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独立篇
廃嫡 独立宣言
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夏季休暇中ずっと留守にしていた実家に戻るなり、現父に雷を落とされた。
やれやれ、まだ1年生なのに卒業待たずに廃嫡かもしれない。というか家を出る気満々だけどね。
「聞いておるのかレオニード!能無しのお前が生まれたというだけで公爵家に泥を塗ったというのに。婦女子数名と同衾などと!」
「同衾じゃないです、同居です。行き場がない彼女らに部屋を貸しただけです」
口答えするな!と再び激昴する父。
いずれバレるとは思ってたけど、どっから情報集めるのかね。
王族なら影を使うとかあるらしいが、この家にそんな手駒あったかな?
「14のガキが3人の女子と同衾だと?・・・ぐぬう羨ましい」
おい、おっさん心の声ダダモレじゃん。同衾じゃねーつってんのに脳みそ生きてるかぁ?
額には血管がビキビキ浮き上がり、今にもブチ切れて吹き出すんじゃないだろうかと思うほど興奮している。
何に興奮してんだか知らんが鬱陶しい。
「お前の屋敷を取り上げる、数日自室で反省しておれ」
「はー取り上げ?なぜですか、アレは私が資金を稼ぎ買い取ったものです。譲りません」
「なんだと!!」
あーもう、いちいち怒鳴ってやかましいなー。
「なかなかおっしゃらないので、私・・・いや俺から言う。今日限りで家を出る。除籍の手配は済んでいるから」
じゃーな、オッサン。
振り返りもせずドアを閉めた。
ちらり見えた元父はポカンとした顔で固まっていた、あの中身の無い説教と怒鳴り声から解放された喜びで清々しい。
取り合えず学校はまだ通うので制服と教科書だけ持ち出す、家の物は塵一つ要らない。
途中のサロンのドアから母親が睨みつけていたが知らん顔で通る。
10歳のあの日から会話らしいことはほとんどなかったな。
あれ、名前なんだっけ?まいいや思い出しても、もう会うことはあるまい。
さよなら、名も知らないオバサン。
最後にエドガーと挨拶したかったが勉強中らしいので手紙だけ執事長へ託した。
「坊ちゃま」
「ガイデルさん今までありがとう、実質あなたが親みたいだったね。良ければ手紙くらい頂戴」
「はい、必ず!どうか、どうか・・・お元気で・・・」
無駄にデカイ正面玄関を抜けると感慨深いものが浮かんだ、良い思い出はほとんどないけど。
見渡せば意外と荒れている庭園に驚く、この家の懐事情は芳しくないのかも。
叱咤する体で俺の屋敷を搾取しようとしたのはそういう事か?
それから、裏手にまわり厨房へ顔を出す。
「レオニード坊ちゃん!お久しぶりです」
「うん、久しぶり。でも今日は・・・ごめん。この家を出ることになったんだ」
「なんですと!?」
たくさん世話になったと料理長と厨房のみんなに頭を下げた。
泣いてくれる人も幾人かいてちょっと切ない。
料理長が滂沱に涙を流し、王都の市場に出た際は会い参りますと手を握る。
「そうだね、王都の端っこだけど国から出るわけじゃないからさ」
「はいぃ!また会いましょう・・・うううぅ」
さよなら、とまたねを繰り返し、裏木戸から屋敷を出た。
やれやれ、まだ1年生なのに卒業待たずに廃嫡かもしれない。というか家を出る気満々だけどね。
「聞いておるのかレオニード!能無しのお前が生まれたというだけで公爵家に泥を塗ったというのに。婦女子数名と同衾などと!」
「同衾じゃないです、同居です。行き場がない彼女らに部屋を貸しただけです」
口答えするな!と再び激昴する父。
いずれバレるとは思ってたけど、どっから情報集めるのかね。
王族なら影を使うとかあるらしいが、この家にそんな手駒あったかな?
「14のガキが3人の女子と同衾だと?・・・ぐぬう羨ましい」
おい、おっさん心の声ダダモレじゃん。同衾じゃねーつってんのに脳みそ生きてるかぁ?
額には血管がビキビキ浮き上がり、今にもブチ切れて吹き出すんじゃないだろうかと思うほど興奮している。
何に興奮してんだか知らんが鬱陶しい。
「お前の屋敷を取り上げる、数日自室で反省しておれ」
「はー取り上げ?なぜですか、アレは私が資金を稼ぎ買い取ったものです。譲りません」
「なんだと!!」
あーもう、いちいち怒鳴ってやかましいなー。
「なかなかおっしゃらないので、私・・・いや俺から言う。今日限りで家を出る。除籍の手配は済んでいるから」
じゃーな、オッサン。
振り返りもせずドアを閉めた。
ちらり見えた元父はポカンとした顔で固まっていた、あの中身の無い説教と怒鳴り声から解放された喜びで清々しい。
取り合えず学校はまだ通うので制服と教科書だけ持ち出す、家の物は塵一つ要らない。
途中のサロンのドアから母親が睨みつけていたが知らん顔で通る。
10歳のあの日から会話らしいことはほとんどなかったな。
あれ、名前なんだっけ?まいいや思い出しても、もう会うことはあるまい。
さよなら、名も知らないオバサン。
最後にエドガーと挨拶したかったが勉強中らしいので手紙だけ執事長へ託した。
「坊ちゃま」
「ガイデルさん今までありがとう、実質あなたが親みたいだったね。良ければ手紙くらい頂戴」
「はい、必ず!どうか、どうか・・・お元気で・・・」
無駄にデカイ正面玄関を抜けると感慨深いものが浮かんだ、良い思い出はほとんどないけど。
見渡せば意外と荒れている庭園に驚く、この家の懐事情は芳しくないのかも。
叱咤する体で俺の屋敷を搾取しようとしたのはそういう事か?
それから、裏手にまわり厨房へ顔を出す。
「レオニード坊ちゃん!お久しぶりです」
「うん、久しぶり。でも今日は・・・ごめん。この家を出ることになったんだ」
「なんですと!?」
たくさん世話になったと料理長と厨房のみんなに頭を下げた。
泣いてくれる人も幾人かいてちょっと切ない。
料理長が滂沱に涙を流し、王都の市場に出た際は会い参りますと手を握る。
「そうだね、王都の端っこだけど国から出るわけじゃないからさ」
「はいぃ!また会いましょう・・・うううぅ」
さよなら、とまたねを繰り返し、裏木戸から屋敷を出た。
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