公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

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独立篇

猪豚は思ったよりデカイ2(*微グロ)

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「ブグガァァァアアーーーー!」

耳を劈く咆哮を上げて敵意をレオに向け直す。

よろけながら震え立ちガッガッと前蹴り戦闘態勢を崩さない。



「頑丈な、相当痛いはずなのに」バリラが苛立つ。

「巨大な獣は痛覚が脳に伝わるのが遅いって聞くな」

「んなばかなアレだろ、アドなんとか」



やや鈍いながらもレオへ突進してきた。レオは素早く往なし、バリラの隣にたつ。

「アドレナリンな」

「それ!」



バリラは息が上がってきた、「ちょっと下がる」と言ってティリルに回復を受けに退いた。

「なかなか難しい相手のようですね」

「・・・はぁ、無駄に頑丈なんだよ。剣がボロボロだ」バリラは悔しそうに歯噛みする。



「まぁ、斬る方法は他にある」にぃっと笑うバリラは癒しの礼を言うと再び参戦する。

「フラ、炎斬する。魔法頼む」

「はーい、久しぶりの属性かけだね」



フラが短く詠唱すると刃毀れの鈍らが赤く染まり刀身が長くなった。



***



「なぁレオ。アイツの皮を焼き剥ぐのはありか?」

「うん、できれば首回りを頼む。分厚くて血管が切れない。ただし肉まで焼いちゃうと血抜きできない気をつけろ」



解ったとバリラは横跳ねして斬りかかった、熱風と共にジャリジャリと毛皮を焼く。

暴れる猪に体制を崩されたが、高く跳ねて体を捻ると猪豚の背に乗り首から尻尾へ走り抜けた。

背の皮がベロリ剥がされ珍妙な姿になる。

「うっわ痛そう」



致命傷ではなく、ただ痛みを与えられた猪豚は怒りの慟哭を上げてバリラを睨む。

「そんな睨むなよ、美味しく食ってやるから」バリラはヘラヘラ嗤う。



「レオ、悪い。首は半分削げなかった後頼むよ。流石に疲れた」魔剣を使ったバリラはごっそり魔力を使い果たし動けない。

「はいよ、休んでて」



想像より苦戦している、なにか弱点が突ければと・・・。

ダメもとで「どないや?」を発動した。



《どないや?》

ブラックホグ

山岳地に生息する。

最大5mに成長し、表皮は非常に硬く頑丈。

筋肉が鎧のように張っている。

体格の割に四肢が小さく前足が非常に脆い。

赤身多めで非常に美味。



「なーる、後ろ足じゃなく前から攻めれば良かったのか」

「おい!レオ。てめぇ鑑定使ってなかったのかよ!」

「猪豚だから普通に美味いと思って・・・テヘェ♪」



フザケンナ馬鹿ぶっ殺す!とバリラが野次る。

「いや、すまん。美味ければどうでも良くて」レオの悪癖がでてしまった。





「さて、止めといくか。俺も疲れて眠いや」

猪豚は血を流し過ぎたのか若干ふらついている、それでも鼻息荒くレオへ突進してきた。



レオは大きく息を吸い大包丁を2丁に増やし迎え撃つ。

「狙うは前足・・・」



《解体》

「デヤァ!」

「ブギィイイッ!」



地を揺らすような轟音を立てて猪豚が前のめりに倒れた。

ギィギィと哭き喚いて悪あがきをしている、レオは頸動脈をしっかり狙い刃を振り下ろす。

「ごめんな、弱肉強食だ。」

「!?」

猪豚はなにかを理解したかのように一瞬瞠目し、巨体を痙攣させ果てた。
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