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鍛錬
困惑
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突然、行動を別にすると聞いて、騒がしくなった。
ダートは必死に止めようとしてくれたし、カルバは話を聞き、微妙な表情を浮かべながら、謝ってくれた。
誘拐事件の当事者として、無関係なのに申し訳ない気持ちなんだろう。
一番、騒ぎ出したのはルドラであった。
「オレらは付いていくぞ。別にコイツらのグランに入ったつもりもない。」
だが、そんなルドラを説き伏せて、ダート達と共にトラントヘ向かってくれる様に頼んだ。
ルドラ達にはトラントで合流する事を約束した。
テッドは近づいてきて。
「レーラがすまない。彼女はまだ少し引きずってるんだ。許してやってほしい。」
アタマを下げるテッドの隣を通り過ぎた。
そして、一通り別れを終えて、一団を離れようとした時、争う声が聞こえてきた。
その元へ向かうと、そこにはダートとアリスが言い争っていた。
「それ、本気で言ってるのか?」
今にも掴みかかりそうな勢いで話すダートにアリスは冷静な口調で。
「本気よ、冗談言ってる場合じゃないでしょう?彼女に耐えれると思うの?ギルド職員としての意見よ。」
ダートはその言葉に直ぐに言い返せなかった。
周りの人に聞いてみると、アリスが言うにはレーラはポレの街で待たせておくべき。彼女にこのまま、トラントヘ向かうのは無理だ。
本人の耳に入らないはずもない。
「えっ、なんで?私、大丈夫。頑張ってついて行くから。足手纏いにならないから。」
レーラはアリスからの突然の通告にショックを隠しきれなかった。
アリスも流石にその姿を見て、強く言えなかった。
男児は小声で。
「嫌われてるなら、言えるだろ?」
離れる前に嫌な役目をしていくか。
「足手纏いになるよ。」
一同は驚いて、こちらを見た。
「アンタは関係ないでしょう。」
レーラはこちらを睨みつけた。
「なら、仲間が目の前で殺されかけた時、冷静に逃げる選択肢を選べるか?きっと冷静に敵も状況も見れないよ。だって、内通者が自殺したのがショックで引きずってるんだもんな。まぁ、お嬢様には無理だよ。」
その言葉を発した瞬間、動く影を捉えた。
拳を振りかぶったテッドであったが、その拳が当たる事はなかった。
「一つ聞いてもいい?テッド、レーラだけでトラントヘ行けると思うのか?」
テッドは腕を掴まれたまま、視線を逸らした。
「主、言い過ぎだぞ。レーラも頑張ってるよ。」
虎丸は少し青い顔をしながらもレーラをフォローしようとしている。
「ここまで自分の身は自分で守れてきたよね?ねぇ、テッド?」
始めから無理な話だったんだよ、ほとんど敵と戦う様な依頼はしてないのに、政都を目指す長旅をするなんて。
「なぁ、虎丸……そんなに言うなら初日から進歩したか、確かめてみるか?イイよね、GM。」
ダートの方を見ると、目線を合わせようとしない。
代わりにテッドが。
「そんな事認める訳ないだろ。」
だが、レーラは。
「いいよ。でも、大怪我させちゃっても責任取らないけど。」
虎丸とレーラの手合わせは互角に近かった。
ダートは必死に止めようとしてくれたし、カルバは話を聞き、微妙な表情を浮かべながら、謝ってくれた。
誘拐事件の当事者として、無関係なのに申し訳ない気持ちなんだろう。
一番、騒ぎ出したのはルドラであった。
「オレらは付いていくぞ。別にコイツらのグランに入ったつもりもない。」
だが、そんなルドラを説き伏せて、ダート達と共にトラントヘ向かってくれる様に頼んだ。
ルドラ達にはトラントで合流する事を約束した。
テッドは近づいてきて。
「レーラがすまない。彼女はまだ少し引きずってるんだ。許してやってほしい。」
アタマを下げるテッドの隣を通り過ぎた。
そして、一通り別れを終えて、一団を離れようとした時、争う声が聞こえてきた。
その元へ向かうと、そこにはダートとアリスが言い争っていた。
「それ、本気で言ってるのか?」
今にも掴みかかりそうな勢いで話すダートにアリスは冷静な口調で。
「本気よ、冗談言ってる場合じゃないでしょう?彼女に耐えれると思うの?ギルド職員としての意見よ。」
ダートはその言葉に直ぐに言い返せなかった。
周りの人に聞いてみると、アリスが言うにはレーラはポレの街で待たせておくべき。彼女にこのまま、トラントヘ向かうのは無理だ。
本人の耳に入らないはずもない。
「えっ、なんで?私、大丈夫。頑張ってついて行くから。足手纏いにならないから。」
レーラはアリスからの突然の通告にショックを隠しきれなかった。
アリスも流石にその姿を見て、強く言えなかった。
男児は小声で。
「嫌われてるなら、言えるだろ?」
離れる前に嫌な役目をしていくか。
「足手纏いになるよ。」
一同は驚いて、こちらを見た。
「アンタは関係ないでしょう。」
レーラはこちらを睨みつけた。
「なら、仲間が目の前で殺されかけた時、冷静に逃げる選択肢を選べるか?きっと冷静に敵も状況も見れないよ。だって、内通者が自殺したのがショックで引きずってるんだもんな。まぁ、お嬢様には無理だよ。」
その言葉を発した瞬間、動く影を捉えた。
拳を振りかぶったテッドであったが、その拳が当たる事はなかった。
「一つ聞いてもいい?テッド、レーラだけでトラントヘ行けると思うのか?」
テッドは腕を掴まれたまま、視線を逸らした。
「主、言い過ぎだぞ。レーラも頑張ってるよ。」
虎丸は少し青い顔をしながらもレーラをフォローしようとしている。
「ここまで自分の身は自分で守れてきたよね?ねぇ、テッド?」
始めから無理な話だったんだよ、ほとんど敵と戦う様な依頼はしてないのに、政都を目指す長旅をするなんて。
「なぁ、虎丸……そんなに言うなら初日から進歩したか、確かめてみるか?イイよね、GM。」
ダートの方を見ると、目線を合わせようとしない。
代わりにテッドが。
「そんな事認める訳ないだろ。」
だが、レーラは。
「いいよ。でも、大怪我させちゃっても責任取らないけど。」
虎丸とレーラの手合わせは互角に近かった。
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