4 / 49
喋れや!
しおりを挟む
極寒茶会から10日、漸く話し合いの場が設けられました。
公爵邸の応接室は無駄に広く豪華、相手を委縮させる意味でなら効果覿面だと言えるわ。
だけど負けません!
絶対に婚約破棄をしますからね!
侯爵家は父、兄、私が並び。
公爵家はアイスブラド当主デンゼル様、元凶のロードリック様。
あら?義母のバネッサ様はいないようです。
「破棄したいというのは本心なのかな?アイリス嬢」
デンゼル様の穏やかな声が私に問います、とても優しい面差しはロードリック様に似てません。
そして良い声!
「はい、私はロードリック様には相応しくないと自負しました。嫌悪の目でいつも見られておりますの、どんな鈍い方でも一瞬で理解するほどに冷酷無慈悲な対応でした。」
デンゼル様は少し思案してから続ける。
「それは嫌われる君に落ち度があるという自覚があるのかな?それなら改善しようという意思は持つべきじゃないかな」
このオッサン食えない!わたしが全面的に悪いって方に向ける気ね!?
おのれぇさすが公爵家当主タヌキおやじ!
「デンゼル様、意思表示もされない方を相手にどう改善点を見出せば良いのでしょうか?先日の茶会に限らず数年前から私は一言も声をかけれておりません。それにロードリック様はいつも無表情です」
この私の訴えにデンゼル様は瞠目されました。
「ほ、ほんとなのか!?数年間一言も?」
「はい、名すら呼ばれておりませんわ。微笑みさえ一度も見てません。木彫りの人形のほうが表情があるくらいですわ」
嫌われても構わない覚悟のある私は、ここぞとばかりに苦言を呈します。
無くすものがないですもの、捨て身で行きます。
「どんなお声だったかすら忘れてしまいましたわ……」
私は捨てられた子犬のように震えて俯きます、父と兄は黙って空気です。
おいこら!卑怯者!加勢してよ!
「そ、そんなバカな……ロードリック!お前いったいどういうつもりで婚約者を蔑ろにしていた?」
デンゼル様はさすがに声を荒げます、さぁさぁロードリック様はどうでますか?
「……………………」眉間に手をやり悩むロードリック。
「…………」フルフルと首を振るロードリック。
「……」肩を竦めるロードリック。
喋れや!!!
なんだよそのジェスチャー!
私達は何を見せられたの?パントマイムか!
「ロードリック、いくらなんでも態度が酷いぞ?言葉を出さねばなにも伝わらんぞ」
「そうですぞ、ロードリック様。娘のことをどう思っているのですか?」
「険悪のまま破棄で良いのかい?禍根を残すべきじゃないよ」
詰め寄るデンゼル様と御父様、兄様。やっと援護射撃です。
全員に睨まれたロードリック様は青白い顔です、いつも私を睨んでいた貴方。
立場逆転のいま窮地に立たされてます、ちょっとザマァでございます。
いよいよ観念した彼が口を開きかけた時でした。
「お義兄様ぁ!わたしのドレスを買ってくださぁーい!いますぐ!早く!秒で!仕立て屋を呼んでくださいまし!」
乱暴に扉が開かれ珍獣が乱入してきました。
公爵邸の応接室は無駄に広く豪華、相手を委縮させる意味でなら効果覿面だと言えるわ。
だけど負けません!
絶対に婚約破棄をしますからね!
侯爵家は父、兄、私が並び。
公爵家はアイスブラド当主デンゼル様、元凶のロードリック様。
あら?義母のバネッサ様はいないようです。
「破棄したいというのは本心なのかな?アイリス嬢」
デンゼル様の穏やかな声が私に問います、とても優しい面差しはロードリック様に似てません。
そして良い声!
「はい、私はロードリック様には相応しくないと自負しました。嫌悪の目でいつも見られておりますの、どんな鈍い方でも一瞬で理解するほどに冷酷無慈悲な対応でした。」
デンゼル様は少し思案してから続ける。
「それは嫌われる君に落ち度があるという自覚があるのかな?それなら改善しようという意思は持つべきじゃないかな」
このオッサン食えない!わたしが全面的に悪いって方に向ける気ね!?
おのれぇさすが公爵家当主タヌキおやじ!
「デンゼル様、意思表示もされない方を相手にどう改善点を見出せば良いのでしょうか?先日の茶会に限らず数年前から私は一言も声をかけれておりません。それにロードリック様はいつも無表情です」
この私の訴えにデンゼル様は瞠目されました。
「ほ、ほんとなのか!?数年間一言も?」
「はい、名すら呼ばれておりませんわ。微笑みさえ一度も見てません。木彫りの人形のほうが表情があるくらいですわ」
嫌われても構わない覚悟のある私は、ここぞとばかりに苦言を呈します。
無くすものがないですもの、捨て身で行きます。
「どんなお声だったかすら忘れてしまいましたわ……」
私は捨てられた子犬のように震えて俯きます、父と兄は黙って空気です。
おいこら!卑怯者!加勢してよ!
「そ、そんなバカな……ロードリック!お前いったいどういうつもりで婚約者を蔑ろにしていた?」
デンゼル様はさすがに声を荒げます、さぁさぁロードリック様はどうでますか?
「……………………」眉間に手をやり悩むロードリック。
「…………」フルフルと首を振るロードリック。
「……」肩を竦めるロードリック。
喋れや!!!
なんだよそのジェスチャー!
