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もうどうしたらいいか分からない俺

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「もしもし?」

「亮!ちょっ、お願い助けて!」

「えっ? どうした? 酔って財布無くしたのか?」

「違うっ・・・俺、泰昌と・・・」

「ん? 酔って泰昌に何かしたのか? 泰昌大丈夫か?」

「俺、泰昌と・・・寝た」

「え? 家に泊まったって?」

「違う・・・その・・・実はあの後、俺と泰昌が付き合う事になってその・・・泰昌の部屋で・・・裸になってその・・・」

「・・・マジ?」

「マジ」

「え? ちょっと待て、順番に整理させてくれ。
え? 昨日俺と別れた後、付き合った?」

「うん・・・泰昌が、今恋人居ないから軽い気持ちで付き合ってみようって。
合わなければ友達に戻れば良いって」

「・・・続けて?」

「そしてそのまま泰昌の家に行って、シャワー浴びて、そのままベッドに・・・」

「蓮、まさかとは思うけれど・・・泰昌に襲われてないよな?」

「それは違う! 酔ってたけど、でも逃げるタイミングはあったし・・・」

「・・・え? 酔っていたから、夢とかじゃないよな?」

「今朝目が覚めた時、隣に裸で寝ている泰昌と、俺の体内に動かぬ証拠が・・・」

「ストップ分かった言うな。聞いた俺が悪い。
というか、蓮今どこにいる?」

「今は家に帰って部屋にいる。
今日の朝泰昌の家で起きて、慌てて服を来て部屋を飛び出してきた。
部屋を出る時、ちょうど泰昌も起きて来たけれど、何故か元気よく「お邪魔しましたぁあ!」って言って飛び出した。
亮、どうしよう? 俺どうしたらいい?」

「どうするって・・・蓮は泰昌と付き合う気あるのか?」

「あー・・・うん、まだよく分からないけれど別れようとは思っていない・・・というか付き合った実感もあんまりだけれど・・・」

「俺は今、あらゆる感情を捨てて聞く。
蓮、昨日泰昌に抱かれてどうだったんだ? 念願のアルファに抱かれたって事だろ?」

「それは・・・」

「それは?」

「凄く・・・幸せだった・・・」

「・・・」

「もちろん想像以上にめちゃくちゃ気持ち良かった。ヤバすぎた」

「・・・」

「えーっと・・・俺って高校の頃、運命だと思ったアルファにフラれてるだろ?
別に引きずっていたつもりじゃないけれど、やっぱりどこか・・・恋愛から逃げるようになっていた気がする。
でも昨日泰昌と・・・こんな軽い感じで付き合うのもどうなのかって思ったけれど・・・体は正直でした・・・。
でも体だけじゃなくて・・・全然嫌な気分じゃなくて・・・もうちょっと泰昌と付き合ってみたいとは思う・・・」

「朝逃げるように帰っても?」

「だってそれは恥ずかしいから!!!
俺昨日・・・すぐに意識飛んじゃって・・・よく分からないけれど、絶対泰昌満足してないって・・・。
泰昌軽い感じで付き合おうって言ってたし、これ・・・付き合う相手としてさっそくフラれるのでは?」

「そういう事か。
お前も分かっているとは思うけれど、俺達の知っている泰昌は・・・良い奴で・・・泰昌って、何考えてるんだろう?
今回の事、どう思っているんだろうな?」

「ですよね!亮って正直に言ってくれるよな!!!」

「まあまずは落ち着いてから、改めて連絡入れてみれば? 泰昌からの連絡は?」

「無い・・・俺・・・どうしたら良いんだ!?」

「うーん。蓮が付き合いたいと思ってるなら大丈夫な気がするけれど」

「あぁ・・・ちょっとまた頭痛くなってきた・・・もう一回寝て考える」

「そうだな」

「うん。おやすみ」

「・・・」


蓮からの電話の内容に、まだ思考が追いつかない。
確かに・・・蓮に泰昌を紹介したのは俺だけれど、こんなに年数が経ってから2人が付き合うとは。
付き合う…のか? 泰昌・・・本当に蓮が好きなのか?

