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しおりを挟む憤りながら闊歩する王子はあり得ないことを企てて愛人ポリアーナを呼びつけた。相変わらずポヤポヤした彼女は水菓子を食べて「あらぁ殿下」と呑気に歓迎する。
「どうなさいましたのぉ?今は政務のお手伝いなのでは」
「そんな事はどうでもいい!俺は決めたぞ、お前を孕ませることにした!今すぐにだ!」
「はぁ?はらませるとはいったい」
彼女は言葉の意味がわからず惚けていた、同衾もどきは今まで散々してきたが最後まで行為をしたことがない。そんな彼女の意思など関係ないとばかりに、王子はポリアーナの唇を奪う。
それから裾をたくし上げて厭らしく下腹部を撫でまわした。
「ああん、いきなり激しいわぁ。どうして……」
「俺は作法を嫌と言うほど学んだ、メイドや娼婦を何度も抱いたのだ、失敗などするものか」
「ええ?」
それを聞いた彼女は少しばかり躊躇する、他の女を抱いたと言われたのだから無理もない。身を捩り逃げようとするも彼はそれを許さない。
「殿下ぁ、私は少し怖いですぅ。その……痛いのでしょう?」
彼女は目をウルウルとさせて何とか行為を避けようとした、だが滾ってしまった王子は止められない。益々と激しく彼女の唇を奪い胸の飾りを弄り出した。
「あぁ……殿下」
「ベンラントと呼ぶが良い、愛しいポリー。俺の子を身籠らせてやる」
***
それからというもの、避妊もせずに毎日昼となく夜となく性行為を繰り返すうちに、とうとうポリアーナは見事に子をなした。それは挙式予定の2週間前のことだった。
「なんですって!?いまなんと言ったのベンラント!私の聞き間違いよね?そうなのよね!」
王妃はブルブルと震えて蒼くなったり赤くなったり顔色が忙しい。
「俺の子を授かりました、相手はポリーです。今は大切な時期なので人知れず匿っております」
高揚した彼は『これで引けなくなった』と薄ら笑いをした、既成事実を作ってしまえば良いと浅はかにも考えたのだ。
孫の誕生を喜んでくれると思ってニヤける王子は「こんな喜ばしいことはないでしょう」と有頂天だ。
「……ゆ、……しません」
「え、なんて?母上、それより早速と父上にも報告をせねば」
「許しませんよ!絶対にです!愚かなことをしましたねベンラント!」
「うえええ!?母上、どうしてですか」
てっきり喜んでくれるものと思っていたベンラントは恐れ慄く、これで正妃としてポリアーナを迎えられると信じて疑わなかった彼は一気に顔色を悪くする。
この事実を漏らすまいと王妃は緘口令を敷き、ベンラントの身柄を拘束した。
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