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獣王国篇

王都のタウンハウス

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三日間続いた宴会を終え、若干閑散とした狐族領だった。
本来の姿なのだが、フラは寂しそうな顔をした。


「別に屋台まで撤去しなくても~」
コカトリスの串焼きが好物だという彼女は不満を漏らす。


狐らしい好物だとレオは密かに思う。


「……なんか皆もだらけてるよね、ここにはギルドもないし仕方ないけど」
レオの言葉に女子達は肩をピクリと震わせた。


全体的に丸みを帯びてきた体型を気にしていたのだ。
フラの家族の好意に甘えて、食っちゃ寝をしていたのだから当たり前の結果だ。


「や、やっぱりここは王都へ行くべきですわ!」
「そーだな!王都ならギルドがあるだろうし!働こう!」
「わぁーい!久しぶりにタウンハウスへ行けるよぉ!」

「タウンハウス?平屋の?」

ジェイラの疑問にフラが答える。

「エルンヘル家の別宅だよ、集合住宅とは違うもん。建国祭とか国をあげての催事がある時に寝泊まりする別荘みたいな家だよ」



庶民的とはほど遠そうな別宅とやらに、さすが族長だと皆は思った。
「本邸の半分くらいだから、ちょっと狭いんだけどねぇ」

「「「「いやいやいや……」」」」

現在お世話になっている屋敷はレオの家の3倍だ、その半分と言われても小さいとは思えない。

「ん、そういえば獣王国はエルンヘルドというんだよね?」

「そう、各族長は国名を借りて名乗ってるんだよぉ。種族は違っても仲間だという証なの」
「なるほど!」



レオ達が王都へ移動すると聞いた婆バさん達は残念そうに見送った。

「帰りには寄ってちょうだいね!恩返しが足りないのだから」

「いえいえ、十分にお世話になってますよ!」
レオはとんでもないと恐縮したが、婆バは譲らない。

「なんなら孫の婿として……そうね大恩あるレオニード様をもてなすならそれが最良だわね」

とんでもない事を呟いた婆バにレオは脂汗をかく。
フラは聞こえないフリを貫いた。


レオの故郷テトラビス王国へは、春になったら戻る予定だが延びそうだと懸念した。


王都へは辻馬車を乗り継ぐと言ったが、族長の馬車を使えと婆バの強い圧で借りることになる。
「ふっふ、これで我が家へ戻らざるをえないわね!」


「なんかゴメン、レオ。婆バは恩返ししたいだけだから……ね?」
「……いや、気にしてないから。うん」


モフモフの嫁も悪くないとレオは内心思ったが、100年も経たず死ぬ人族には無理な縁だと溜息を吐いた。
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