復」
剥ぎ取りは皮をはいだりするわけではなく、装備を回収した。
ドロップ品は「ゴブリンスラッシュ」、状態異常は「恐怖」これは時間経過と共に回復した。
「このゴブリンスラッシュってアイテムなの?」
説明します。スキルカードと呼ばれるアイテムです。使用すると、消滅、名前のスキルを取得することが可能です。また、作成が可能、この『メモリー』では、既存のものからそうでないものまで一万ものスキルが存在。推奨行動、ゴブリンスラッシュの使用」
なるほど、これは興奮するな!
早速使用方法を確認すると、どうやらPEに任せて大丈夫そうだ。
「ゴブリンスラッシュ、使用たのむ」
すると、体が光り始め、「スキル取得!」の表示が現れた。
僕は、ゴブリンの死体の後ろで、一人ガッツポーズをとっていた。
そのよくわからないカッコよさを覚え、いつの間にか、戦闘が楽しくなってきていた。ああ、以前の僕ではこうはいかなかっただろう。
タバリさんから部屋を貸してもらって、早一週間。
仕事は簡単なお使いがほとんど。
今日はマスターから変わった仕事を貰えるそうだ。
「おはようオトメ君。いきなりだが今日からオトメと名乗りなさい」
「は、はい?了解です(なんで)」
「片方を名乗った方が今後都合がいいだろう。それで……君を今日ギルド長室に呼び出したのは特別な任務を任せたいからだ」
「なんでしょう?」
タバリさんは、椅子から立ち、僕に細長い物を投げてわたした。
「うわっ……なんですか……ってこれ剣じゃないですか!」
「オトメ君にも身を守る技術を身につけてほしい。今日は街の外に行ってもらい、ゴブリンと少し大きなイノシシ(狂暴)を討伐してもらう」
「ええ!!僕にできますか?」
「んー?怖いのか?」
「怖いですよ!」
「もちろん同行者は付けない」
「なんで!」
「その剣だけでどうにかしてみせろ」
「(おいおいマジか……)」
「大丈夫だ。最悪死ななければいい。いや、死んでもいいが……っと今のは忘れてくれ」
「マスター……怖いですよ?」
ーーー初?戦闘ーーー
街「ミルザンド」を出て、平原「アッパーグラス」へ出た。時刻朝の7時。早い。
ミルザンドは誰が見ても大きな街だ。推定百万弱の人が暮らしているらしい。
中には大都市「マラサ」ともなると、三百万人ほどいるらしい。
「マジかー、まさか一週間目で戦闘に駆り出されるとは……」
『オトメキョウスケ』master
HP ゲージ 100%
CP ゲージ 100%
MP ゲージ 100%
・武器 アイアンブレード:タナカ製、細
・防具 ギルド制服
今まで生活してきた限りでは、リョウトさんや、その他の人達(アカネは除く)は、土地開拓、悪党成敗、ダンジョン攻略を行っているらしい。
「ってかなんだよダンジョンって……無視すればいいんじゃないのか?危険そうだし……土地開拓ならまだしも」
どうやら推測でも、この「メモリー」は、3割ほどしか開拓されていないと報告されている。その殆どは戦闘力不足によるもの……らしい。
なるほど、化物どもと戦うためにリョウトさんとかは、あんな装備をしているわけだ。
「おっと到着したな。アッパーグラスのゴブリンキャンプ。PE頼んだぞ」
「了解、スキャン開始」
『ゴブリンキャンプ』
・敵対ゴブリン 三体
・武装状態、アイアンブレード(耐久力低下)
・焚火
・林檎五個
ゴブリンキャンプは、旅の途中の好奇心旺盛なゴブリン達の物。
通常、ミルザンドより離れた所にコロニーを形成するが、こうして人目につく所まで出てくることがある。
そう、害獣駆除に近いってマスターが言ってた。追い払う程度でもいいと思うんだけどなぁ。
「相対レベルは同等。囲まれなければ討伐の確率は飛躍的に高まるでしょう」
「了解!!」
「ギャー」
「グギャ?ギギャー!」
楽しそうな会話を楽しんでいるゴブリン達に僕は震える足で突進していく。
「こっち向けや!」
僕は剣を抜き、キャンプど真ん中に静止した。アホである。
光る日光を反射して、美しい剣だ。
「ギィギャー!!」
ゴブリン達は驚きはしたが、すぐさま戦闘態勢を取り、剣を抜く。
ゴブリンにも幾つか種類がいるが、このゴブリンは小柄な方。
僕より少し身長が低い、赤く硬化した皮膚、器用そうな手。
気を抜けば、間違いなく殺されるだろう。
三体同時に、視界に情報が表示される。それぞれ、ゴブリンA、B、Cと表示された。
Aが初めに斬りつけてきたが、あっさり避ける。
「この感覚は、前にも……」
思いにふける前に、Aは更に切りかかる。
「危ね!」
それを前に出るように避け、ゴブリンAを斬りつけた。
「ギャー!」
同時に血が吹き出し、痛みにもがいている。
「うっ……気持ち悪……以外と刃通らないし」
「メンタルバランスに乱れが生じています。落ち着くまで距離をとってください」
僕は下がりつつ、Aのステータスを確認すると、HP、CPともに0%だった。
一撃だったようだ、奇跡だろう。
「ふぅふぅ……少し良くなったな」
体が強ばるような、興奮するような、冷たくなるような、不思議な感覚だ。
少し可哀想だとおもった。すると、血の付いた剣を振るのが怖くなった。
「安心してください。ゴブリン達は死亡すると、魂と肉体は分離され、転生します。私達の脅威排除と考えることを推奨」
「……わかった、ありがと」
そうだ、害虫駆除と一緒だ。人を襲ってからじゃ遅い話もある。虫を殺したことがないわけじゃないだろ。だったら大丈夫。
完全に納得したわけではないが、足の震えは止まった。
「残り、BとCか……うおぉぉ!」
ーーーーーー
……その後、無事討伐というか、殺害完了した。
「推奨行動、剥ぎ取り、ドロップ品の確認、及び状態異常回復」
剥ぎ取りは皮をはいだりするわけではなく、装備を回収した。
ドロップ品は「ゴブリンスラッシュ」、状態異常は「恐怖」これは時間経過と共に回復した。
「このゴブリンスラッシュってアイテムなの?」
説明します。スキルカードと呼ばれるアイテムです。使用すると、消滅、名前のスキルを取得することが可能です。また、作成が可能、この『メモリー』では、既存のものからそうでないものまで一万ものスキルが存在。推奨行動、ゴブリンスラッシュの使用」
なるほど、これは興奮するな!
早速使用方法を確認すると、どうやらPEに任せて大丈夫そうだ。
「ゴブリンスラッシュ、使用たのむ」
すると、体が光り始め、「スキル取得!」の表示が現れた。
僕は、ゴブリンの死体の後ろで、一人ガッツポーズをとっていた。
そのよくわからないカッコよさを覚え、いつの間にか、戦闘が楽しくなってきていた。ああ、以前の僕ではこうはいかなかっただろう。
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