45 / 172
独立篇
黄金の虚城
しおりを挟む
レオは男爵との諍いを即日報告し、数刻後に城へ召喚された。
謁見の間ではなく執務室へ呼び出される。
仕事が早すぎるとレオは眉間に皺を寄せた。
仏頂面のレオに対し若き王は僥倖だと上機嫌だ。
「なーにが僥倖?俺に爵位持ちにさせたのはこういう謀りがあったんだろ?」
ガルディは良い笑顔で返す。
(このヤロー!)
「証拠固めはしていたんだが、物証が足りなくてね。いやあ見事に尻尾をだしてくれた」
「ふん、それで密猟?無許可の採掘?」
両方だとガルディは答えた、ジジイはずいぶんと業突くのようだ。
横領帳簿は、肌身離さず男爵が持ち歩いていた。
不法侵入と侯爵への暴力未遂により捕縛された切っ掛けで、尋問前の身体検査で露見した。
「シャツの背裏に隠蔽用の大きな衣嚢ポケットが縫い付けてあったよ、周到なことだよね」
「いや、馬鹿だろう。どっかに隠しとけば出なかったのに」
「ハハハッ確かに」とガルディは愉快に笑う。
男爵が長年くすねてきた財産は全て没収のうえ、罰金+損害賠償金が請求される。
山を荒らした報いが山のような請求を受ける羽目になった。
当然爵位剥奪、王への反逆罪も含むため囚人奴隷として死ぬまで奉仕作業が課せられる。
「70過ぎてる老人だろ賠償できないんじゃ?」
「そこは領民から徴収するよ、彼らも甘い汁を吸ってたわけだから一蓮托生さ」
王は容赦なかった。
「それにね、男爵の邸宅を見れば同情なんか吹き飛ぶさ」
ガルディに唆され、視察の体で物見遊山に出かけたレオは驚くことになる。
***
――数日後、旧男爵邸。
「なんという悪趣味」
屋敷内のレンガ壁は全部金塊だった、目が痛いし気持ちが悪くなる。
元男爵の老獪ぶりがそれだけでわかった。
主寝室の家財はすべて金で、無造作に置かれた彫像の額には大粒ダイヤが煌めく。
棚奥の仕掛け取ってを動かすと隠し部屋が現れた。
そこには階段があり、巨大地下室に繋がっていて若い女が13人住んでいた。
全員愛人だというから呆れてしまう。
もちろん地下も贅を尽くした部屋だった。
朝から酒気が立ち込め、薄絹の肌着を纏う女達は覇気の欠片もない。
零れる双丘を隠す仕草もせず、下半身が露わな者までいた。
自堕落を具現化したような有様だ。
やけに甘い香りがしたため薬物を疑ったが、なぜか蜂蜜まみれの女が大鼾で寝ていた。
なんのプレイだ!と見分した役人が変な方向に突っ込む。
ガルディが見ちゃダメだ!とレオの目を塞いだが全部見た後だった。
「女怖い」とトラウマができたレオ。
文無しで追い出されると知るや、彼女らはブゥブゥ文句を発した。
幾人かが下着に隠して金貨を持ち去ろうとしたが捕縛された。
視察同行したガルディが言う。
「解体して国へ7、侯爵のキミには3分けるよ」
「貧乏貴族としては有難いけど・・・」
こんな山のような金塊を換金する勘定方が気の毒だとレオは思う。
ちなみに男爵領は一旦王領として預かることになるそうだ。
徴税が厳しくなる領民は、逃走しないよう監視される日々を送るだろう。
謁見の間ではなく執務室へ呼び出される。
仕事が早すぎるとレオは眉間に皺を寄せた。
仏頂面のレオに対し若き王は僥倖だと上機嫌だ。
「なーにが僥倖?俺に爵位持ちにさせたのはこういう謀りがあったんだろ?」
ガルディは良い笑顔で返す。
(このヤロー!)
