56 / 230
理由<ワケ>
立ち位置
しおりを挟む
引き受けた依頼をこなし、ギルドに報告し、宿を決め、夕食の為に街中をぶらついていた。
虎丸はいい匂いにフラフラしながら、前を歩いていた。
そして、虎丸の足が止まったのは………この前、レーラが連れて来てくれた店であった。
この前とは違い、店内はやけに混んでいた。
店の中は賑やかであったが、こちらに向けられる視線は何か異質なモノを感じた。
席に座ると、マスターは普段とは違い、小さな声で。
「レーラ、言ってなかったのか……。この店は夜になると、特定のグランの溜まり場になる。だから、あんま他の冒険者は近付かない方が良い。今日は早く帰りな。」
だが、マスターの気遣いも虚しく、明らかに飲み過ぎた男がリョーに近付いてきた。
「お前、誰だよ?よそ者のくせに、ここに来るなんて勇気があるな。」
リョーは作り笑顔でその場を乗り切ろうと頑張った。
「なんだ、何が可笑しいんだ?」
多分、円満にこの場を乗り切るとかは不可能なんだろうな。
「止めとけ。そんなのイジメて、情けなくないのか?」
リョーと大して歳も違わなさそうな少年が制した。
リョーは少しムッと来たが、この場を乗り切れるなら、我慢する事にした。
リョーは虎丸を連れて、店を後にした。
店の外にはぼんやり月を見上げてる少女がいた。
その表情は何か寂しげであった。
なんて声を掛けていいか、分からずに素通りしようとすると、視線は月に向けたまま。
「流石にウチと揉めるほど馬鹿じゃないんだね。」
その言葉を無視して立ち去ろうとしたが、虎丸はレーラの前で座り込んだ。
「なぁ、ご主人様……。余計な事に首突っ込もうよ。」
仕方なく、レーラの前に戻り、隣に座った。
「何、勝手に座ってんの?」
「何でこの街を離れないの?」
月を見ながら、聞いてみた。
「聞いたんなら、知ってるでしょう?うちのグランマスターが決めた事だから、仕方ないじゃない。」
本当に……何も知らないので聞いたので、何を言っていいか分からずに戸惑ってると、レーラは更に続けた。
レーラの話をまとめると、グランマスターがこの街の近隣以外に行く事を禁じているらしい。
理由はグランマスターが数年前に自分以外のパーティーを失った事が原因らしい。
その依頼自体も情報が少なく、下調べをしっかりしていくべきであったが、メンバーの一人が強行案を提案し、マスターも過信してたのか乗ってしまった。
それ以来、マスターはメンバーの依頼にまで口を出すようになったらしい。
虎丸はいい匂いにフラフラしながら、前を歩いていた。
そして、虎丸の足が止まったのは………この前、レーラが連れて来てくれた店であった。
この前とは違い、店内はやけに混んでいた。
店の中は賑やかであったが、こちらに向けられる視線は何か異質なモノを感じた。
席に座ると、マスターは普段とは違い、小さな声で。
「レーラ、言ってなかったのか……。この店は夜になると、特定のグランの溜まり場になる。だから、あんま他の冒険者は近付かない方が良い。今日は早く帰りな。」
だが、マスターの気遣いも虚しく、明らかに飲み過ぎた男がリョーに近付いてきた。
「お前、誰だよ?よそ者のくせに、ここに来るなんて勇気があるな。」
リョーは作り笑顔でその場を乗り切ろうと頑張った。
「なんだ、何が可笑しいんだ?」
多分、円満にこの場を乗り切るとかは不可能なんだろうな。
「止めとけ。そんなのイジメて、情けなくないのか?」
リョーと大して歳も違わなさそうな少年が制した。
リョーは少しムッと来たが、この場を乗り切れるなら、我慢する事にした。
リョーは虎丸を連れて、店を後にした。
店の外にはぼんやり月を見上げてる少女がいた。
その表情は何か寂しげであった。
なんて声を掛けていいか、分からずに素通りしようとすると、視線は月に向けたまま。
「流石にウチと揉めるほど馬鹿じゃないんだね。」
その言葉を無視して立ち去ろうとしたが、虎丸はレーラの前で座り込んだ。
「なぁ、ご主人様……。余計な事に首突っ込もうよ。」
仕方なく、レーラの前に戻り、隣に座った。
「何、勝手に座ってんの?」
「何でこの街を離れないの?」
月を見ながら、聞いてみた。
「聞いたんなら、知ってるでしょう?うちのグランマスターが決めた事だから、仕方ないじゃない。」
本当に……何も知らないので聞いたので、何を言っていいか分からずに戸惑ってると、レーラは更に続けた。
レーラの話をまとめると、グランマスターがこの街の近隣以外に行く事を禁じているらしい。
理由はグランマスターが数年前に自分以外のパーティーを失った事が原因らしい。
その依頼自体も情報が少なく、下調べをしっかりしていくべきであったが、メンバーの一人が強行案を提案し、マスターも過信してたのか乗ってしまった。
それ以来、マスターはメンバーの依頼にまで口を出すようになったらしい。
0
お気に入りに追加
58
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる