公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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トラブルプランツ スタンピード篇

ベースキャンプ

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突然発生する魔物暴走。
瘴気が原因とか、新しいダンジョンの前触れ、人災とかいろいろと考察されるが本当の事は不明のままだ。

だが狩る者の目になった冒険者達には関係ない。危険な分、実入りがとても良い稼ぎのチャンスである。
レオ達も同様に張り切って出動する。


西方国境はそこそこ遠い、王都は辻馬車の争奪戦で喧嘩まで起きる始末である。
我先と考えるのは皆おなじだった。



それを横目に涼しい顔で馬車に揺られる一行がいた。
フラの祖母から借りた馬車で移動する、レオ達だった。


「いや~フラのばーちゃんには感謝しかないな!」
ついナンマンダーと合掌してしまうレオ、しかし、ばーちゃんは健在である。
周囲はなんのお呪いだと不思議そうに彼を見ていた。


馬車を借りて置いて良かったねと一同は感謝して、意味もわからないままレオの真似をする。
「「「「ナンマンダー」」」」

「……」レオは心の中で陳謝した。


馬車で揺られること3日、国境手前にギルドが設置したベースキャンプに到着した。
食糧や医療品などの仮設店と屋台が並んでいた。
レオは3人娘と出会ったダンジョン前を思い出して、頬をかいた。


「なるほど、この先にモンスターがうじゃうじゃ湧いてるのか」
「すっごいテントの数だね、私らも張る?」


レオはバリラの問にしばし考えて、居心地の良い馬車で寝泊まりする案をおした。
フラウット家の馬車はかなり大きくて5人転がっても余裕なのだ。ちなみに馭者さんは馭者台の屋根をかまぼこ型に下ろして簡易ベッドにするのだ。


「そうね、辻馬車じゃないもの。テントはいらないですわ!」
「フラも賛成!簡易ベッドと寝袋もあるし、ご飯だけ外でとれば良いよぉ」
「わーい!快適な馬車に感謝!ナンマンダー!」


レオ達はギルド出張所で受付してキャンプ札を渡された、無事着いたという報告と停留する権利を貰ったのだ。
到着初日は準備に充てるので、不足品の買い物と運動をして過ごした。


「きょうはちょっと贅沢しよう、どんどん食べて英気を養ってくれ」
「串焼きと果実水だ!いいの!?いただきまーす」

「わー、これおいひい!」
「んまんま!ありがとうご主人さま」
「果実水がすっきりして美味ですわ!」


レオは獅子王からの報酬で懐が温かいので奮発した、みんなの嬉しそうな顔をみて「仲間っていいな」と零すのだった。


***


レオ達は翌朝早く出発した。
馬車の管理を馭者さんにゆだねて朝靄が漂う中、ゆっくりと歩く。


ひんやりする朝の空気を吸い込み、レオは気を引き締める。30分ほど進んだ所で発生源に近づいたのか討伐する冒険者たちの声が聞こえてきた。


一晩中討伐していたらしい冒険者グループと出会った。

「斬ってもきりがねぇよ、あんたらも気ぃつけてな」
「はい、ありがとうございます」

ティルが腕を痛めてボロボロの男を治癒して別れた。


「みなさん、御礼にっていただきましたよ。果実みたいです、随分大きいですが」
「でっかい!クランベリーかな?」

「それ、魔植物じゃない?」
「え!?」


レオは拳大のそれを手に取って「どないや?」を使った。


【魔植物:クランデッド】

主な生息地 寒冷地など
尖った葉で斬りかかる習性、普段は大人しい。
果実は強烈な酸味を持つ。
抗酸化作用があり免疫力を高める成分を含む。
食用、薬用として重用される。


「すんごい酸っぱいってさ、でも体に良いみたいだフレッシュジュースにしよう」
朝ご飯を取っていないので、絞って蜂蜜を加えてみんなで飲んだ。


「ふー!目が覚める!」
「酸っぱいけど美味しいね」


「でも生息地がおかしいな、温かいところには出ないはずだ。普段は大人しいって鑑定にでてた」
「うーん、やっぱ異常な事態だからじゃないか?」

無差別に出現するスタンピードのせいかと、レオ達はそう処理したが……。




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