「証拠固めはしていたんだが、物証が足りなくてね。いやあ見事に尻尾をだしてくれた」
「ふん、それで密猟?無許可の採掘?」
両方だとガルディは答えた、ジジイはずいぶんと業突くのようだ。
横領帳簿は、肌身離さず男爵が持ち歩いていた。
不法侵入と侯爵への暴力未遂により捕縛された切っ掛けで、尋問前の身体検査で露見した。
「シャツの背裏に隠蔽用の大きな衣嚢ポケットが縫い付けてあったよ、周到なことだよね」
「いや、馬鹿だろう。どっかに隠しとけば出なかったのに」
「ハハハッ確かに」とガルディは愉快に笑う。
男爵が長年くすねてきた財産は全て没収のうえ、罰金+損害賠償金が請求される。
山を荒らした報いが山のような請求を受ける羽目になった。
当然爵位剥奪、王への反逆罪も含むため囚人奴隷として死ぬまで奉仕作業が課せられる。
「70過ぎてる老人だろ賠償できないんじゃ?」
「そこは領民から徴収するよ、彼らも甘い汁を吸ってたわけだから一蓮托生さ」
王は容赦なかった。
「それにね、男爵の邸宅を見れば同情なんか吹き飛ぶさ」
ガルディに唆され、視察の体で物見遊山に出かけたレオは驚くことになる。
***
――数日後、旧男爵邸。
「なんという悪趣味」
屋敷内のレンガ壁は全部金塊だった、目が痛いし気持ちが悪くなる。
元男爵の老獪ぶりがそれだけでわかった。
主寝室の家財はすべて金で、無造作に置かれた彫像の額には大粒ダイヤが煌めく。
棚奥の仕掛け取ってを動かすと隠し部屋が現れた。
そこには階段があり、巨大地下室に繋がっていて若い女が13人住んでいた。
全員愛人だというから呆れてしまう。
もちろん地下も贅を尽くした部屋だった。
朝から酒気が立ち込め、薄絹の肌着を纏う女達は覇気の欠片もない。
零れる双丘を隠す仕草もせず、下半身が露わな者までいた。
自堕落を具現化したような有様だ。
やけに甘い香りがしたため薬物を疑ったが、なぜか蜂蜜まみれの女が大鼾で寝ていた。
なんのプレイだ!と見分した役人が変な方向に突っ込む。
ガルディが見ちゃダメだ!とレオの目を塞いだが全部見た後だった。
「女怖い」とトラウマができたレオ。
文無しで追い出されると知るや、彼女らはブゥブゥ文句を発した。
幾人かが下着に隠して金貨を持ち去ろうとしたが捕縛された。
視察同行したガルディが言う。
「解体して国へ7、侯爵のキミには3分けるよ」
「貧乏貴族としては有難いけど・・・」
こんな山のような金塊を換金する勘定方が気の毒だとレオは思う。
ちなみに男爵領は一旦王領として預かることになるそうだ。
徴税が厳しくなる領民は、逃走しないよう監視される日々を送るだろう。
0
お気に入りに追加
1,459
あなたにおすすめの小説
最底辺の転生者──2匹の捨て子を育む赤ん坊!?の異世界修行の旅
散歩道 猫ノ子
ファンタジー
捨てられてしまった2匹の神獣と育む異世界育成ファンタジー
2匹のねこのこを育む、ほのぼの育成異世界生活です。
人間の汚さを知る主人公が、動物のように純粋で無垢な女の子2人に振り回されつつ、振り回すそんな物語です。
主人公は最強ですが、基本的に最強しませんのでご了承くださいm(*_ _)m
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)
ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。
流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定!
剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。
せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!?
オマケに最後の最後にまたもや神様がミス!
世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に
なっちゃって!?
規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。
……路上生活、そろそろやめたいと思います。
異世界転生わくわくしてたけど
ちょっとだけ神様恨みそう。
脱路上生活!がしたかっただけなのに
なんで無双してるんだ私???
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
貴方の隣で私は異世界を謳歌する
紅子
ファンタジー
あれ?わたし、こんなに小さかった?ここどこ?わたしは誰?
あああああ、どうやらわたしはトラックに跳ねられて異世界に来てしまったみたい。なんて、テンプレ。なんで森の中なのよ。せめて、街の近くに送ってよ!こんな幼女じゃ、すぐ死んじゃうよ。言わんこっちゃない。
わたし、どうなるの?
不定期更新 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる