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育成
いざこざ
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そんなやり取りをしてると、ギルドからある一団が出てきた。
「揉め事?」
一団を率いてる声の主である胸元がざっくり開いたドレス姿の女性には見覚えがあった。
「いぇ、何もないです。」
クルルは立ち上がり、否定したが。
主はこちらに気付くと、何とも言えない笑みを浮かべていた。
「久しぶりね。あぁ、そう言えば元々は貴方のグランに居たんだっけ。」
リョーの方へとゆっくりと近付いてきた。
「結局は愛想つかされて、出ていかれちゃいましたけどね。」
リョーの前で立ち止まり、リョーの表情を見ながら。
「それは本心?貴方って、平然と嘘つくからな…以前は騙されちゃったからな。」
「どうなんでしょうね。特に用がないなら、これで。」
立ち去ろうとするリョーの前にグランメンバーが立ち塞がり。
「うちの姉御が話されてるだろ。」
「噂は聞いてるよ。あの募集にうちのグランが応募してあげてもいいよ。こちらの希望を聞いてくれるなら。」
リョーは笑顔で。
「それはないな。用はそれだけなら、どいてくれる?」
その言葉にリョーの前に立ち塞がってた連中は腰の得物に手をかけていた。
「笑顔のうちに消えてくれないかな?」
リョーは笑顔でそう告げた。
顔は確かに笑顔であったが、何とも言えない凄みがあった。
その凄みに一人が得物を抜いてしまった。
得物を抜くと、猪突猛進でリョーに突っ込んできた。
その得物は軽くリョーの頬を掠めた。
薄らと鮮血が滲み出てる頬を拭い。
「リン殿、これは……ウチへの敵対の意志表示でいいのかな?」
リンは一瞬、言葉に詰まったが…。
「…えっ、えぇ…そう取ってもらっても、こちらは全然構わない。」
リョーはため息をつきながら。
「話はそれだけなら、通してもらおうか。」
虎丸とリョーの戦いを見たモノはここには居なかった。
すんなりとリョーを通す素振りはなかった。
「こんな街中で物騒だな。何が原因か知らないが、金にもならない事は止めとけ。」
その声の主にも見覚えがあった。
リンはその主を見て、表情を少し変えてみせたが。
「貴方には関係ない。」
シュラは予想外の返答に苦笑いを浮かべながら。
「確かに関係はないけど、何の得にもならないだろ。」
「あぁ~、何かシラケた。帰るよ。」
リンのその一言でリョーの前を塞いでた連中も得物から手を離した。
だが、その瞬間……辺り一面に鮮血が散った。
顔色を変えずに武器を抜いたルドラが居た。
「うちのボスに敵意を向けたのなら、それ相応の覚悟があったのだろう。」
リョーはリンを見て。
「今後、ウチがオタクのメンバーを見た時は遠慮なくさせてもらうよ。一旦、治してやれ。」
そう言うと、ルドラは地面で痛がってる男に何かを唱えた。
一瞬、ルドラの手が光り、痛がっていた男の傷が消えた。
「傷付けては回復させて、傷付ける……魔力の鍛錬も兼ねて、実戦が行えるとはな……。」
そう発言するリョーの表情は冗談を言ってるようには思えなかった。
ルドラは血を拭いながら。
「クルル、ボスの優しさを勘違いするな。もうお前は自ら袂を分けたんだ。………聞いてやるよ、アイツらは強くなったのか?口だけで自分と向き合おうとしなかったヤツらが。」
クルルは地面を見つめていた。
少なくともここにあの連中は居なかった。
「揉め事?」
一団を率いてる声の主である胸元がざっくり開いたドレス姿の女性には見覚えがあった。
「いぇ、何もないです。」
クルルは立ち上がり、否定したが。
主はこちらに気付くと、何とも言えない笑みを浮かべていた。
「久しぶりね。あぁ、そう言えば元々は貴方のグランに居たんだっけ。」
リョーの方へとゆっくりと近付いてきた。
「結局は愛想つかされて、出ていかれちゃいましたけどね。」
リョーの前で立ち止まり、リョーの表情を見ながら。
「それは本心?貴方って、平然と嘘つくからな…以前は騙されちゃったからな。」
「どうなんでしょうね。特に用がないなら、これで。」
立ち去ろうとするリョーの前にグランメンバーが立ち塞がり。
「うちの姉御が話されてるだろ。」
「噂は聞いてるよ。あの募集にうちのグランが応募してあげてもいいよ。こちらの希望を聞いてくれるなら。」
リョーは笑顔で。
「それはないな。用はそれだけなら、どいてくれる?」
その言葉にリョーの前に立ち塞がってた連中は腰の得物に手をかけていた。
「笑顔のうちに消えてくれないかな?」
リョーは笑顔でそう告げた。
顔は確かに笑顔であったが、何とも言えない凄みがあった。
その凄みに一人が得物を抜いてしまった。
得物を抜くと、猪突猛進でリョーに突っ込んできた。
その得物は軽くリョーの頬を掠めた。
薄らと鮮血が滲み出てる頬を拭い。
「リン殿、これは……ウチへの敵対の意志表示でいいのかな?」
リンは一瞬、言葉に詰まったが…。
「…えっ、えぇ…そう取ってもらっても、こちらは全然構わない。」
リョーはため息をつきながら。
「話はそれだけなら、通してもらおうか。」
虎丸とリョーの戦いを見たモノはここには居なかった。
すんなりとリョーを通す素振りはなかった。
「こんな街中で物騒だな。何が原因か知らないが、金にもならない事は止めとけ。」
その声の主にも見覚えがあった。
リンはその主を見て、表情を少し変えてみせたが。
「貴方には関係ない。」
シュラは予想外の返答に苦笑いを浮かべながら。
「確かに関係はないけど、何の得にもならないだろ。」
「あぁ~、何かシラケた。帰るよ。」
リンのその一言でリョーの前を塞いでた連中も得物から手を離した。
だが、その瞬間……辺り一面に鮮血が散った。
顔色を変えずに武器を抜いたルドラが居た。
「うちのボスに敵意を向けたのなら、それ相応の覚悟があったのだろう。」
リョーはリンを見て。
「今後、ウチがオタクのメンバーを見た時は遠慮なくさせてもらうよ。一旦、治してやれ。」
そう言うと、ルドラは地面で痛がってる男に何かを唱えた。
一瞬、ルドラの手が光り、痛がっていた男の傷が消えた。
「傷付けては回復させて、傷付ける……魔力の鍛錬も兼ねて、実戦が行えるとはな……。」
そう発言するリョーの表情は冗談を言ってるようには思えなかった。
ルドラは血を拭いながら。
「クルル、ボスの優しさを勘違いするな。もうお前は自ら袂を分けたんだ。………聞いてやるよ、アイツらは強くなったのか?口だけで自分と向き合おうとしなかったヤツらが。」
クルルは地面を見つめていた。
少なくともここにあの連中は居なかった。
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