公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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独立篇

美味しいものは手間次第

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プリンの作り方は3種類。

ゼラチンで固めるか、入れずに蒸すか、オーブンで焼くか。





実はキャメラの印画紙に用いる膠の副産物と言えるのがゼラチンである。

より美しく印刷されるために純度の高い膠が作られ、臭みが減り食用としても生産され始めた。

――というのはあくまでこの世界での話。



「正直どっちも違って物凄く美味い」

「ゼラチンはおいてないわ」

「ぐ・・・」



知名度がまだ低く食べる人が少ないとメリアが残念そうに言う。

「果汁やフルーツをたっぷり入れると美味いのに・・・クッ」

「な、なんですって!?」



すぐに買ってくると叫びメリアは製菓店へ走って行った。

「すごい行動力」

「ははっメリアの良い所です、この店も彼女が言い出して開業したんですよ」

カールが惚気るように言う、ボクのメリアは世界一の奥さんだと頬を染める。

敵わないなとレオは肩を竦めた。





レオはまずは蒸しプリンを作ろうと溶き卵を数回濾す。

「デザートは手がかかるよなぁ」

「グーズリーさんの作る料理も相当時間かかるでしょ?」

「まあな、ブイヨンとベシャメルは手ぇ抜いたら台無しだからな」



グーズリーはポコンと出た腹を誉れ高く突き出しドヤる。

プロの矜持はその立派な・・・。





砂糖と牛乳半量を火にかけ煮とけたら下ろし、残りの牛乳を混ぜた。

「なんで半分なのぉ?」

「ん、早く冷ますためだよ。フラ氷出して」



水と氷入りボウルに鍋を浸した所でメリアが戻った。

「あぁ!見逃したわ!」

「工程はブリュレと変わりませんよ」





メリアは汗を拭いつつバニラビーンズは使うか聞く。

高価だからとレオは断った、牛乳も冷めてしまったので仕方ない。





濾した卵液と砂糖入り牛乳を合わせ、トロリとしたプリン液をまた濾す。

ちなみにゼラチン分の卵液は別待機。

「基本はこれだけです、火を入れて固めるかゼラチン入りを冷やし固めるかの違いです」

「ふんふん、なるほど生クリームを入れないだけでブリュレとほぼ同じねぇ」

「あの・・・カスタードプリンは普通にあるのでは?」

レオはメリアが知らないことに疑問を持つ。



「そうねえ、地域によるんじゃない?同じスープでも味付けは変わるもの」

「あぁ、ご当地ラーメンみたいな」

「らーめん?」

いえ、こっちの話ですとレオは濁す。





生クリーム入りも美味いと言えば「私が作る!」とメリアが卵を割り出す。

さすがプロ圧倒的手際の良さで卵液を完成させた。



最後にレオは砂糖へちょっぴりの水を入れてカラメルを作る。

「そして俺のこだわりでこれを入れます」

やや濃いカラメルに琥珀色の液を入れた、ジュワッと蒸気と香りがたった。

「きょうは砂糖を焦がしてばかりだな」





「まあ、メープルね!良い香りだわ」

メリアがウットリして作業を眺めた、冷え固まる前に型へ流していく。

続いてプリン液を流し、気泡を丁寧に潰す。



後はオーブンで焼くのを待つ、その間にふやかしたゼラチンを煮溶かすことにした。

先ほど同様に牛乳に火を入れる、こっちはバニラを入れるべきとメリアが自らビーンズの処理をした。



甘い香りに3人娘が恍惚としている。

「匂いが美味い」とバリラが斜め上の感想を言い皆が爆笑。



ゼラチンプリンは固まるのが遅いのでフラが魔法を掛けようとするも、凍ったら味が落ちると言われガッカリする。



「美味しいものは時間がかかる!」と嘆いた。

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