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フェインゼロス帝国篇
王族と接触
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汚物たちと面と向かって相手する気がないレオは、憲兵隊に丸投げすることにした。
不法侵入と保存食を食い散らかした程度では刑罰は軽いだろうが仕方ない。
「壊された警備魔道具とパントリーの被害届はするとして……公爵家はどうなったのか調べなきゃ」
彼は、まだ幼い弟妹を放置するほど鬼になれない。
元親に尋問すれば早そうだが、敢えて止めておいた。
情につけ込んで「屋敷に住まわせろ」と言ってくるのが見えたからだ。
モルティガに頼めばすぐに情報は集まるだろうが、他国からきた彼を不用意には使いたくなかった。
自ら公爵邸へ向かったのだが、人の気配がなく廃墟のようになっていた。
誰かにたずねようにも手がかりがない。
街の憲兵詰所に尋ねてみたが「知らない」という回答しか貰えなかった。
冬明けとともに始まった学園にレオは向かう。
快適な馬車に感謝しつつ、なんとかすぐに親友に会えないだろうかと考えた。
手紙をだせば済むことだったが、いまでは遠い存在の王様なのだ。返事はおろか謁見許可もすぐには出ないだろう。
去年とはまったく事情が変わっていることにレオは焦る。
「たしかメヌイース嬢の弟君が同学年にいたよな」
なんでもいいから情報が欲しいレオは、昼休み開始と同時に動いた。
と、言っても隣のクラスなのだが……。
「初めまして、メヌイース様の弟君ルーファン様でしょうか?私はレオニード・ルヴェフルと申します」
「!?レオニード様!は、はじめまして!ぼぼぼぼぼ……ボクはルーファンです」
なぜかスゴイ緊張をするルーファンにレオは吃驚する。
「えーと、良ければ昼ごはんを一緒にどうですか?ゆっくり話をしたいので」
「ぶぁい!もちろんです!!!」
どこの所属騎士だと思うような敬礼をして応えたルーファンである。
***
「あ、姉上から聞いてたんですよ。とてもすごい人だって!貴方のお陰で王妃になれたと感謝してますよ!」
「そ、そう大袈裟だなぁ……はははっ」
ただ砂糖をまぶすだけのお菓子を教えただけだとも言えず、レオは恐縮した。
「御謙遜を!その若さで侯爵を賜るなど凡人にできることではないです!」
それも不正を暴くための餌だったと言えずにレオは再び口をモゴモゴとさせた。
期待と尊敬の眼差しをキラキラと向けてくるルーファンに何も言えない。
「んん!……あの聞きたいことがあってね、俺の生家のことなにか知らないかな?」
「公爵家のことですか?……さぁボクにはさっぱり、噂も聞きませんよ」
やはりそうかとレオはガッカリした。
学園内でも公爵家の醜聞らしい噂は聞こえてこなかった。
「えーととても図々しいお願いなんだけど、王妃様と連絡とれないかな?すぐに知りたい情報があるんだ」
「姉とですか?べつにだいじょうぶですよ。週一回ですが帰ってきますから」
王妃がちょくちょく里帰りはどうなんだろうとレオは思ったが有難く面会の許可を出して貰う。
「あのレオさん!代価といっては失礼なんですが!是非、冒険者の体験談を聞かせて貰えませんか!?」
「あ、ああ。そんなことで良ければ」
ありがとうございます、とルーファンはレオの手を握ってブンブンと振り回した。
なにかデジャブを感じつつ、レオは約束をとりつけたのだった。
「俺の周りの人は距離感がおかしいな」
不法侵入と保存食を食い散らかした程度では刑罰は軽いだろうが仕方ない。
「壊された警備魔道具とパントリーの被害届はするとして……公爵家はどうなったのか調べなきゃ」
彼は、まだ幼い弟妹を放置するほど鬼になれない。
元親に尋問すれば早そうだが、敢えて止めておいた。
情につけ込んで「屋敷に住まわせろ」と言ってくるのが見えたからだ。
モルティガに頼めばすぐに情報は集まるだろうが、他国からきた彼を不用意には使いたくなかった。
自ら公爵邸へ向かったのだが、人の気配がなく廃墟のようになっていた。
誰かにたずねようにも手がかりがない。
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冬明けとともに始まった学園にレオは向かう。
快適な馬車に感謝しつつ、なんとかすぐに親友に会えないだろうかと考えた。
手紙をだせば済むことだったが、いまでは遠い存在の王様なのだ。返事はおろか謁見許可もすぐには出ないだろう。
去年とはまったく事情が変わっていることにレオは焦る。
「たしかメヌイース嬢の弟君が同学年にいたよな」
なんでもいいから情報が欲しいレオは、昼休み開始と同時に動いた。
と、言っても隣のクラスなのだが……。
「初めまして、メヌイース様の弟君ルーファン様でしょうか?私はレオニード・ルヴェフルと申します」
「!?レオニード様!は、はじめまして!ぼぼぼぼぼ……ボクはルーファンです」
なぜかスゴイ緊張をするルーファンにレオは吃驚する。
「えーと、良ければ昼ごはんを一緒にどうですか?ゆっくり話をしたいので」
「ぶぁい!もちろんです!!!」
どこの所属騎士だと思うような敬礼をして応えたルーファンである。
***
「あ、姉上から聞いてたんですよ。とてもすごい人だって!貴方のお陰で王妃になれたと感謝してますよ!」
「そ、そう大袈裟だなぁ……はははっ」
ただ砂糖をまぶすだけのお菓子を教えただけだとも言えず、レオは恐縮した。
「御謙遜を!その若さで侯爵を賜るなど凡人にできることではないです!」
それも不正を暴くための餌だったと言えずにレオは再び口をモゴモゴとさせた。
期待と尊敬の眼差しをキラキラと向けてくるルーファンに何も言えない。
「んん!……あの聞きたいことがあってね、俺の生家のことなにか知らないかな?」
「公爵家のことですか?……さぁボクにはさっぱり、噂も聞きませんよ」
やはりそうかとレオはガッカリした。
学園内でも公爵家の醜聞らしい噂は聞こえてこなかった。
「えーととても図々しいお願いなんだけど、王妃様と連絡とれないかな?すぐに知りたい情報があるんだ」
「姉とですか?べつにだいじょうぶですよ。週一回ですが帰ってきますから」
王妃がちょくちょく里帰りはどうなんだろうとレオは思ったが有難く面会の許可を出して貰う。
「あのレオさん!代価といっては失礼なんですが!是非、冒険者の体験談を聞かせて貰えませんか!?」
「あ、ああ。そんなことで良ければ」
ありがとうございます、とルーファンはレオの手を握ってブンブンと振り回した。
なにかデジャブを感じつつ、レオは約束をとりつけたのだった。
「俺の周りの人は距離感がおかしいな」
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