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フェインゼロス帝国篇
敵国からの巫山戯た親書
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レオニード達が自国へ戻って2週間ほどの事だった。
国境砦付近で帝国側に大きな動きがあると密偵から報せが届く。
若きテトラビス国王ガルディは「いよいよ、開戦準備か」と身構えたが事態は思わぬ方向へ。
緊急議会を設けて国の重鎮たち召集された、だが大臣らは詳細を聞いた途端に耳を疑う。
「帝国は我らをバカにしているのか?……何を企んでいる」
ざわつく会議室でひときわ声高に叫んだのは宰相である。
ガルディは立ち上がった白髪頭の彼を宥める。
「落ち着け宰相、余も先刻聞いたばかりで混乱したが向こうは本気で申し出ている。だいぶ巫山戯た内容だがな」
ガルディは羊皮紙の親書を手渡して苦笑する。
宰相も皇帝にしか押せない印璽を確認するや「うぬぅ」と唸る他なかった。
「はっ、まさかあの矜持の塊が助けを請う書状を送ってくるとはな。面白いじゃないか、散々偉そうにしてた大陸の覇者がうちみたいな小国に援助と援軍をだしてくれなんて!フフフッ――あーはははっ!!!実に滑稽で愉快じゃないか!お前達も笑え!余が許す」
ガルディが品も無く腹を抱えて大笑いしたが、諫める者はない。
立場上は抑えていた宰相であったが、口元はきつく閉じつつもフルフルと肩で笑っている。
以下大臣たちもプスリプスリと控えめに笑っていたが、次第に声は大きくなり盛大に爆笑するまで盛り上がった。
会議場外に控えていた護衛と侍従達は突如、場にそぐわない嗤い声が轟き”何事か”と雪崩れ込んだほどだ。
黒檀の大テーブルを囲んで爆笑しつつ、時に互いの背や肩、調度品をバシバシ叩いている様は30分ほど続いた。
やや会議室が落ち着いた頃合いで、宰相と国防大臣が動いた。
「ゴホン、では帝国側からの救難要請の子細の写しを配る。精査するまでもないがどれもこれも我が国テトラビスを愚弄する内容なのは言うまでもない」
―――― ―――― ―――― ―――― ―――― ――――
【貴国 テトラビスへの緊急要請】
大帝国フェインゼロス国内にて、6の月中旬頃不測の事態が発生。大規模な被災となった。
魔導装置の暴発事故により甚大な被害を被る。事故原因と被害状況は現在調査中である。
ただし、子細については国家機密に触れる為報告は控える。
以下救援の項目を精査し、迅速な対応を期待する。
一つ、大白金貨5.000枚の支援、又は東山脈鉱山の発掘権。
一つ、百余年続いた国交断絶の無条件復活解放。
一つ、帝都の完全復興まで関税の大幅引き下げ。
一つ、国境砦付近の国交優先緩和。帝国民商団の無条件での入国。
一つ、帝都民の三年分の食糧及び日用品の無償提供
一つ、中央区(貴族街)の被害に伴う治安悪化の鎮静化の協力(歩兵・騎兵500人配置)
一つ、復興資材等の無償提供。木材、石材、その他建築資材全般、職人たちの無償無期限の派遣。
以上
大帝国フェインゼロス皇帝 ヴェラアズ・フェイン4世
宰相 ケイン・メイガース
―――― ―――― ―――― ―――― ―――― ――――
「なんとも……こんな居丈高な物乞いは初めてみたな!」
「まったくその通り!舐めくさりおって!」
「疲弊して助けを請うならばそれなりの態度があろうに!」
「これはまるで敗戦国への賠償請求ではないか」
「大方は開戦前に用意した親書を引用したのでは?帝国は快勝する算段だったのだろう」
「なんという愚劣極まりない!」
大臣達は口々に帝国を非難する。
「ふん!調査団を寄越せならともかく、原因の詳細も明かさず敵国相手に何故協力が得られると思うのか?現皇帝の面の皮は肥えた猪豚より分厚いようだな」
国王ガルディはたいそう憤慨して、原本の羊皮紙を引き裂いて唾棄した。
「左様で、そもそも帝国とは相互不干渉は結んでおりますが交易条約は交わしてしておりませんからな」
宰相は国王の言葉に大きく頷いて言う。
国防大臣がさらに続く。
「魔道具の暴走にはなんらかの誘発原因があるものだが、そもそも帝都を全壊するほどの規模とは俄かに信じがたいな。我らも日常使用はしているが爆発したなどと聞いたことはないぞ」
唸るように言う国防大臣に官僚たちはサワサワと狼狽え始める。
「――陛下、発言よろしいでしょうか?」
「うむ、許す」
畏まって立ち上がったのは産業省に属する魔法及び魔道具を監察する大臣補佐官だった。
「私は長年魔道具に携わってきましたが、街を吹き飛ばす道具など見たことがございません。しかしながら」
彼は言葉を一旦切ると、国防大臣の顔をチラリと伺い躊躇うそぶりを見せた。
「……良いぞ、国防としてもキミが言わんとする意図を理解した。遠慮せず発言したまえ」