私達は何を見せられたの?パントマイムか!
「ロードリック、いくらなんでも態度が酷いぞ?言葉を出さねばなにも伝わらんぞ」
「そうですぞ、ロードリック様。娘のことをどう思っているのですか?」
「険悪のまま破棄で良いのかい?禍根を残すべきじゃないよ」
詰め寄るデンゼル様と御父様、兄様。やっと援護射撃です。
全員に睨まれたロードリック様は青白い顔です、いつも私を睨んでいた貴方。
立場逆転のいま窮地に立たされてます、ちょっとザマァでございます。
いよいよ観念した彼が口を開きかけた時でした。
「お義兄様ぁ!わたしのドレスを買ってくださぁーい!いますぐ!早く!秒で!仕立て屋を呼んでくださいまし!」
乱暴に扉が開かれ珍獣が乱入してきました。
50
お気に入りに追加
493
あなたにおすすめの小説
【完結】どうかその想いが実りますように
おもち。
恋愛
婚約者が私ではない別の女性を愛しているのは知っている。お互い恋愛感情はないけど信頼関係は築けていると思っていたのは私の独りよがりだったみたい。
学園では『愛し合う恋人の仲を引き裂くお飾りの婚約者』と陰で言われているのは分かってる。
いつまでも貴方を私に縛り付けていては可哀想だわ、だから私から貴方を解放します。
貴方のその想いが実りますように……
もう私には願う事しかできないから。
※ざまぁは薄味となっております。(当社比)もしかしたらざまぁですらないかもしれません。汗
お読みいただく際ご注意くださいませ。
※完結保証。全10話+番外編1話です。
※番外編2話追加しました。
※こちらの作品は「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
聖女は妹ではありません。本物の聖女は、私の方です
光子
恋愛
私の双子の妹の《エミル》は、聖女として産まれた。
特別な力を持ち、心優しく、いつも愛を囁く妹は、何の力も持たない、出来損ないの双子の姉である私にも優しかった。
「《ユウナ》お姉様、大好きです。ずっと、仲良しの姉妹でいましょうね」
傍から見れば、エミルは姉想いの可愛い妹で、『あんな素敵な妹がいて良かったわね』なんて、皆から声を掛けられた。
でも違う、私と同じ顔をした双子の妹は、私を好きと言いながら、執着に近い感情を向けて、私を独り占めしようと、全てを私に似せ、奪い、閉じ込めた。
冷たく突き放せば、妹はシクシクと泣き、聖女である妹を溺愛する両親、婚約者、町の人達に、酷い姉だと責められる。
私は妹が大嫌いだった。
でも、それでも家族だから、たった一人の、双子の片割れだからと、ずっと我慢してきた。
「ユウナお姉様、私、ユウナお姉様の婚約者を好きになってしまいました。《ルキ》様は、私の想いに応えて、ユウナお姉様よりも私を好きだと言ってくれました。だから、ユウナお姉様の婚約者を、私に下さいね。ユウナお姉様、大好きです」
――――ずっと我慢してたけど、もう限界。
好きって言えば何でも許される免罪符じゃないのよ?
今まで家族だからって、双子の片割れだからって我慢してたけど、もう無理。
丁度良いことに、両親から家を出て行けと追い出されたので、このまま家を出ることにします。
さようなら、もう二度と貴女達を家族だなんて思わない。
泣いて助けを求めて来ても、絶対に助けてあげない。
本物の聖女は私の方なのに、馬鹿な人達。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
大好きな騎士団長様が見ているのは、婚約者の私ではなく姉のようです。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
18歳の誕生日を迎える数日前に、嫁いでいた異母姉妹の姉クラリッサが自国に出戻った。それを出迎えるのは、オレーリアの婚約者である騎士団長のアシュトンだった。その姿を目撃してしまい、王城に自分の居場所がないと再確認する。
魔法塔に認められた魔法使いのオレーリアは末姫として常に悪役のレッテルを貼られてした。魔法術式による功績を重ねても、全ては自分の手柄にしたと言われ誰も守ってくれなかった。
つねに姉クラリッサに意地悪をするように王妃と宰相に仕組まれ、婚約者の心離れを再確認して国を出る覚悟を決めて、婚約者のアシュトンに別れを告げようとするが──?
※R15は保険です。
※騎士団長ヒーロー企画に参加しています。
婚約者の心の声が聞こえるようになったけど、私より妹の方がいいらしい
今川幸乃
恋愛
父の再婚で新しい母や妹が出来た公爵令嬢のエレナは継母オードリーや義妹マリーに苛められていた。
父もオードリーに情が移っており、家の中は敵ばかり。
そんなエレナが唯一気を許せるのは婚約相手のオリバーだけだった。
しかしある日、優しい婚約者だと思っていたオリバーの心の声が聞こえてしまう。
”またエレナと話すのか、面倒だな。早くマリーと会いたいけど隠すの面倒くさいな”
失意のうちに街を駆けまわったエレナは街で少し不思議な青年と出会い、親しくなる。
実は彼はお忍びで街をうろうろしていた王子ルインであった。
オリバーはマリーと結ばれるため、エレナに婚約破棄を宣言する。
その後ルインと正式に結ばれたエレナとは裏腹に、オリバーとマリーは浮気やエレナへのいじめが露見し、貴族社会で孤立していくのであった。
元婚約者が愛おしい
碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。
留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。
フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。
リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。
フラン王子目線の物語です。
婚約破棄を、あなたのために
月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる