転生したら、HEROになれるはず

飛竜

目指すは飛竜

一瞬、身構えたが…声の主はかなり遠く、姿は全く見えなかった。
本能的には先を進むのは危険だと感じながら、引き返す勇気も出なかった。
あんだけ見栄を切って、怖くなって引き返してきました……って、言うのもな。
だが、悩んでる間も暑さで意識が朦朧としてきていた。
とりあえず、あの穴に戻る事にした。
ふらつく足取りながら、何とか戻って来れたが、持っていっていた残りの肉は異臭を漂わせていたので、捨てた。
空腹のまま、横になってると慌ただしい足音が近付いてきた。
何とか起き上がり、剣に手をかけると、入ってきたのはあのコボルト達だった。
明らかに慌てていた。
「良かった、ここに戻ってきてて。さぁ、帰るぞ。」
そう言うと、腕を掴み、グイグイと引っ張った。
状況が全く分からず、その腕を振りほどいた。
「何だよ、急に。」
「良いから、早く戻らないと。お前の使役獣……暴れてる。このままだと、討伐するしか方法が………。」
えっ？虎丸が暴れてるって？しかも、討伐するって……ちゃんと面倒見るって言ってたのに。
大慌てで山を下山し、公園まで戻ると、目の前に一団が待っていた。
その中で美味しそうに肉を頬ばってる虎丸がいた。
安心したせいか、その場に座り込んでしまった。
だが、次の瞬間、急に胸ぐらを掴まれ、右頬に凄い衝撃を感じ、地面を転がった。
立ち上がろうとしたが、足に力が入らなかった。
「坊主、言ったよな？勇敢と無謀は違うって。」
ダートはかなりご立腹の様だ。
言い返そうにもダートの一撃は想像以上に強かった。
それを察するかのようにテッドは近づいてきて。
「その辺で。自分でも気付かない程、体力を消耗してるみたいなんで。」
ダートは一発殴った事で少し落ち着いたのか、テッドの言葉を聞き。
「確かにそうだな。ちょっと休め。」
そこから記憶がしばらく無くなった。
目が覚めると、目の前には心配そうに覗き込んでる虎丸が見えた。