俺が携帯の画面を見つめながら考えていると、何かが通じたのか、泰昌からの着信が入った。

「・・・はい」

「亮? いきなりごめんな。今、電話大丈夫か?」

「大丈夫。ちょうど先ほどまで、蓮と話してたところ」

「・・・蓮、何か言ってた?」

「昨日俺と別れてから、今朝慌てて泰昌の部屋を飛び出した一連の流れを話してくれた。
ちなみに今は二日酔いなのか、この後部屋で寝るって言ってた」

「そっか・・・無事に帰れたんだな」

「泰昌・・・蓮が好きなのか?」

「・・・好きだけれど?」

「いつから?」

「そうだな・・・社会人になって少ししてからかな?
 社会人になっても、俺に関わってくる人って学生時代と雰囲気とかタイプとか変わらないなと思っていたんだ。
けれど、蓮は他のみんなと違うと気付いて・・・それから意識し始めたな」

「結構前からだったんだな。全く気が付かなかった」

「うん。必死に隠してた。
蓮って何だかんだ言って、モテるだろ?
でも本人は高校の時の失恋を引きずっているのか、恋愛に拒否反応があるようになってたし。少しでも自分に好意を寄せる相手からは逃げるようになっていたしな。
俺が少しでも好意を見せたら、全力で俺から逃げると思ったんだ」

「なるほど・・・じゃあ今回の事は、軽い気持ちで蓮を誘った訳じゃ無いんだな」

「俺が蓮に、合わなかったら友達に戻ろうって言った事かな?
俺と蓮がこのまま友達に戻れるとは思えないよな。元々戻るつもりも無かったし。そう言ったのは、少しでも蓮の恋愛に対する警戒を解きたかったんだ」

「・・・どうして昨日だったんだ?蓮が酔っていたから?」

「ん? 亮が付き合ったからだよ?
蓮は俺も付き合っていると思っていたし、3人の中で自分だけが独りだと思ったら、流石に何か行動を始めるかと思って。
だから少し恋愛に前向きになったタイミングで、他の人と出会う前に捕まえたかったんだ」

「え? タイミングは俺待ちだったのか?」

「うん。付き合ったら絶対俺たちに報告してくれって、ずっと言ってただろ?」

「そう言えばここ最近よく言ってたな・・・お待たせしました?」

「うん。待ってた」

「・・・付き合い長いけれど、泰昌がそんな風に自分の気持ちを言うの、初めて聞いたかもな」

「人って変わるな」

「そう言う事なのかな? でもまあ、蓮の事真剣に想っているみたいで安心した。
蓮から話を聞いて、相手が泰昌だとしても・・・色々と心配した」

「悪い」

「あ、あと蓮がめちゃくちゃパニクってたけれど?」

「あー本当はもうちょっと上手くやるつもりだったんだけれど・・・。
ちょっと蓮に嫌われたかもって怖くなって、亮に電話した」

「怖くなって電話・・・泰昌がね・・・。
俺、2人の相談所かな? アドバイスするなら、もうお互い直接話した方が早い」

「そっか、分かった。
蓮今寝てるって言っていたから・・・少し後で電話してみるよ。
亮・・・その、今も・・・今までも、ありがとう」

「どういたしまして」

そこで電話が切れた。
泰昌のお礼の言い方が少し気になったが、よほど蓮との事が心配だったのだろう。

2人から話を聞いて、何とかなりそうだと安心した。

電話が終わったのに気付いてか、隣の部屋から声が聞こえてきた。

「亮~? 電話終わったか? 早く戻ってこいよ」

「あぁ・・・今行く」

俺は携帯の画面を切り、呼ばれた部屋へと戻って行った。
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