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独立篇

黄金の虚城

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レオは男爵との諍いを即日報告し、数刻後に城へ召喚された。

謁見の間ではなく執務室へ呼び出される。

仕事が早すぎるとレオは眉間に皺を寄せた。





仏頂面のレオに対し若き王は僥倖だと上機嫌だ。

「なーにが僥倖?俺に爵位持ちにさせたのはこういう謀りがあったんだろ?」

ガルディは良い笑顔で返す。

(このヤロー!)





「証拠固めはしていたんだが、物証が足りなくてね。いやあ見事に尻尾をだしてくれた」

「ふん、それで密猟?無許可の採掘?」

両方だとガルディは答えた、ジジイはずいぶんと業突くのようだ。





横領帳簿は、肌身離さず男爵が持ち歩いていた。

不法侵入と侯爵への暴力未遂により捕縛された切っ掛けで、尋問前の身体検査で露見した。

「シャツの背裏に隠蔽用の大きな衣嚢ポケットが縫い付けてあったよ、周到なことだよね」

「いや、馬鹿だろう。どっかに隠しとけば出なかったのに」



「ハハハッ確かに」とガルディは愉快に笑う。

男爵が長年くすねてきた財産は全て没収のうえ、罰金+損害賠償金が請求される。

山を荒らした報いが山のような請求を受ける羽目になった。

当然爵位剥奪、王への反逆罪も含むため囚人奴隷として死ぬまで奉仕作業が課せられる。





「70過ぎてる老人だろ賠償できないんじゃ?」

「そこは領民から徴収するよ、彼らも甘い汁を吸ってたわけだから一蓮托生さ」

王は容赦なかった。



「それにね、男爵の邸宅を見れば同情なんか吹き飛ぶさ」

ガルディに唆され、視察の体で物見遊山に出かけたレオは驚くことになる。



***



――数日後、旧男爵邸。





「なんという悪趣味」

屋敷内のレンガ壁は全部金塊だった、目が痛いし気持ちが悪くなる。

元男爵の老獪ぶりがそれだけでわかった。



主寝室の家財はすべて金で、無造作に置かれた彫像の額には大粒ダイヤが煌めく。

棚奥の仕掛け取ってを動かすと隠し部屋が現れた。

そこには階段があり、巨大地下室に繋がっていて若い女が13人住んでいた。

全員愛人だというから呆れてしまう。



もちろん地下も贅を尽くした部屋だった。

朝から酒気が立ち込め、薄絹の肌着を纏う女達は覇気の欠片もない。

零れる双丘を隠す仕草もせず、下半身が露わな者までいた。

自堕落を具現化したような有様だ。



やけに甘い香りがしたため薬物を疑ったが、なぜか蜂蜜まみれの女が大鼾で寝ていた。

なんのプレイだ!と見分した役人が変な方向に突っ込む。



ガルディが見ちゃダメだ!とレオの目を塞いだが全部見た後だった。

「女怖い」とトラウマができたレオ。





文無しで追い出されると知るや、彼女らはブゥブゥ文句を発した。

幾人かが下着に隠して金貨を持ち去ろうとしたが捕縛された。





視察同行したガルディが言う。

「解体して国へ7、侯爵のキミには3分けるよ」

「貧乏貴族としては有難いけど・・・」



こんな山のような金塊を換金する勘定方が気の毒だとレオは思う。

ちなみに男爵領は一旦王領として預かることになるそうだ。

徴税が厳しくなる領民は、逃走しないよう監視される日々を送るだろう。

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