公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)

文字の大きさ
上 下
38 / 172
独立篇

廃嫡 独立宣言 

しおりを挟む
夏季休暇中ずっと留守にしていた実家に戻るなり、現父に雷を落とされた。

やれやれ、まだ1年生なのに卒業待たずに廃嫡かもしれない。というか家を出る気満々だけどね。





「聞いておるのかレオニード!能無しのお前が生まれたというだけで公爵家に泥を塗ったというのに。婦女子数名と同衾などと!」

「同衾じゃないです、同居です。行き場がない彼女らに部屋を貸しただけです」

口答えするな!と再び激昴する父。



いずれバレるとは思ってたけど、どっから情報集めるのかね。

王族なら影を使うとかあるらしいが、この家にそんな手駒あったかな?





「14のガキが3人の女子と同衾だと?・・・ぐぬう羨ましい」

おい、おっさん心の声ダダモレじゃん。同衾じゃねーつってんのに脳みそ生きてるかぁ?



額には血管がビキビキ浮き上がり、今にもブチ切れて吹き出すんじゃないだろうかと思うほど興奮している。

何に興奮してんだか知らんが鬱陶しい。



「お前の屋敷を取り上げる、数日自室で反省しておれ」

「はー取り上げ?なぜですか、アレは私が資金を稼ぎ買い取ったものです。譲りません」

「なんだと!!」



あーもう、いちいち怒鳴ってやかましいなー。

「なかなかおっしゃらないので、私・・・いや俺から言う。今日限りで家を出る。除籍の手配は済んでいるから」

じゃーな、オッサン。



振り返りもせずドアを閉めた。

ちらり見えた元父はポカンとした顔で固まっていた、あの中身の無い説教と怒鳴り声から解放された喜びで清々しい。





取り合えず学校はまだ通うので制服と教科書だけ持ち出す、家の物は塵一つ要らない。

途中のサロンのドアから母親が睨みつけていたが知らん顔で通る。

10歳のあの日から会話らしいことはほとんどなかったな。



あれ、名前なんだっけ?まいいや思い出しても、もう会うことはあるまい。

さよなら、名も知らないオバサン。





最後にエドガーと挨拶したかったが勉強中らしいので手紙だけ執事長へ託した。

「坊ちゃま」

「ガイデルさん今までありがとう、実質あなたが親みたいだったね。良ければ手紙くらい頂戴」

「はい、必ず!どうか、どうか・・・お元気で・・・」





無駄にデカイ正面玄関を抜けると感慨深いものが浮かんだ、良い思い出はほとんどないけど。

見渡せば意外と荒れている庭園に驚く、この家の懐事情は芳しくないのかも。

叱咤する体で俺の屋敷を搾取しようとしたのはそういう事か?



それから、裏手にまわり厨房へ顔を出す。



「レオニード坊ちゃん!お久しぶりです」

「うん、久しぶり。でも今日は・・・ごめん。この家を出ることになったんだ」

「なんですと!?」



たくさん世話になったと料理長と厨房のみんなに頭を下げた。

泣いてくれる人も幾人かいてちょっと切ない。

料理長が滂沱に涙を流し、王都の市場に出た際は会い参りますと手を握る。



「そうだね、王都の端っこだけど国から出るわけじゃないからさ」

「はいぃ!また会いましょう・・・うううぅ」



さよなら、とまたねを繰り返し、裏木戸から屋敷を出た。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

王太子様に婚約破棄されましたので、辺境の地でモフモフな動物達と幸せなスローライフをいたします。

なつめ猫
ファンタジー
公爵令嬢のエリーゼは、婚約者であるレオン王太子に婚約破棄を言い渡されてしまう。 二人は、一年後に、国を挙げての結婚を控えていたが、それが全て無駄に終わってしまう。 失意の内にエリーゼは、公爵家が管理している辺境の地へ引き篭もるようにして王都を去ってしまうのであった。 ――そう、引き篭もるようにして……。 表向きは失意の内に辺境の地へ篭ったエリーゼは、多くの貴族から同情されていたが……。 じつは公爵令嬢のエリーゼは、本当は、貴族には向かない性格だった。 ギスギスしている貴族の社交の場が苦手だったエリーゼは、辺境の地で、モフモフな動物とスローライフを楽しむことにしたのだった。 ただ一つ、エリーゼには稀有な才能があり、それは王国で随一の回復魔法の使い手であり、唯一精霊に愛される存在であった。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。 今年で33歳の社畜でございます 俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう 汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。 すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。 そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな

処理中です...