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飾りの王
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彼等の企みを知った私は学園を休学する決意をしました。
だって態々付き合いう義理もないでしょう、成績のほうは大丈夫ですもの。
成績日数は特に縛りはなく、あくまで試験の結果がすべて。皆勤しようが成績が悪ければ卒業できません。
私は水かけ事件のその日、父の執務室へ顔をだしました。
「お父様、卒業まで半年になりました。卒業試験まで休学してよろしいですか?」
「うむ?別にかまわんが、学生最後の思い出は作りは良いのか?」
「ええ、友人とならいつでも会えます。それより王子の素行が問題ですの。浮気したあげく私を冤罪をかける計画を立てています」
私はこれまでの経緯と証拠を纏めた書類、映像記録を父に差し出します。
書面を読み進める父の顔は怒りでどんどん赤く染まっていきました。
「……なんと、婚約者のいる男爵令嬢と恋仲だと!?冤罪の計画もそうだが、格下の分際でナディアに暴言を吐くなど!」
激高して震える父はまるでオーガのようです。幻覚で角が見えます。
翌日には祖父と共に登城して王家へ乗り込みました、祖父は王従弟で政を支える宰相です。50代後半には見えない胆力の持ち主で仕事の魔王と恐れられる存在です。
不出来な第三王子を押し付けた王は縮こまって項垂れたそうです。
破棄を迫る公爵家に対し「そこをなんとか」と粘ったので、公爵家は独立すると宣言されたとか。
そればかりは勘弁して欲しいと王は泣きつき、王子の有責で破棄を認めたそうです。
元から宰相派が9割の派閥でしたから、筆頭貴族の我が家と共に臣下らに反旗を翻されたら王家は消滅する運命です。
ちなみに1割は王家と腰巾着の下位貴族ばかり、ヒーナ嬢の家も含んでいます。
現王はフレッドそっくりのバカで、彼以外は全員王女だった為なんとか王に治まっただけのお飾りです。
愚王より宰相に付くのはさもありなん。
「それで申し訳ないのだがナディア、バカ王子を泳がせることになった」
「……わかりましたわ、その代わり無実を証明するためにお願いがございます」
父はふたつ返事で了承してくださいました。
それからの私は祖父の下で雑事を手伝うことにしました。学園に不在という証人を王城で作るためです。
社会勉強にもなりますから、一挙両得です。
私が姿を消した事を知って王子達はどうするかしら、罪を捏造すると言ってたから不在だろうと関係なく動くかも。
でも残念、あなた方の行動は常に監視されているわ。
仕事に慣れた頃、学園の友人マリーとメリアをお茶に誘いました。
「ひさしぶねナディア!」「もう、あなたったら突然休学するから吃驚したわ!」
3人抱き合ってニッコリ微笑み合いました。嬉しくてテンションがあがります。
「ごめんなさい二人とも、事情があって」
「ふーん、バカ二人のこと?」
マリーが鋭く突っ込んできました、バレバレです。
「ふだんから酷いものねー、ナディがいなくなって益々ベッタリよ。ヒーナは自分が婚約者だと法螺吹いてるわ腹立たしい!」メリアが渋い顔で言います。
以前から人目も憚らず行動していた二人です、今更増長してもという感想ですね。
「でもなんか変なのよね、バカ王子」
「変?」
「なんというかヒーナに対して他所余所しいというか」
「まぁ、あんなに溺愛してたのに」
「所詮遊びだったのじゃない?領地なし男爵令嬢なんて身分が低すぎるもの」
友人たちの言葉を疑うわけではないけど、実際目にしていないからなんとも判断しがたいわ。
これ以上は浅慮な行動を曝け出さないでいただきたいわ。
だって態々付き合いう義理もないでしょう、成績のほうは大丈夫ですもの。
成績日数は特に縛りはなく、あくまで試験の結果がすべて。皆勤しようが成績が悪ければ卒業できません。
私は水かけ事件のその日、父の執務室へ顔をだしました。
「お父様、卒業まで半年になりました。卒業試験まで休学してよろしいですか?」
「うむ?別にかまわんが、学生最後の思い出は作りは良いのか?」
「ええ、友人とならいつでも会えます。それより王子の素行が問題ですの。浮気したあげく私を冤罪をかける計画を立てています」
私はこれまでの経緯と証拠を纏めた書類、映像記録を父に差し出します。
書面を読み進める父の顔は怒りでどんどん赤く染まっていきました。
「……なんと、婚約者のいる男爵令嬢と恋仲だと!?冤罪の計画もそうだが、格下の分際でナディアに暴言を吐くなど!」
激高して震える父はまるでオーガのようです。幻覚で角が見えます。
翌日には祖父と共に登城して王家へ乗り込みました、祖父は王従弟で政を支える宰相です。50代後半には見えない胆力の持ち主で仕事の魔王と恐れられる存在です。
不出来な第三王子を押し付けた王は縮こまって項垂れたそうです。
破棄を迫る公爵家に対し「そこをなんとか」と粘ったので、公爵家は独立すると宣言されたとか。
そればかりは勘弁して欲しいと王は泣きつき、王子の有責で破棄を認めたそうです。
元から宰相派が9割の派閥でしたから、筆頭貴族の我が家と共に臣下らに反旗を翻されたら王家は消滅する運命です。
ちなみに1割は王家と腰巾着の下位貴族ばかり、ヒーナ嬢の家も含んでいます。
現王はフレッドそっくりのバカで、彼以外は全員王女だった為なんとか王に治まっただけのお飾りです。
愚王より宰相に付くのはさもありなん。
「それで申し訳ないのだがナディア、バカ王子を泳がせることになった」
「……わかりましたわ、その代わり無実を証明するためにお願いがございます」
父はふたつ返事で了承してくださいました。
それからの私は祖父の下で雑事を手伝うことにしました。学園に不在という証人を王城で作るためです。
社会勉強にもなりますから、一挙両得です。
私が姿を消した事を知って王子達はどうするかしら、罪を捏造すると言ってたから不在だろうと関係なく動くかも。
でも残念、あなた方の行動は常に監視されているわ。
仕事に慣れた頃、学園の友人マリーとメリアをお茶に誘いました。
「ひさしぶねナディア!」「もう、あなたったら突然休学するから吃驚したわ!」
3人抱き合ってニッコリ微笑み合いました。嬉しくてテンションがあがります。
「ごめんなさい二人とも、事情があって」
「ふーん、バカ二人のこと?」
マリーが鋭く突っ込んできました、バレバレです。
「ふだんから酷いものねー、ナディがいなくなって益々ベッタリよ。ヒーナは自分が婚約者だと法螺吹いてるわ腹立たしい!」メリアが渋い顔で言います。
以前から人目も憚らず行動していた二人です、今更増長してもという感想ですね。
「でもなんか変なのよね、バカ王子」
「変?」
「なんというかヒーナに対して他所余所しいというか」
「まぁ、あんなに溺愛してたのに」
「所詮遊びだったのじゃない?領地なし男爵令嬢なんて身分が低すぎるもの」
友人たちの言葉を疑うわけではないけど、実際目にしていないからなんとも判断しがたいわ。
これ以上は浅慮な行動を曝け出さないでいただきたいわ。
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