「はい、それでは憶測の範疇でお聞きください」
シンと静まった会議室で淡々と語られた内容は、テトラビスだけでなく大陸全土を震撼させるような情報だった。
国境砦付近で帝国側に大きな動きがあると密偵から報せが届く。
若きテトラビス国王ガルディは「いよいよ、開戦準備か」と身構えたが事態は思わぬ方向へ。
緊急議会を設けて国の重鎮たち召集された、だが大臣らは詳細を聞いた途端に耳を疑う。
「帝国は我らをバカにしているのか?……何を企んでいる」
ざわつく会議室でひときわ声高に叫んだのは宰相である。
ガルディは立ち上がった白髪頭の彼を宥める。
「落ち着け宰相、余も先刻聞いたばかりで混乱したが向こうは本気で申し出ている。だいぶ巫山戯た内容だがな」
ガルディは羊皮紙の親書を手渡して苦笑する。
宰相も皇帝にしか押せない印璽を確認するや「うぬぅ」と唸る他なかった。
「はっ、まさかあの矜持の塊が助けを請う書状を送ってくるとはな。面白いじゃないか、散々偉そうにしてた大陸の覇者がうちみたいな小国に援助と援軍をだしてくれなんて!フフフッ――あーはははっ!!!実に滑稽で愉快じゃないか!お前達も笑え!余が許す」
ガルディが品も無く腹を抱えて大笑いしたが、諫める者はない。
立場上は抑えていた宰相であったが、口元はきつく閉じつつもフルフルと肩で笑っている。
以下大臣たちもプスリプスリと控えめに笑っていたが、次第に声は大きくなり盛大に爆笑するまで盛り上がった。
会議場外に控えていた護衛と侍従達は突如、場にそぐわない嗤い声が轟き”何事か”と雪崩れ込んだほどだ。
黒檀の大テーブルを囲んで爆笑しつつ、時に互いの背や肩、調度品をバシバシ叩いている様は30分ほど続いた。
やや会議室が落ち着いた頃合いで、宰相と国防大臣が動いた。
「ゴホン、では帝国側からの救難要請の子細の写しを配る。精査するまでもないがどれもこれも我が国テトラビスを愚弄する内容なのは言うまでもない」
―――― ―――― ―――― ―――― ―――― ――――
【貴国 テトラビスへの緊急要請】
大帝国フェインゼロス国内にて、6の月中旬頃不測の事態が発生。大規模な被災となった。
魔導装置の暴発事故により甚大な被害を被る。事故原因と被害状況は現在調査中である。
ただし、子細については国家機密に触れる為報告は控える。
以下救援の項目を精査し、迅速な対応を期待する。
一つ、大白金貨5.000枚の支援、又は東山脈鉱山の発掘権。
一つ、百余年続いた国交断絶の無条件復活解放。
一つ、帝都の完全復興まで関税の大幅引き下げ。
一つ、国境砦付近の国交優先緩和。帝国民商団の無条件での入国。
一つ、帝都民の三年分の食糧及び日用品の無償提供
一つ、中央区(貴族街)の被害に伴う治安悪化の鎮静化の協力(歩兵・騎兵500人配置)
一つ、復興資材等の無償提供。木材、石材、その他建築資材全般、職人たちの無償無期限の派遣。
以上
大帝国フェインゼロス皇帝 ヴェラアズ・フェイン4世
宰相 ケイン・メイガース
―――― ―――― ―――― ―――― ―――― ――――
「なんとも……こんな居丈高な物乞いは初めてみたな!」
「まったくその通り!舐めくさりおって!」
「疲弊して助けを請うならばそれなりの態度があろうに!」
「これはまるで敗戦国への賠償請求ではないか」
「大方は開戦前に用意した親書を引用したのでは?帝国は快勝する算段だったのだろう」
「なんという愚劣極まりない!」
大臣達は口々に帝国を非難する。
「ふん!調査団を寄越せならともかく、原因の詳細も明かさず敵国相手に何故協力が得られると思うのか?現皇帝の面の皮は肥えた猪豚より分厚いようだな」
国王ガルディはたいそう憤慨して、原本の羊皮紙を引き裂いて唾棄した。
「左様で、そもそも帝国とは相互不干渉は結んでおりますが交易条約は交わしてしておりませんからな」
宰相は国王の言葉に大きく頷いて言う。
国防大臣がさらに続く。
「魔道具の暴走にはなんらかの誘発原因があるものだが、そもそも帝都を全壊するほどの規模とは俄かに信じがたいな。我らも日常使用はしているが爆発したなどと聞いたことはないぞ」
唸るように言う国防大臣に官僚たちはサワサワと狼狽え始める。
「――陛下、発言よろしいでしょうか?」
「うむ、許す」
畏まって立ち上がったのは産業省に属する魔法及び魔道具を監察する大臣補佐官だった。
「私は長年魔道具に携わってきましたが、街を吹き飛ばす道具など見たことがございません。しかしながら」
彼は言葉を一旦切ると、国防大臣の顔をチラリと伺い躊躇うそぶりを見せた。
「……良いぞ、国防としてもキミが言わんとする意図を理解した。遠慮せず発言したまえ」
「はい、それでは憶測の範疇でお聞きください」
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