21 / 230
王都
リフォーム
しおりを挟む
居るであろう酒場に向かうと、カウンターの端に呑んでくれてる女性が。
「石工のセリさんですか?」
「残念ながら、金なら無いよ。」
こちらを全く見ずに。
「いや、そうじゃなくて……ちょっと手直しをして欲しいんですけど。」
ようやくこちらをチラッと見て、品定めする様に見て。
「で、幾ら払えるの?」
「幾ら払えるって、現物も見ないで請けれるのか?」
「あんた、ランクは?」
「えっと……Gです。」
「G?ハッ、私も堕ちたのね、堕ちるところまで。」
笑ったかと思ったら、一気にグラスをあけ、グラスを投げつけた。
「手直しって、アンタみたいな青二才の住処なんて私の仕事じゃないの。しかも、Gランクの依頼とはね。」
「セリ……うちのツケもそろそろ少しは払ってくれよ。 ボウズの仕事、請けやれよ。」
「チッ、マスターの頼みなら仕方ない。後で行くから、場所は?」
場所は街の外れの屋敷だと言うと。
「えっ?街外れって黒い屋敷の事か? 」
セリは立ち上がり。
「えぇ、確か黒い屋敷だった気が……。」
「あそこをアンタが?」
「えぇ、お爺さんが貸してくれるって。」
「……改めて聞くわ。アンタ、幾ら払えるの?」
「えっと、幾らくらいかかるんですか?」
指を3本立てた。
「えっと……金貨三十枚?」
セリは首を横に振った。
「えっ、三百枚………。」
言葉を失った。それなりにはするだろうと思ってはいたが、金貨三百枚もするなんて。
リフォームに三千万もかかるとは。
「そんなにしないから。そもそも、あそこに手直しは必要ないわ。あるとしたら、外壁を洗うくらいで金貨三枚でいいわ。アンタも手伝ってもらうわよ。それでもかなり割安にしてるんだけど。でも、あの屋敷を近くで見れるなら、それで充分。でも、あるの?」
金貨三枚?Gランクとは、そんな貧困層なんだろう。
革袋から金貨三枚を取り出し、テーブルに置くと。
「明後日から作業するから。」
二日で人夫の手配をするらしい。
セリは金貨一枚をマスターに渡し。
「これ、ツケの足しにしといて。」
「まだ全然足りねぇけどな。」
マスターはそう言いながら、豪快に笑っていた。
酒場を後にして、しばらく歩いていると、誰かが付いてくる気配が。
ん?目の前にマップみたいなのが浮かび、青と赤の点が記されていた。
青は自分で赤は付いてくる人なんだろ。
赤点が点滅し始めた。
振り返り、剣に手をかけたが……それより早くその人物は地面に押し倒されていた。
しかも、首元に牙を立てられていた。
「や、やめてくれ……。」
虎丸はゆっくりと愉しむ様に牙を食い込ませていっていた。
「虎丸、離してやれ。」
虎丸は玩具を取り上げられたように寂しそうにこちらを見ながら、体を離した。
「で、何で襲ってきたんだ?」
声を震えさせながら、男は金が欲しかったんだって。
確かに酒場で金貨なんか出してたら、金持ってると思うよな。
その男を見逃してやる事にしたが、少し歩くと倒れてしまった。
〈……虎丸の牙はただの牙じゃないからな。それに忘れてるのかもしれないが、虎丸は黒きモンスターなんだぞ。〉
確かに黒いモンスターは危険だって、聞いたっけ?
あれ?じゃあ…デュポンの人たちは慣れてるのか?
〈虎丸は他のほとんどの人間には黒には見えてないから。茶色に見える様にフェイクがかかってるから。虎丸は上位モンスターだって言っただろ。〉
あっ、そう言えば……虎丸はフェンリルらしい。
哭犬とは格が違いすぎるらしい。
多分、バレると王都には入れないどころか、オレも捕まるだろうって。
だって、オレ……Gランクだもんな。
そういえば、さっきのマップみたいなのが新しいプレゼント?
〈違うよ。それは汎用スキルだから、多分……盗賊スキルじゃない。〉
…………プレゼントって、特別なスキルなん?
〈まぁ、その内教えてやるから。楽しみにしといて。〉
文字はまた反応してくれなくなった。
「石工のセリさんですか?」
「残念ながら、金なら無いよ。」
こちらを全く見ずに。
「いや、そうじゃなくて……ちょっと手直しをして欲しいんですけど。」
ようやくこちらをチラッと見て、品定めする様に見て。
「で、幾ら払えるの?」
「幾ら払えるって、現物も見ないで請けれるのか?」
「あんた、ランクは?」
「えっと……Gです。」
「G?ハッ、私も堕ちたのね、堕ちるところまで。」
笑ったかと思ったら、一気にグラスをあけ、グラスを投げつけた。
「手直しって、アンタみたいな青二才の住処なんて私の仕事じゃないの。しかも、Gランクの依頼とはね。」
「セリ……うちのツケもそろそろ少しは払ってくれよ。 ボウズの仕事、請けやれよ。」
「チッ、マスターの頼みなら仕方ない。後で行くから、場所は?」
場所は街の外れの屋敷だと言うと。
「えっ?街外れって黒い屋敷の事か? 」
セリは立ち上がり。
「えぇ、確か黒い屋敷だった気が……。」
「あそこをアンタが?」
「えぇ、お爺さんが貸してくれるって。」
「……改めて聞くわ。アンタ、幾ら払えるの?」
「えっと、幾らくらいかかるんですか?」
指を3本立てた。
「えっと……金貨三十枚?」
セリは首を横に振った。
「えっ、三百枚………。」
言葉を失った。それなりにはするだろうと思ってはいたが、金貨三百枚もするなんて。
リフォームに三千万もかかるとは。
「そんなにしないから。そもそも、あそこに手直しは必要ないわ。あるとしたら、外壁を洗うくらいで金貨三枚でいいわ。アンタも手伝ってもらうわよ。それでもかなり割安にしてるんだけど。でも、あの屋敷を近くで見れるなら、それで充分。でも、あるの?」
金貨三枚?Gランクとは、そんな貧困層なんだろう。
革袋から金貨三枚を取り出し、テーブルに置くと。
「明後日から作業するから。」
二日で人夫の手配をするらしい。
セリは金貨一枚をマスターに渡し。
「これ、ツケの足しにしといて。」
「まだ全然足りねぇけどな。」
マスターはそう言いながら、豪快に笑っていた。
酒場を後にして、しばらく歩いていると、誰かが付いてくる気配が。
ん?目の前にマップみたいなのが浮かび、青と赤の点が記されていた。
青は自分で赤は付いてくる人なんだろ。
赤点が点滅し始めた。
振り返り、剣に手をかけたが……それより早くその人物は地面に押し倒されていた。
しかも、首元に牙を立てられていた。
「や、やめてくれ……。」
虎丸はゆっくりと愉しむ様に牙を食い込ませていっていた。
「虎丸、離してやれ。」
虎丸は玩具を取り上げられたように寂しそうにこちらを見ながら、体を離した。
「で、何で襲ってきたんだ?」
声を震えさせながら、男は金が欲しかったんだって。
確かに酒場で金貨なんか出してたら、金持ってると思うよな。
その男を見逃してやる事にしたが、少し歩くと倒れてしまった。
〈……虎丸の牙はただの牙じゃないからな。それに忘れてるのかもしれないが、虎丸は黒きモンスターなんだぞ。〉
確かに黒いモンスターは危険だって、聞いたっけ?
あれ?じゃあ…デュポンの人たちは慣れてるのか?
〈虎丸は他のほとんどの人間には黒には見えてないから。茶色に見える様にフェイクがかかってるから。虎丸は上位モンスターだって言っただろ。〉
あっ、そう言えば……虎丸はフェンリルらしい。
哭犬とは格が違いすぎるらしい。
多分、バレると王都には入れないどころか、オレも捕まるだろうって。
だって、オレ……Gランクだもんな。
そういえば、さっきのマップみたいなのが新しいプレゼント?
〈違うよ。それは汎用スキルだから、多分……盗賊スキルじゃない。〉
…………プレゼントって、特別なスキルなん?
〈まぁ、その内教えてやるから。楽しみにしといて。〉
文字はまた反応してくれなくなった。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる