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仲間

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久しぶりの安寧な夜、夕食がやけに美味しく感じた。
「キノコリゾット美味しかったよ、デザートはなに?」
「梨のコンポートとミルクアイスでございます」

執事が手際よく皿を交換した、目の前に出されたデザートがキラキラと誘う。
ほどよく冷えたコンポートがシャリシャリ美味しい。
ミルクアイスと良く合う。


「それで名前は決まったのかい?」
ボクはスプーンを離すことなく問いかけた、執事とメイドが目配せした。


「……申し訳ありません、決められませんでした」
3人が腰を折って詫びを入れる、ボクはブフッと咽てしまった。

メイドが慌てて水を差し出した。
「えーと……候補の名が気に入らなかった?」
ションボリしたボクに彼らは大慌ててで弁解した。

「違うのです、我らは坊ちゃんに従う存在、それ故に選べないのでございます」
ふむ、なるほど。

「ボクが付けて構わないのかな?取り消しは聞かないよ?」
その言葉に当然です、と皆は承諾する。


イメージと呼びやすさで決めるか、でも絶対に後悔しないよう良い名を与えよう。
昨夜作ったリストに目を通す。

「……マホガニー、執事の名はマホガニーだ」
「はい!我が名マホガニー、有難く頂戴いたします」

「鶯の瞳の子はラミン、左の若苗の瞳の子はエリマとする」
「はい、ラミンの名。大事にします」「私はエリマありがとうございます」

漸く決まった名づけにボクはほっとした。
全員樹木の名前だけど、あっていると思う。

ほんの僅かだがメイド達の顔が和らいだ。
笑顔らしいものは見たことがないので楽しみだな。

***

名が決まったところで本題だ。
「今朝も言った通り、意思疎通ができるようにしたかった、今後の憂いに立ち向かう仲間が欲しいんだ。」
ラミンが首を傾げ問う。
「憂いとはなんでしょうか?昨夜の賊と関係ありますか?」

ラミンは好奇心旺盛のようだ。
「うん、そうだよ。取り逃がした男がいただろう?あいつが何か企んでいる」
今度エリマが質問する。
「主は大事おっしゃいました、ひょっとして国家レベルの規模になるのですか?」

エリマは頭の回転が早いのだろうか。
「いまの時点では確定じゃない、ただ隣国の豪商で魔法道具を巧みに使う相手だ、油断できないね。クズを利用してボクに接触してきた、つまりドリアード族になんらかの関心があるんだろう」


隣国の情報が必須になった。早急に動いてみよう。
いまの所は国内でキナ臭い噂は立っていない、だがいまの王侯貴族は総じて腑抜けだと聞く。
平和ボケしているこの国カリュアスでは何もかも後手になるだろう。

「そうそう、オモテナシの方はどうしてる?」
尋ねるボクに、マホガニーが楽しそうに笑い報告する。



「……なるほど、一度面会するか。王室に殴り込みもしなきゃならないからね」
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