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獣王国篇

獅子王セレータ・エルンヘルド

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ギルマスはレオが祭り騒ぎでヨーグルトで肉を柔らかくした事まで知っていた。
流石情報収集の早さはギルドならではだと感心するレオ。



「情勢つうか世間の動きを常に把握するのはギルド運営の要だからな、有事に動けなければ意味がねぇ」
「な、なるほど」


ただただ感心するばかりのレオにギルマスが本題に入った。実は最初の話題は前振りだったのだ。

「獅子王が老齢なのは知っているか?獣王国は世代交代だと騒がしくなってきている」
「ええ、噂でちょっぴり。硬い肉が苦手になったと」


それを聞いたギルマスは頷き話を続ける。

「老齢つってもな獅子王は引退するほど耄碌してねぇ。あぁ、言い忘れてたけど俺の祖父ちゃんな」
「げぇ!?」



ギルマスが王族だと知って、再び委縮したレオにギルマスは済まなそうに笑う。
「いやいや、王族つってもアレ……第二王子の6男だ、継承権でいえば無いに等しい身分だ。畏まるなよ」


そう言われてもとレオは渋面になった。
それを放置してギルマスは続ける。


「祖父ちゃんの執政をこなす手腕は右に出る者はいねぇ、王太子の叔父上もわかってるんだ。まだ引退されては困るとな。だが小さな綻びを見逃さない連中……第二王子派と貴族派が動き出した」

「どこにでもある話ですね、権力争い。」
「ああ、叔父上は王になるには若干気弱でなぁ。第二王子である俺の父親を担ごうと貴族が煩い、だが親父は王なんて面倒だと相手にしてないのが現状だ……そこでだな」


何事かとレオは警戒して構えれば「ジジィでもガツガツ食える美味い飯を作れ」だった。

「たかが飯とは思わんでくれ!獣王国はその他国から蛮族と言われるほど雑なんだ、肉は炙れば良いという考えしかねぇんだ」

「な、なるほど……でも他国の俺が王のご飯を提供するって大丈夫ですか?」
「そこは王宮料理人に手解きをだな、なぁ頼むよ!これは王家からの依頼でもあるんだ。お前さんの名レオっつうのも獅子の意味があんだろ?これも縁と思って!」

「たしかにレオニードですけど……ほぼこじつけじゃないですか」

若輩のレオの指導を、料理人たちが受け入れるだろうかとレオは顔色を悪くした。
渋るレオを置いて、ギルマスは謁見の日取りを後日伝えると強引に話をまとめてしまう。




それから執務室の外で待機していた仲間に根掘り葉掘り聞かれたレオ。

「メーンドクセー!!!」

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